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【ハイライト動画あり】埼玉ワイルドナイツ破竹の14連勝 最後のホストゲームでクボタスピアーズ船橋・東京ベイを破る プレーオフでの再戦はどうなる?
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一埼玉ワイルドナイツ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
5月7日(土)、埼玉県の熊谷ラグビー場には、9,099人の観衆が詰めかけた。このスタジアムで何度も観客を喜ばせてきた埼玉ワイルドナイツ(埼玉WK)の今季最後のホストゲーム。相手は2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)である。加えて、レギュラーシーズン最終節を前にして、この試合と、首位・東京サンゴリアス(東京SG)の試合の結果次第でトップ4の順位が入れ替わる可能性があったのだから盛り上がるのは当然だった。
しかし、金曜日の時点で東京SGが不戦勝になったことで首位が確定。5月22日(日)のプレーオフ準決勝では2位と3位が戦うことになっており、2位のS東京ベイ、3位の埼玉WKの順位が入れ替わっても、両チームは準決勝でもう一度戦うことが決まった。メンタル面で難しい試合になると思われたが、埼玉WKの坂手淳史キャプテンはきっぱりと言った。「ここでできる今季最後のゲームで、いつも応援に来てくださっているファンの皆さんに良いゲームを見せることにフォーカスしました」。S東京ベイの選手たちも、熊谷まで駆け付けたサポーター「オレンジアーミー」のためにも自分たちがやるべきプレーにフォーカスして戦った。
午後5時、S東京ベイSO岸岡智樹のキックオフで試合は始まった。立ち上がりの攻防で、埼玉WK不動のSO松田力也が膝を痛め、山沢拓也が開始3分で投入されるアクシデントが発生する。対するS東京ベイも、新加入のCTBハラトア・ヴァイレアが膝を痛め、その後、埼玉WKのLOジョージ・クルーズ、S東京ベイLOヘル ウヴェがメンバーチェンジで退くなど序盤は落ち着かない展開となる。
山沢の先制PG(前半5分)のあとは一進一退の攻防となったが、先にトライをとったのは埼玉WKだった。34分、S東京ベイのゴール前5mのラインアウトからモールを押し込み、最後はFL大西樹が左サイドを駆け抜けて左中間トライをあげる。S東京ベイも前半終了間際にラインアウトからのモールでHO杉本博昭がトライ。FBゲラード・ファンデンヒーファーがゴールを決めて、8-7と埼玉WKの1点リードで前半が終了した。
試合展開はいわゆるキッキングゲーム。両チームともエリアを意識してキックを使い、ハイボールの奪い合い、ロングキックの応酬、カウンターアタックの仕掛け合いで我慢比べとなる。後半7分、埼玉WKはFW第一列をそっくり入れ替える。今季の必勝パターンに盛り上がるスタジアム。クレイグ・ミラー、堀江翔太、ヴァルアサエリ愛が登場すると、直後のスクラムで猛プッシュ。相手の反則を誘って山沢がPGを決める。18分にも山沢がPGを決めて、14-7。流れは埼玉WKに大きく傾いたか見えた。
しかし、地力をつけたS東京ベイも反撃。岸岡が徹底してディフェンス背後へのキックを使い、26分、ハーフウェイライン付近からハイパントを蹴り上げる。埼玉WK陣22mライン付近まで飛んだキックを、それまで好フィールディングを見せていた埼玉WKのFB野口竜司とWTB竹山晃暉が連係ミスで落球。S東京ベイのCTBテアウパ シオネがボールを確保してWTB根塚洸雅につなぐ。クリーンブレイク数でリーグ1位の決定力はこの日も健在だった。このトライ後のゴールも決まって、スコアは、14-14の同点となる。だが、S東京ベイのスコアはこれが最後だった。
後半30分を過ぎてからは埼玉WKがゲームを支配する。まずは31分、ハーフウェイライン付近のラインアウトから右オープンに攻撃し、右タッチライン際でラックができると、右の狭いスペースを堀江がつき、竹山につなぐ。竹山はすぐに短いキックを使って22mライン内に侵入。いったんはS東京ベイがボールを確保したが、埼玉WKのCTBディラン・ライリーが倒されたファンデンヒーファーのボールを奪い取り、ここから左オープンに大きく展開。最後は左タッチライン際で待っていた野口がインゴール左中間にトライをあげた。堀江がショートサイドをすり抜けたプレーをはじめ、各選手の高いスキルが組み合わさった攻撃だった。これで21-14とリードした埼玉WKは、NO8ジャック・コーネルセン、竹山がトライを追加して快勝。第3節から続く連勝を14に伸ばした。
ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
【第16節ハイライト】埼玉ワイルドナイツ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
「前半にプレッシャーをかけて、相手を疲れさせ、最後に仕留めるのはワイルドナイツの戦い方です。14連勝という結果には満足していますが、改善すべきところはたくさんあります。準決勝に向けてギアを上げていきたい」。坂手淳史キャプテンは貪欲に語った。松田力也の怪我は心配だが、山沢がそん色ない動きを見せ、40歳のベテランLOヒーナン ダニエルも攻守に全盛期と変わらぬ激しいプレーを見せた。前半はやや甘かったディフェンスも後半は修正。プレーオフに向けて視界は良好だ。
S東京ベイも悲観する内容ではなかった。SO岸岡智樹は「大きく差を感じることは何もありませんでした」と手ごたえを口にした。S東京ベイ自慢の大型FWを相手陣で戦わせることができれば勝機はある。PRオペティ・ヘル、HOマルコム・マークス、LOルアン・ボタ、SOバーナード・フォーリー、CTBライアン・クロッティといった主力選手が怪我などで欠場していたことを考えると、70分まで互角に戦えたことは自信になっただろう。準決勝がますます楽しみになる戦いだった。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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