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帝京大学 vs.早稲田大学(11/3)
関東大学対抗戦Aは、ここ数年の大学王者が顔をそろえている。2017年度まで9連覇を達成した帝京大、2018年度の明大、2019年度の早大だ。2020年度は天理大に王座を奪われたが、早大が準優勝。歴史をさかのぼると、対抗戦グループのチームが大学選手権の決勝に進出できなかったのは、57回の歴史で37回大会(関東学大対法政大)の一度しかない。長期間トップレベルを維持するチームが揃って、今季も熾烈な順位争いが繰り広げられている。
筑波大学 松永貫汰キャプテン
今季は9月12日、帝京大対筑波大で開幕。17-7で帝京大が競り勝ったが、フィジカル面でも帝京大に健闘した筑波大はその後、上位陣を苦しめる存在になる。9月26日には、前に出るディフェンスと、抜群のランニングスキルを誇るFB松永貫汰キャプテン(4年)を軸にしたスピーディーな攻撃で慶大を34-12で破る。10月9日の早大戦は、14-21で敗れたが、序盤戦の対抗戦を盛り上げた。
明治大学 石田吉平
快進撃を続けるのは、3年ぶりの大学王座奪還を目指す明大だ。10月24日、他チームが苦しんだ筑波大を、53-14というスコアで圧倒し、多彩な攻撃で「明治強し」を印象付けた。そして、11月3日の慶大戦でも6トライを奪う快勝。WTB石田吉平(3年)が切れ味あるランで4トライをあげた。順位は勝ち点制で決められるが、明大は、すべての試合で勝ち点「4」と、3トライ以上差をつけるボーナス点「1」を獲得しており、満点の25点で首位に立っている。
帝京大学 vs.早稲田大学(11/3)
これを追うのが帝京大と早大だ。両校は、明大対慶大戦の行われた11月3日の駒沢陸上競技場の第1試合で対戦し、29-22で帝京大が競り勝った。最後は早大が追い上げたが、帝京大はスクラムで圧力をかけて得点し、後半には、FLリッチモンド・トンガタマ(4年)、WTBミティエリ・ツイナカウヴァドラ(3年)というインパクトプレーヤーを投入して試合を決めた。実に早大からの3年ぶりの勝利だった。帝京大はV9を知るメンバーが卒業でいなくなったが、「9連覇した時も毎年メンバーは違うし、影響はない」(岩出雅之監督)と、今年のメンバーで勝つことだけを見据えている。早大もFB河瀬諒介(4年)のトライなどで7点差以内の負けに与えられるボーナス点「1」は獲得した。
勝ち点は、25点の明大を、帝京大(23点)、早大(20点)、慶大(15点)が追う展開。11月20日には、明大対帝京大(秩父宮)の首位攻防戦がある。スクラムではどちらが優位に立つのか。多彩な攻撃が光る明大に対して、粘り強い帝京大ディフェンスはどちらが勝るのか。勝ったチームが優勝に大きく前進する。見逃せない一戦だ。11月23日の早大対慶大、12月5日の早大対明大という伝統の定期戦も順位争いの上で重要だ。2試合を残して、上位3チームは優勝の可能性がある。
たとえば、明大が帝京大にボーナス点を獲得して勝った場合、勝ち点は30点になる。ただし、早大が慶大、明大に満点で連勝し、明大にボーナス点を与えなければ、30点で同点になる。勝ち点が並んだ場合の規定は、【1.全試合の勝利数の多いチームから上位とする。2.当該チーム同士の試合で、勝ち点の多いチームを上位とする】なので、早大が上回ることになる。明大が帝京大に勝ち、早大が慶大に敗れると、その時点で明大の優勝が決まるかもしれない。帝京大が明大に勝ち、12月4日の慶大戦でも勝って優勝を決める可能性もある。
対抗戦の全国大学選手権出場枠は「5」。現在5位は筑波大だが、日体大が勝ち点差「4」で追っており、11月27日の直接対決の結果次第では逆転の可能性がある。また、昨季はコロナ禍で中止になった入替戦が今季は実施される。7、8位が対抗戦Bの1、2位チームと戦うことになるが、現在、青学大と立教大が5連敗で、7位、8位。残り2試合で入替戦回避は可能だ。対抗戦Bは、成蹊大、明学大がともに5連勝で昇格を狙っており、昇降格をめぐる戦いにも注目したい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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