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【ハイライト動画あり】最終盤のコンバージョンゴールで明暗!日本代表「JAPAN XV」×「オーストラリアA」は1点差の大熱戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇リーチ マイケル
最終盤のコンバージョンゴールで明暗が分かれた。
2023年W杯へ向けて、22年秋は6連戦で強化を図る日本代表が、10月8日(土)、今秋2戦目となるオーストラリアA代表(同国代表予備軍)との再戦に臨んだ。
キャップ対象外の試合のため、「JAPAN XV」として福岡・ベスト電器スタジアムに降り立ったジャパン。
8163人が見守る中、第1戦では逆転負け(22-34)を喫した豪州Aを相手に、JAPAN XVは最高の立ち上がりを見せた。
「最初にトライを奪えた。準備してきたことが出せました」(日本代表ジェイミー・ジョセフHC)
指揮官がプラン通りと振り返った開始1分の先制トライは、21歳の司令塔、SO李承信の絶妙なキックオフボールから始まった。
松島幸太朗
これを目算通りに再獲得すると、ブレイクダウンを連取。今秋初先発のWTB松島幸太朗が、2戦連続、ファーストタッチでトライを獲り切った。
いきなり5点(コンバージョン失敗)を先取した日本は、キック中心だった第1戦からスタイルに変化を加え、優勢時には積極的にボールを保持した。
「今週のフォーカスは、ブレイクダウン(ボール争奪局面)で少しでもモメンタム(勢い)があれば展開してアタックしよう、ということでした」(SO李承信)
守備も堅調で、先制トライ後には地元福岡出身のFL下川甲嗣が、相手の落球を誘う好タックル。試合前後には出身の修猷館高校(福岡)のラグビー部員が掲げる横断幕もあった。
「(地元の声援は)嬉しかったです。力になりました。修猷館の後輩には試合後『ありがとう』『花園予選がんばって』と伝えました」(FL下川)
しかし正代表入りに飢えている豪州Aもすぐ反撃。戦況に応じてプレーを変える修正力が光った。
修正力について問われた豪州AのSHライアン・ロネガン主将は「今日は試合中に、ショートサイドを攻めよう、と(変えました)。このチームには才能豊かな選手が多いので試合中の修正は容易です」と語った。
まず豪州Aはブレイクダウンで日本を攻撃の芽を摘んだ。攻めきれないJAPAN XV。第1戦に続いてボールセキュリティ、継続力が課題となった。
日本の攻撃を耐えに抜いた豪州Aは、お互いにPGを取り合って3-8だった前半31分、この日初めてのトライを奪う。
ビッグキャリアーの3番ポネ・ファアマウシリのランを囮として、外側のミスマッチから突破。
ショートサイド(狭いサイド)を狙い通りに攻略。FBジョック・キャンベルの同点トライ、そしてコンバージョン成功で逆転。このまま試合を2点リード(10-8)で折り返した。
勢いに乗った豪州Aは、後半開始から三重ホンダヒート加入が決まっているトップスプリンター、トム・バンクスを投入。
すると後半開始4分、そのバンクスが剛脚を見せた。
豪州Aは安定していたスクラムから攻撃開始。一次攻撃でジャパンDFに食い込むと、スクラムを組んでいたFWがDF参加に遅れて後手に。
バンクスらがオープン側の大きなペースを攻略し、2トライ目を取り切った。
ゴールは失敗で、JAPAN XVは7点差(8-15)を追いかける展開に。
ジャパンはスクラムでPK奪取の好プレーもあったが、敵陣チャンスでまたもジャッカルに遭う。試合後にジョセフHCは「クリーンアウト(ボール継続のためにブレイクダウンで相手を排除するプレー)のミスはすぐ直さなければ」と語った。
しかしジャパンも黙ってはいない。
李承信
大学生でいえば4年生の21歳、李承信が強気のタッチキックでゴール前ラインアウトのチャンス。ここから相手の反則を引き出し、李みずからPG成功。4点差(11-15)に迫る。
そして、この日心揺さぶるファイトを披露してくれたのが頼れる元キャプテン、NO8リーチ マイケルだ。
