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JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン) vs. オーストラリアA
10月1日の秩父宮での第1戦は、22-13と先行したところから残り22分で21点を奪われ無念の逆転負け。その1週後、福岡・ベスト電器スタジアムで行われた第2戦は、39分までリードしながらラストプレーでトライと逆転のゴールを許し1点差の惜敗を喫した。限りなくテストマッチに近い位置付けの3連戦の締めくくりとなる10月14日の最終戦(18時30分キックオフ@ヨドコウ桜スタジアム)は、過去2試合からの進歩を示し、2週後に控えるニュージーランド代表戦(10月29日14時50分キックオフ@国立競技場)に向け弾みをつけるためにも、なんとしても勝利を手にしたい一戦だ。
JAPAN-XV スターティングメンバー
ゲームにかける意気込みを表すように、キックオフ2日前に発表された日本代表の登録メンバーは、実力者がずらりと並ぶ強力な布陣となった。FWでは左PRの稲垣啓太が今シリーズ初登場で初先発となり、HO坂手淳史キャプテン、右PR垣永真之介とフロントローを形成。LO陣は第2戦に続き、伸び盛りの20歳、ワーナー・ディアンズと、抜群のワークレートを誇る仕事人のジャック・コーネルセンがペアを組む。
バックローは1、2戦で8番を背負ったリーチマイケルが6番に繰り上がり、この2試合で急速に評価を高めた下川甲嗣が6番から7番へシフト。NO8には圧巻の突破力を誇るテビタ・タタフが入り、猛烈なパワーで突破口を開くことが期待される。
SHは前2戦でリザーブからの登場だった流大が、昨秋のスコットランド戦以来の先発。この夏一躍日本代表の10番候補に名乗りをあげた21歳のSO李承信とのコンビで、どのようなゲームコントロールを見せるか興味深い。11番以降は第2戦と同じで、中村亮土とディラン・ライリーのCTB陣にシオサイア・フィフィタ、松島幸太朗の両WTB、FB山中亮平という並びになった。
リザーブも多士済々の顔ぶれで、16番のHO日野剛志、19番のLOヴィンピー・ファンデルヴァルト、20番のFL/NO8ファウルア・マキシ、22番のSO山沢拓也は今シリーズ初のメンバー入り。中でも山沢は今夏の代表活動で期待されながら体調不良でウルグアイ戦1試合のみの出場にとどまっただけに、今回は多くの視線を集めそうだ。すっかり中軸の風格が出てきたSH齋藤直人が、途中出場でどのようにゲームにインパクトを与えるかも注目される。
オーストラリアA スターティングメンバー
対するオーストラリアA代表のスターティングメンバーを見ていくと、第1戦で3番を背負ったトム・ロバートソンが1番に入り、HOはラクラン・ロネガン、右PRは196cm、130kgのビッグマン、ポネ・ファアマウシリが務める。LO陣は前2戦で6番に入ったネッド・ハニガンとシリーズ初先発のライアン・スミスという、機動力重視の構成だ。
両FLにもロリー・スコットとブラッド・ウィルキンという運動量豊富で球際に強い2人をそろえ、ブレイクダウンで厳しくプレッシャーをかけようという意図が浮かび上がる。NO8は空中戦の強さが魅力の197cmのフィジアン、セル・ウルだ。
SHは3戦目で初のスターターとなるジェームズ・タトゥルがキャプテンを務め、第1戦でも10番をつけたSOベン・ドナルドソンとHB団を構成。CTBはともに初先発のハミッシュ・スチュワートとアイザック・ヘンリーのコンビで、WTBは左に第1戦で2トライを挙げる活躍を見せたマーク・ナワンガニタワシ、右は全身バネのスリ・ヴニヴァルという怖いランナー2人が入った。FBは第2戦で別格の走りを披露したトム・バンクスが起用され、どのエリアからでもトライを取り切れるバックスリーの決定力は脅威となる。
オーストラリアAの先発15人のうち代表キャップホルダーは1番から4番までとWTBヴニヴァル、FBバンクスの6人で、今ツアーで初めてスターターを務めるメンバーは8人。選手たちにとっては10月末からヨーロッパでテストマッチ5試合を戦うワラビーズ入りをかけた最後のアピールの機会であり、誰もが闘志を前面に押し出してたたみかけてくるだろう。その圧力にひるむことなく、しっかりと体を当てて対抗し、準備してきたプレーを精度高く遂行することが、日本代表の勝利の条件となる。
前2戦ではここという場面で相手にペナルティを与え、みずから苦しい状況を招いたことも、直接的な敗因となった。今春就任したジョン・ミッチェルアシスタントコーチのもとで取り組む複数でタックルに入る新ディフェンスシステムが好感触をつかみつつあるだけに、規律を保ちいいエリアでゲームを進めることも重要なテーマになるだろう。
試合当日の大阪の天気予報は晴れ。日に日に秋の気配が増してきた中でのナイトゲームで、桜の勇士たちが力強く勝利の雄叫びをあげることを期待しよう。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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