人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

ラグビー コラム 2022年5月13日

振り返るリーグワン2022ディビジョン1の戦い。 5月21日、激戦必至の4強対決が始まる。

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
  • Line

ダミアン・マッケンジー(東京サンゴリアス)

新リーグ「ジャパンラグビーリーグワン」の一年目は、質の高い試合で観客を喜ばせる一方で、コロナ禍で中止の試合が相次ぐ苦しい運営を余儀なくされている。最上位のディビジョン1は、1月7日、国立競技場で開催予定だった開幕戦のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)対埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)が中止になるというスタート。毎節のように中止の試合があり、一時はリーグ自体が成立しない悪夢がよぎる危機的状況だった。

最終的に第16節まで予定されていた96試合中18試合が中止になったが、5月8日には当初の予定通りレギュラーシーズンを終了した。ディビジョン1のチームに残された試合は、ベスト4によるプレーオフ、ディビジョン2との入替戦のみ。今一度ディビジョン1を振り返り、楽しみなプレーオフを展望してみよう。

開幕戦から圧倒的な攻撃力を見せつけたのは、東京サンゴリアス(東京SG)だった。第1節に東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)とのトライ合戦に60-46で勝利。第2節では、トヨタヴェルブリッツ(トヨタV)を50-8で下した。この2試合で新加入のダミアン・マッケンジー(ニュージーランド代表)が華麗なプレーを披露し、トレードマークのプレースキック時の微笑みでも観客を魅了した。シャイニングアークス東京ベイ浦安(SA浦安)のFBイズラエル・フォラウ(オーストラリア代表)が世界トップレベルのハイボールキャッチを披露するなど新加入の海外代表選手が序盤のリーグワンを彩った。

稲垣啓太(埼玉ワイルドナイツ)

マリカ・コロインベテ(埼玉ワイルドナイツ)

優勝候補筆頭だった埼玉WKは第3節から登場し、PR稲垣啓太、HO坂手淳史、SO松田力也ら日本代表勢、爆発的なスピードを持つWTBマリカ・コロインベテ(オーストラリア代表)らを軸に着実に白星を重ねた。第6節からはカンファレンスAとBの交流戦が始まり、2月19日のBL東京との死闘に逆転勝ち。翌週には東京SGとの全勝対決(不戦敗を除く)を34-17で制した。埼玉WKはその後も快進撃を続け、第16節まで14連勝中だ。

根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

東京SG、埼玉WKに勝るとも劣らない実力を見せたのがS東京ベイだ。相手を仰向けに倒すタックルと突進で観客を沸かせたPRオペティ・ヘルはリーグワン最大の衝撃といってもいいだろう。第7節にデビューしたWTB根塚洸雅ら若い選手が活躍し、ベテランCTB立川理道キャプテンが抜群の安定感でチームを引っ張る。第16節には埼玉WKに敗れたが、多くの主力を怪我が欠きながら後半30分まで接戦を繰り広げた。堂々たる戦いで3強に名を連ねている。

プレーオフ進出枠の4位の座を巡る戦いは最後までもつれた。第12節(4月9日)でS東京ベイを破った横浜イーグルスが有利かと思われたが、第15節(5月1日)に神戸スティーラーズに敗れ、トヨタVもコロナ陽性者が出た影響で不戦敗となって脱落。BL東京が滑り込んだ。BL東京は4位が決まった状況で、第16節、静岡ブルーレヴズと激闘を繰り広げ、終了間際に30フェーズ にも及ぶ連続攻撃で逆転トライを奪った。チームとして確かな成長を感じる勝利だった。

S東京ベイ、BL東京、横浜Eなど着実にレベルアップを感じさせるチームがある一方で、神戸Sなど負傷者が多く苦しんだチームもある。NTTグループのチーム再編というニュースもあり、SA浦安とレッドハリケーンズ大阪の選手にとっては先の見えない不安の中での戦いだった。いち早く新会社を設立して戦った静岡BRは8位に終わったが、S東京ベイと24-30、埼玉WKと25-26、BL東京29-33と上位陣と接戦して存在感を見せた。ブラックラムズ東京もと東京SGと33-36、トヨタVと19-23など健闘したが9位。グリーンロケッツ東葛も勝利を目前に敗れた試合があり、実施された試合で勝つことはできなかった。

得点王は、191得点(7T/48G/20PG)のダミアン・マッケンジー(東京SG)。最多トライゲッターは11トライをあげたディラン・ライリー(埼玉WK)、山下楽平(神戸S)が受賞。山下は第16節のSA浦安戦で4トライをあげている。ベストラインブレイカーは、第7節からの登場で22回のラインブレイク(ディフェンスラインをランニング、キック、インターセプトで突破した回数)に成功した根塚洸雅(S東京ベイ)が受賞した。

5月21日(土)からはプレーオフトーナメントがはじまる。準決勝のカードは、東京SG対BL東京(5月21日、花園ラグビー場)、埼玉WK対S東京ベイ(5月22日、秩父宮ラグビー場)。3位決定戦は28日(秩父宮ラグビー場)、決勝戦は29日、国立競技場で行われる。東京SGとBL東京は今季1勝1敗。5月1日、雨の中での対戦ではBL東京の前に出るタックルが刺さり続けた。東京SGの中村亮土キャプテンは「雨のコンディションもあって、分かりやすい攻撃をしてしまった」と話した。端的に言えば、東京SGの超攻撃的ラグビーと、BL東京のディフェンスのどちらが勝るのか。もちろん、その逆の見どころもある。

埼玉WKとS東京ベイは、5月7日に対戦し、35-14で埼玉WKが勝ったが、S東京ベイは、PRオペティ・ヘル、HOマルコム・マークス、LOルアン・ボタ、SOバーナード・フォーリーなど試合の流れを変えられる選手が不在だった。怪我の回復具合は未知数だが、彼らが登場すれば戦力アップは間違いない。埼玉WKも不動のSO松田力也は第16節で膝を痛めた。ここは5月9日に発表された日本代表候補に選出された山沢拓也がカバーするだろう。ディフェンスからの切り返しを得意とする埼玉WKが今回も終盤に勝負を決めるのか。それともS東京ベイがターンオーバーを許さない戦いを遂行し、大きなFWを前に出して勝利するのか。4チームにはこの夏の日本代表候補が多い。それだけシーズンを通して質の高いラグビーをしているということだ。さまざまな角度から楽しめるプレーオフになる。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

人気ランキング(オンデマンド番組)

J SPORTSで
ラグビーを応援しよう!

ラグビーの放送・配信ページへ