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竹山 晃暉(埼玉ワイルドナイツ)
5月22日(日)、快晴の秩父宮ラグビー場には今季最多の15,482人の観衆が集った。前日のプレーオフ準決勝第1試合では東京サンゴリアス(東京SG)がブレイブルーパス東京(BL東京)を破って決勝進出を決めた。東京SGとともにファイナリストとなるのはどちらかのか。リーグ2位・埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)と3位・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)の戦いは、午後2時5分、埼玉WKのSO山沢拓也のキックオフで始まった。やや深めに蹴り込んだボールに対し、埼玉WKのCTBディラン・ライリーが猛然とプレッシャーをかける。
前半2分、S東京ベイのCTB立川理道キャプテンの好キックで埼玉WKゴールライン直前のラインアウトになるが、ここは難なく埼玉WKが確保してピンチを脱する。直後のS東京ベイボールのラインアウトを埼玉WKがスチールし、WTBマリカ・コロインベテが一気に相手陣に入る快走を披露する。ラインアウトについては、埼玉WKの劉永男ラインアウトコーチを軸にしたラインアウトチームの分析が的中していた。
先制トライは、前半7分、ハーフウェイライン付近のS東京ベイボールのラインアウトを奪い取ったところから始まった。40歳のベテランLOヒーナン ダニエルが突進してできたラックのサイドを、23歳のLOエセイ・ハアンガナが抜け出して前進すると、スピード自慢のSH小山大輝、SO山沢のHB団が素早くサポートして山沢がインゴールに駆け込む。埼玉WKの得意とするターンオーバーからの速攻によるトライだった。
S東京ベイも前半15分、SOバーナード・フォーリーのPGで3点を返し、30分過ぎからは何度も埼玉WKゴールに迫った。しかし、得意のモールを埼玉WKに止められ、簡単には得点できない。36分、ゴール前右ラインアウトのモールが止められると、左、左へ繰り返し縦突進してディフェンスを崩しにかかる。ゴールポストからやや左のラックから4人が並ぶBKラインに展開し、SOフォーリーが左端のタッチライン際にスペースがあると見てロングパス。パスが通ればトライの可能性もあったが、これを、埼玉WKのWTB竹山晃暉がものの見事にインターセプトし、そのまま約90mを駆け抜けた。
ジャパンラグビー リーグワン2022
【D1 プレーオフトーナメント 準決勝 ハイライト】埼玉ワイルドナイツ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
「フォーリーがこちらを見ていたので、ディフェンスの幅をキープしながらインターセプトを狙いました」(竹山)。S東京ベイがトライしていれば、7-10とリードで後半に入れるところが、14-3と差は広がった。まさに値千金のトライだった。よく観察すれば、ワイルドナイツのディフェンスは崩れていなかった。フォーリーがボールを持った時点で前に3人のディフェンダーが並び、その後ろにはFB野口竜司が控え、さらに内側からFWの選手たちも押し上げている。ロングパスが通ってもトライには至らなかった可能性が高い。波状攻撃を少ない人数で止め、ディフェンスラインを素早く整える。この繰り返しでアタック側のS東京ベイの選択肢が少なくなっていった。埼玉WKのディフェンスの強みを再認識するインターセプトだった。
堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ)
後半も主導権は埼玉WKが握った。11分に山沢がPGを追加して17-3。スクラムでも優位に立ち、後半14分には満を持してHO堀江翔太が登場してFW陣をリードする。25分にはラインアウトからのモールを押し込んで堀江がトライ、24-3とリードを広げた。S東京ベイも、交代出場のHOジャバ・ブレグバゼ、PRオペティ・ヘルらが力強い突進で勢いを出そうとしたが、終了間際にオペティ・ヘルがトライを返すにとどまった。最終スコアは、24-10。プレーヤーオブザマッチには竹山晃暉が選ばれた。
不動の先発SO松田力也が負傷し、今季2度目の先発出場となったSO山沢拓也は、先制トライをあげ、ディフェンダーをショートパントでかわす個人技を披露するなど卓越したスキルでチームをけん引した。「勝たなければいけない試合で勝ち切れたのは良かったです。エリアを意識して、うまく敵陣でプレーできたと思います」。堀江につなぐまで先発HOとして全力でプレーした坂手淳史キャプテンは「15,000人のファンの前でいいラグビーができて嬉しかったです。いいディフェンスから得点につなげるワイルドナイツのラグビーができました」と笑顔で語った。決勝戦に向けてのコメントを求められた堀江は「最後まで自分たちがどれだけ成長できるかにフォーカスしたい」と達観した表情で語った。決勝戦は5月29日、国立競技場で開催される。
敗れたS東京ベイのフラン・ルディケヘッドコーチは埼玉WKを称えたうえで冷静に語った。「ラインアウトからのモールなど自分たちの強みを出せなかった。スキルが十分ではなかったということで、言い訳はできない。しかし、シーズンを通していい良いラグビーができていたし、トップチームの一員にはなれたと思う」。この日は、HO杉本博昭がスピアーズでの公式戦100試合だったのだが、それを勝利で祝うことができなかった。28日(土)の3位決定戦ではBL東京と対戦する。2年連続でトップ4に残ったチームとして有終の美を飾りたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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