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ラグビー コラム 2022年10月7日

第9回女子ラグビーワールドカップ開幕 サクラフィフティーンの初戦は、10月9日、日本時間午前11:15キックオフ

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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日本 vs. カナダ

第9回を迎える女子ラグビーワールドカップが10月8日~11月12日までニュージーランドで開催される。「ラグビーワールドカップ2021」と銘打っている通り、本来は昨年開催の予定だったが、コロナ禍で一年延期された。「WOMEN’S」という表記は大会名に入れず、男子とは開催年表記で区別している。今大会は女子日本代表(サクラフィフティーン)を含む12チームが参加し、4チームずつ3プールに分かれて総当たりの一次リーグが行われる。各プールの上位2チームと、3位のなかの勝ち点の多い2チームの計8チームが決勝トーナメントに進む方式だ。

10月2日(日)、メイン会場となるオークランドのイーデンパークに12チームのキャプテンが集合した。優勝候補筆頭はテストマッチで25連勝中のイングランド代表。ホスト国で5度の優勝を誇るニュージーランド代表も連覇を狙っている。初日はイーデンパークで3試合が行われる。開幕戦はフランス対南アフリカ、次にイングランド対フィジー、そして、現地時間の午後7時15分、ニュージーランド対オーストラリアがキックオフされる。この日のチケットは3万枚以上売れており、この大会が過去最高の興行的成功を収めるのは間違いなさそうだ。

ワールドラグビーの公式サイトには、ニュージーランドの共同キャプテン、ルアヘイ・デマントのコメントが紹介されている。「私はおそらく、これまで感じたことのないような感情を味わうと思います。ラグビーワールドカップを自国で開催することは夢物語のようなもので、それが実現するとは思ってもみませんでした。3万人もの人たちが女子ラグビーを応援するためにここに集まってくるというのは、ニュージーランドでも前例がなく、とても素敵なことだと思います。女子ラグビーだけでなく、女子スポーツ全般でファンやサポートが広がっているのはとてもエキサイティングなことです」

 

サクラフィフティーンは、10月9日、オークランドから北へ約200キロのファンガレイでカナダ代表と対戦する(日本時間11:15キックオフ)。カナダ代表の世界ランキングはイングランド、ニュージーランドに続く3位(10月3日現在)。7月には世界ランキング5位で今回同じプールのイタリアに34-24で勝っており、プールBの1位通過を目指している。

女子日本代表スターティングメンバー

サクラフィフティーンは、10月7日にメンバーを発表。9月24日のニュージーランド代表戦からは先発で3名の変更がある。リザーブだったPR加藤幸子、FL長田いろは、WTB今釘小町が先発するのだ。加藤はイングランドのクラブでプレーしており、同じくイングランドでプレーするカナダ代表選手をよく知っている。スクラムが強いだけではなく、フィールドプレーも上手い。チームに安定感をもたらしてくれそうだ。長田は運動量豊富でボール争奪戦にも強く、今釘はSO、FBもできる万能BKで、WTBの位置で戦略的キックを使える。チーム最多の32キャップを誇るFL齊藤聖奈はニュージーランド戦でも密集サイドをつくトライをあげ好調を維持。引き続き先発する。抜群の決定力を持つ松田凛日はニュージーランド戦でのWTBからFBへ。より広いスペースでそのランニング能力の高さを発揮したい。

レスリー・マッケンジーヘッドコーチは言った。「これが今のベストチームです。長い時間をかけて、試合や練習で機会を与えて作り上げてきました。コンタクト、ゲームマネージメントを一体となってプレーできるメンバーです」。試合のキーポイントについては「モーメンタム(勢い)のコントロール」と話した。パワフルに突進してくる選手が多いカナダを素早く前に出るディフェンスで止め続け、カナダの強みであるスクラムでも対抗する。これができれば勝機はあるということだ。9月24日のニュージーランド戦以降、ディフェンスにフォーカスして精度を上げてきた成果がどこまで出せるのか注目だ。

南早紀キャプテン

一方、攻撃のテンポをコントロールするHB団のSH阿部恵は「敵陣に入れば攻撃は通用すると思うので、敵陣に入るアタックをしていきたい」、SO大塚朱紗は「速いテンポのアタックは日本の強み。そこを出したい」と話した。攻撃に関してはテンポアップするところと相手陣に入ることを織り交ぜ、バランスよく戦いたい。初戦に一番強い相手と戦うわけだが、南早紀キャプテンは自分に言い聞かせるように語った。「チームは今がこれまでの中で一番良い状態だと思いますが、初戦を経て私たちはさらに成長できると思います」。

サクラフィフティーンが掲げている言葉がある「サクラウェーブ」だ。チームを波にたとえ、ひとつのかたまりとなって動き、多様性を持ってパワーを生み出していくイメージ。独自性あるスタイルで戦うサクラフィフティーンがサクラウェーブを起こし、ラグビーワールドカップ2021のなかで勢いを増していくところを楽しみにキックオフを待ちたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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