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佐藤健次(6/5 早稲田大学 vs. 帝京大学)
6月も中旬に入り、関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦の所属チームがリーグの枠を超えて対戦する関東大学春季交流大会は終盤戦を迎えた。最上位カテゴリーのAグループでは、6月12日に早稲田大学と日本大学の一戦が行われる(@日本大学グラウンド、13時キックオフ)。それぞれ昨秋の対抗戦、リーグ戦で2位の実力校であり、今季の大学ラグビーシーンの顔となりそうな俊英を数多く擁するだけに、見応えのある戦いが繰り広げられそうだ。
両者のここまでの戦績を振り返ると、早稲田は5月1日の春季大会初戦で明治大学に19-26と惜敗した後、翌週の東海大学戦も後半最初の25分間に3トライを許して29-38で振り切られた。3戦目でようやく大東文化大学から62-14のビッグスコアで初勝利を手にしたものの、前週は帝京大学のパワフルなコンタクトの前に26-52と完敗。随所に学生随一の展開力とスピードを発揮して見事なトライを挙げる半面、接点のバトルやディフェンスには課題が残る内容で、1勝3敗と黒星が先行している。
対する日大はシーズン初戦となるはずだった5月1日の帝京大学戦が新型コロナウイルスの影響で中止となり、ファーストマッチが5月29日の東海大戦までずれ込むアクシデントに見舞われた。試合は久々の実戦ということもあって思うようにペースをつかめず、17-50で敗戦。この春より就任した元日本代表キャプテンの菊谷崇ヘッドコーチのもとで飛躍を期すチームにとっては厳しいスタートとなったが、局面を見れば地力を感じさせるシーンも多々あり、2戦目となる今節はよりいい状態でゲームに臨めるはずだ。
戦力面を見ると、早稲田はCTB長田智希主将を筆頭にPR小林賢太、FB河瀬諒介と、要のポジションで絶大な存在感を示してきた主軸が卒業した。この部分をチームとしていかにカバーしていくかが、就任2年目の大田尾竜彦監督にとっての大きなテーマだろう。FWでは昨年ルーキーながらNO8として獅子奮迅の活躍を見せた佐藤健次がHOに転向し、キャプテンの相良昌彦がFLからNO8へ、コリジョンに強い村田陣悟がLOからブラインドサイドFLにシフト。帝京、明治、東海といったライバルたちがビッグパックを誇るだけに、FW陣の成長が今季の戦いを左右しそうだ。
BKにはどのポジションにも世代を代表する逸材がそろっており、ライン全体の総合力は全国随一といえる。ここまでのゲームを見ると、長田が務めた12番は副将の吉村紘か岡崎颯馬、河瀬の後の15番には小泉怜史が入ることになりそう。連携が成熟していくことで、それぞれの持ち味がどのように機能していくかが注目される。
一方の日大は、大学選手権でトップ4に肉薄した昨シーズンのチームから、NO8ハラシリ・シオネ、LOテビタ・オト、CTBフレイザー・クワークを筆頭に多くの主軸が卒業した。特に先発8人中6人が入れ替わるFWの強化は、今シーズンのもっとも重要なミッションだ。東海大学戦で先発したLOイオセファツ・モレコ、FLワイサレ・セレヴィ、リザーブから出場のLOセコナイア・ブルらサイズのある留学生と、小柄ながら抜群のインパクトを誇るHO/FL井上風雅の起用法がポイントになるだろう。
BKはバイスキャプテンのCTB広瀬龍二をはじめ、WTB水間夢翔、SO/CTB饒平名悠斗、FB普久原琉と下級生時から経験を重ねてきた4人が最終学年を迎え、トップレベルのラインに仕上がるポテンシャルを秘める。ナサニエル・トゥポウ、ジョアペ・ナコと決定力あるランナーをどう生かすかという点も含めて、メンバーの組み合わせが焦点となりそうだ。
試合2日前に発表された出場予定選手を見ていくと、早稲田の前節からの先発変更は左PR川崎太雅、FL植野智也、CTB松下怜央の3人。FW第1列は川崎、佐藤健次、亀山昇太郎で、LOは前田知暉と池本大喜がペアを組む。バックローは村田陣悟、植野の両FLにNO8相良昌彦主将の並びだ。HB団はSH宮尾昌典とSO守屋大誠で、CTBは吉村紘と松下のコンビ。バックスリーは西浦剛臣、槇瑛人の両WTBにFB小泉怜史という布陣になった。
ホームグラウンドで迎え撃つ日大は、前節から7人を入れ替えた。FWはPR春野星翔、久保太雅とイオセファツ・モレコの両LO、NO8佐川奨茉が前節に引き続き先発。HOに林琉輝、右PRに岩上龍と去年の公式戦経験者が入り、キャプテンの平坂桃一がルーキーの永池海音とともにFLで出場する。
BKは前節リザーブのSH齋藤史哉が9番を背負い、CTBから本来の持ち場に戻ったSO饒平名悠斗とHBを組む。スリークウォーターバックは左からWTB水間夢翔、CTB広瀬龍二、CTBジョアペ・ナコ、WTBナサニエル・トゥポウで、FBには普久原琉が帰ってきた。経験豊富で能力の高いランナーがそろっており、ほぼベストに近い構成という印象だ。
早稲田はこれが春季交流大会の最終戦。この先に控える夏合宿や秋の対抗戦へ弾みをつけるためにも、いい内容のゲームで春を締めくくりたいところだろう。逆に3週続けての連戦の初戦となる日大にとっては、ここまでの取り組みの成果を発揮して、今後の試合に向け自信をつかみたい一戦となる。お互いの気迫がぶつかり合う熱戦になりそうだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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