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ラグビー コラム 2022年3月7日

【ハイライト動画あり】ブラックラムズ東京、薄氷を踏む勝利 グリーンロケッツ東葛は白星に見放される

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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「このチームの歴史を変えるためです」。グリーンロケッツ東葛(GR東葛)のゲームキャプテンを務めたレメキ ロマノ ラヴァは、試合終了間際、同点PGではなく、トライを狙った判断について語った。3月6日(日)、秩父宮ラグビー場で行われたリコーブラックラムズ東京(BR東京)対GR東葛の戦いは、最後までもつれる接戦になった。

午後2時30分、GR東葛ボールのキックオフ。先制したのはGR東葛だった。連続攻撃からCTBギハマット・シバサキが抜け出し、今季初先発のSH藤井達哉の山なりのパスを受けたWTB宮島裕之がインゴールへ。レメキのゴールも決まって、7点を先取する。その後のGR東葛はスクラムで反則が続き、前半13分、チームとしての同じ反則の繰り返しでHO新井望友がシンビン(10分間の一時退場)になってしまう。

この機に乗じて、BR東京はスクラムからNO8ボークコリン雷神がサイドアタックし、SOアイザック・ルーカスがトライ。ルーカスのゴールも決まって、7-7の同点とする。しかし、GR東葛は、レメキの好タッチキックでBR東京ゴールラインに迫り、23分、ラインアウトからモールを押し込んでHOアッシュ・ディクソンがトライをあげて、7-12とリード。30分にもレメキがPGを加えて7-15で前半を終えた。

後半の立ち上がりは、BR東京がルーカスのラインブレイクなどで攻め込み、ゴール前のPKでPGを狙わずにスクラムを選択するが、逆に反則をとられてチャンスを逸した。8分、レメキがPGを決めて、7-18となる。直後にも攻め込んだGR東葛だが、ラインアウトでノットストレートの判定で逸機。苦しんでいたBR東京の2つ目のトライは後半13分に生まれた。ハーフウェイライン付近からFBメイン平がカウンターアタック。タックルをハンドオフでかわしながら一気に右タッチライン際を快走し、右コーナーにボールを持ちこみトライ。難しいゴールをルーカスが決めて、14-18とした。

ジャパンラグビー リーグワン2022 ディビジョン1

【第8節ハイライト】ブラックラムズ東京 vs. グリーンロケッツ東葛

互いに反則が多く、どちらも主導権を握れない展開の中で、21分、BR東京のWTBロトアヘアアマナキ大洋がPKから速攻を仕掛け、3人のタックルを外してトライし、ゴールも決まって、21-18と逆転する。GR東葛も今季初勝利をあげようと、あきらめない。何度か同点PGのチャンスが訪れたが、タッチキックでラインアウトからの攻撃を選択。理由は冒頭のコメントだ。引き分けでは終われない。リーグワンになって大型補強をし、生まれ変わったチームとしてここで初勝利を挙げるのだ。

しかし、BR東京もFL松橋周平のジャッカルなど粘り強いディフェンスを見せる。残り時間3分ほどのところで、レメキがインゴールにボールを持ちこんだが、ここはアイザック・ルーカスが体を抱えるタックルでボールを押さえさせず、ゴールライン・ドロップアウトとなる。試合終了間際には、WTB宮島が左コーナーに飛び込んだが、ここでもルーカスがタックルしてタッチに押し出してトライを防いだ。TMO(映像判定)で何度も確認するほどのぎりぎりのトライセービングタックルだった。その後もGR東葛は攻め続け、LOジェイク・ボールがゴールライン上にボールを押さえたが、ここはTMOでダブルムーブメントの判定。いったん倒された状態からほふく前進のようにボールを運んだという反則だった。

ノーサイドの笛が鳴り、勝利の雄叫びを上げるBR東京の選手たち。実際に行われた試合では第1節以来の勝利で喜びもひとしお。「完ぺきではなかったが、パフォーマンスは良くなっている。88分間戦い抜いた選手たちを誇りに思います」(ピーター・ヒューアットヘッドコーチ)。プレーヤーオブザマッチは、メイン平が受賞した。惜敗したGR東葛だが、試合後のコメントは前向きだった。「この試合が一番ワンチームを感じた」(レメキ)、「悔しいけど、チームとしては良いラグビーができていたし、前の試合からもレベルアップしていた」(田中史朗)。選手たちも少しずつ勝利に近づいていることを実感したようだ。

それにしても長い試合だった。レフリーが時計を止めていない時間が約88分あり、TMOなどで止まった時間も多い。反則が多いと言えばそれまでだが、同じ試合内容でももっとテンポよく進行できるのではないか。スムーズな試合進行はファンサービスという視点からも重要で改善を望みたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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