フットワークを使った懐の深いボールキャリー。イーブンボールへの果敢な飛び込み。そしてジャッカル。
粉骨砕身した34歳は後半22分、敵陣でのペナルティから速攻。起き上がり、パスと見せかけてラックサイドに突進。
相手タックルを想定した体裁きで、インゴールへ狙い澄ました片手トライ。
リーチ マイケル
リーチの職人的な個人技で逆転したJAPAN XV。コンバージョンも成功。さらに後半27分にはPGを追加し、リードを6点(21-15)に広げた。
さらに途中出場したゲラード・ファンデンヒーファーも両サイドでトライセーブ級のインターセプト、タックルで堅陣構築に貢献。
終盤には「きついところで身体を張るのが仕事」と語っていたHO坂手淳史主将が、攻守交代を起こすラックファイト。勝利のムードが漂っていた。
しかし、厳しい結末が待っていた。
「今日は最後の5分で大きな学びがありました。リーチがラインアウトで相手ボールを獲ってから、ボールをしっかりコントロールすべきでした」(ジョセフHC)
指揮官が指摘した要所は、6点リードの後半36分頃。
自陣22m付近で相手ラインアウトをNO8リーチがスティールしたが、キックをチャージされて自陣脱出に失敗。さらにノット・リリースの反則を犯す悪循環。
ここでしっかり自陣を脱出していれば、この後展開は違っていたかもしれない。
チャンスが舞い込んだ豪州Aは、ラインアウトモールで勝負をかける。
JAPAN XVは2度目のモールで押し切られ、後半40分に途中出場のリッチー・アシアタがスコア。無念の5点を献上したJAPAN XVだが、スコアでは1点差(21-20)で勝っていた。
勝負の行方は、トライ後のコンバージョンキックの成否に委ねられた。
80分を知らせるホーンがベスト電器スタジアムに響き、スタジアムがどよめく。豪州Aのキッカーは今秋初出場、初先発のSOテイン・エドメッド。そして会場の沈黙。
ワラターズ(スーパーラグビー)所属の22歳、エドメッドが楕円球を蹴り上げる。
Hポールの両脇で、共に福岡出身のアシスタントレフリー、久保修平さんと古瀬健樹さんが顔を見合わせ、手旗を挙げた。
ゴール成功で、悔しいロスタイム逆転負け。最終スコアは21-22だった。
ラグビー日本代表強化試合 第2戦(10月8日)
【ハイライト動画】JAPAN XV vs. オーストラリアA
連勝を飾った豪州A。ジェイソン・ギルモア監督は「スタートのキックオフで入りに苦労した。日本の方が入りが良かった」
「コントロールの難しい時間帯が10、15分ありましたが、スタートにも経験のある選手が多かった。リザーブの選手も第1戦に続いて、最後の30分に良い仕事をしてくれた」と語った。
一方、2連敗となったジョセフHC。W杯を念頭に常にタフな状況、試練を求める指揮官だが、試合後のコメントは選手の心情に寄り添っていた。
「先週のパフォーマンスからすごく成長した部分もあります。結果が出ないことに関しては、選手は残念な気持ちだと思います。合宿ですごくハードワークしてきたにも関わらず、なかなか報われないことについては残念です」
改善点としては「クリーンアウト、ボールキャリーの精度はすぐ修正が必要」と強調した。
そのほか「予想よりも相手のキックが浅かった」(SO李)ことによる、キック処理のミスも修正が必要だろう。
豪州Aとの三番勝負、最後の舞台は大阪・ヨドコウ桜スタジアムだ。
10月14日(金)の18時30分にキックオフする第3戦で、JAPAN XVは次こそ今秋初勝利を手にしたい。
豪州Aとの3連戦は、10月29日のニュージーランド戦(東京・国立競技場)とその後の欧州ツアーの準備という側面がある。修正点が出ること自体はポジティブだろう。
しかし豪州A戦は「テストマッチではないが、アプローチはテストマッチ」「出場できない選手もいるかもしれない」と公言してきた以上は、勝利が求められる。
大阪で待望の勝ち鬨を上げて、大一番であるニュージーランド戦へ弾みをつけたい。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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