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ラグビー コラム 2022年10月2日

【ハイライト動画あり】ラグビーJAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)、 オーストラリアA代表との初戦に逆転負け。 終盤にディフェンスの連携ミス続く

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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中尾 隼太

10月1日、秩父宮ラグビー場は大半が自由席のチケットが完売し、19,729人の観衆が席を埋めた。来日したオーストラリアA代表は日本代表が一度も勝ったことがない相手で、同国準代表チーム。オーストラリア代表入りを目指す若手選手、復帰を目指すベテラン選手が含まれる。チームとしては集合したばかりだが個々の能力は高い。対する日本代表は、相手が準代表ということもあり、JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)として戦った。メンバーもオーストラリアA代表との3連戦で若い選手にチャンスを与え、怪我からの復帰組のパフォーマンスを確認する狙いもある。それでもジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは「国際試合は勝つことが重要」と必勝態勢で臨んだ。

午後7時5分、日本代表スコッドでの初試合となるSO中尾隼太はいったん目を閉じ、慎重にキックオフのボールを蹴り込んだ。オーストラリアの力強い突進を別府、宮崎の強化合宿で鍛えたコンタクトスキル、フィットネスで食い止め反則を誘う。前半2分、中尾が約42mのPGを決めて、3-0と先制。直後のオーストラリアボールのキックオフは、LOジャック・コーネルセンがクリーンキャッチ。その後もダブルタックルで相手を押し戻すなど集中力高くプレーした。しかし、ダブルタックルで押し戻しながら、LOサナイラ・ワクァが勢いあまって倒れ込みの反則を取られてしまう。オーストラリアのキャプテンSHライアン・ロネガンにPGを決められ、3-3の同点。この日の日本は好プレーが続かず、好機でのミスや反則で観客のため息を誘うシーンが多かった。

 

攻撃面では防御背後へのキックを多用して防御を崩そうとしたが、18分には、そのボールを切り返され、オーストラリアのFBジョック・キャンベルに抜け出されてしまう。ここは中尾が一対一の難しいタックルを決めてピンチを防ぐ。20分には、NO8リーチ マイケルがジャッカルで反則を誘うなど我慢強く戦った。25分、中尾のショートパントを追ったCTBディラン・ライリーがボールをキャッチしてゴールラインに迫るも、サポートの選手がダウンボールされたボールを蹴ってトライチャンスを逃した。前半は、PGを決めあって、9-6と日本リードで折り返す。

松島幸太朗

後半の2トライは会場を大いに沸かせた。後半5分、相手陣22mライン付近のスクラムから、SH齋藤直人がボールを左に持ちだすと、縦に走り込んだCTB中野将伍を囮に、FB山中亮平、ライリー、WTBシオサイア・フィフィタとパスが渡って、左コーナーにトライ。14-6とする。オーストラリアWTBスリ・ヴニヴァルにトライを返されたが、夏の日本代表戦は怪我などで欠場していたSH流大、FL姫野和樹が登場すると会場の熱気はさらに高まる。中尾がPGを追加し、17-13と4点リードで迎えた後半15分のトライはこの日のハイライトだった。フィフィタが相手のキックオフを切り返して左タッチライン際を快走。ボールを繋いでオーストラリア陣に入り、さらに流からパスを受けた姫野が前進。右オープンにボールを大きく展開し、最後は交代出場したばかりのWTB松島幸太朗がファーストタッチで右コーナーに飛び込んだのだ。

これで勝利を確信したファンも多かっただろう。スコアは、22-13。しかし、その後はオーストラリアの怒涛の攻撃が始まる。日本は疲労の蓄積と、メンバー交代もあってディフェンスがほころびはじめる。18分、オーストラリアの連続アタックでトライを奪われると、21分には、ラインアウトからの攻撃で内側からのディフェンダーと姫野が同じ選手にタックルに向かったとことで、ボールキャリアーを走らせてしまう。最後は、交代出場のWTBマーク・ナワンガニタワシにトライされ、22-27と逆転を許した。33分にも左タッチライン際でナワンガニタワシのステップワークに奔走され、トライを追加される。

試合前は「結果を出したい」と話していた坂手淳史キャプテンは悔しそうな表情で語った。「持ち込んだボールをミスで失うことが多かった。簡単にトライされたのは、ディフェンスの立ち位置の問題やコミュニケーションのミスです」。ディフェンスを完全に崩しながらトライを獲りきれないシーンは多く、安定していたスクラムも終盤はばらばらになり、ディフェンスもどの選手に誰がタックルに行くかの連携が悪くなった。後半登場した復帰組の流、姫野、松島も本来のパフォーマンスには戻っていない。

ラグビー日本代表強化試合 第1戦(10月1日)

【ハイライト動画】JAPAN XV vs. オーストラリアA

収穫もあった。ダブルタックが良く決まり、相手に抜け出されたときの反応も素早かった。日本代表スコッドでの初試合となった中尾、FL下川甲嗣も今後のレギュラー争いに絡むだけの実力を示した。下川は約50分のプレーだが「オーストラリアAにはすべての面で力強さとスピードを感じました。一回一回の接点でのダメージも初めて経験するものでした」と貴重な経験をしたようだ。このレベルの試合が日本選手に不足している証左でもあるが、テストマッチのレベル、スーパーラグビーのトップ選手たちのプレーを体感したことが、日本代表のレベルを押し上げるのは間違いない。第2戦、第3戦も日本が正確にプレーを遂行できれば勝てるし、少しでもミスや反則を重ねれば負ける。日本代表強化にとって願ってもない実力者との残る2戦で着実にチームのレベルを上げていきたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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