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ディビジョンン1第12節注目の一戦は、4位の横浜キヤノンイーグルス(横浜E)が2位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)を30-21で下し、プレーオフ進出枠のトップ4入りに向けて一歩前進した。
4月9日(土)、大阪の万博記念競技場は、快晴ながら強風が吹いていた。前半、風上に立ったS東京ベイは、SO岸岡智樹が相手陣深く入ろうと、何度かキックを使ったが、これが風に乗ってデッドボールラインを越え、そのたびに蹴った位置での横浜Eボールのスクラムとなり、チャンスをつかめなかった。それでも7分、横浜EのSO小倉順平のキックをFL末永健雄がチャージし、このボールをNO8ファウルア・マキシが確保して前進。末永にパスをつないで先制トライを奪う。
ボールをスピーディーに動かして攻める横浜Eだが、序盤はS東京ベイの力強いタックルに押し戻されることが多かった。S東京ベイのキックミス(ダイレクトタッチ)や反則でチャンスをつかんだ横浜Eは、前半16分、相手陣深く攻め込んだラインアウトから連続攻撃を仕掛け、SO小倉がキレの良いステップでタックルをかわしてトライ。7-7の同点とする。S東京ベイも、この日がトップリーグ、リーグワン通算50試合目となるFBゲラード・ファンデンヒーファーがトライし、自らゴールも決めて7-14。その後も拮抗した攻防が続き、前半36分、横浜SのFBエスピー・マレーがPGを決め、前半は10-14で終わった。
第5節の対戦時は、S東京ベイが後半に突き放したが、この日は横浜Eが後半戦を支配した。後半開始早々、NO8アマナキ・レレイ・マフィのジャッカルで反則を誘うと、S東京ベイ陣深く攻め込み、4分、CTB梶村祐介がトライ。マレーがゴールを決めて、17-14と逆転に成功する。7分、ラインアウトからのモールを押し込むと、S東京ベイがモールを崩すコラプシングの反則。FL末永がチームとして同じ反則の繰り返しでシンビン(10分間の一時退場)の処分を受ける。人数でも優位に立った横浜Eはさらにアグレッシブに攻め、その後もS東京ベイの反則を誘った。
【第12節ハイライト】クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. 横浜キヤノンイーグルス|ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1
17分、マレーが40m以上のロングPGを決めて20-14。このPGについて、沢木敬介監督は「相手がシンビンのときは3点でももぎ取る。スコアをするのがラグビーの鉄則です。リーダー陣がそれを理解して、コントロールできたことは大きい」と話した。勢いに乗ってトライを狙うのではなく、確実に点差をつけてプレッシャーをかける。落ち着いたゲーム運びにチームの成長が垣間見えた。横浜Eは、後半30分にもマレーがPGを追加し、23-14と、1トライ、1ゴールでは追いつけない点差に引き離す。そして、38分、ラインアウトからモールを押し込んで、交代出場のPR五十嵐優がトライ。勝利を決定づけた。「モールは今季の武器。めちゃくちゃ時間をかけて練習してきました。佐々木隆道コーチに感謝です」(HO庭井祐輔)。プレーヤーオブザマッチは、FBエスピー・マレー。PKからの正確なタッチキック、プレースキック、そしてチャンスの芽を摘むジャッカルと、獅子奮迅の活躍だった。熾烈なトップ4争いの中で上位を倒したことは計り知れない価値がある。なにより、前半の苦しい時間帯を耐え、後半に突き放すという試合展開は、チームとしての自信を深める内容だった。横浜キヤノンイーグルスの歴史の中でも大きな勝利と言えるだろう。
一方、敗れたS東京ベイは、後半、相手陣で戦った時間が少なく、フィジカル面の強みも出すことができなかった。後半のペナルティーは、横浜Eの2に対して13にも及んだ。立川理道キャプテンは次のように語った。「なかなかペースをつかめない80分でした。うちの大きなFWを前に行かせてあげられなかった。キヤノンはうまくゲームをコントロールしていて、学びがありました」。勝ち点はあげられず、3位に後退したが、4位の横浜Eの勝ち点とは、まだ8点の差がある。学びを次に生かしたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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