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大学王者が開幕戦の完敗からいかに立ち上がるか。関西大学Aリーグ第2節最注目の一戦は、10月3日(日)、奈良県天理市の天理親里競技場にて行われた。第1試合では摂南大が38-27で関西学大を下し、午後2時、天理大対関西大の第2試合が始まった。
天理大学 佐藤康キャプテン
「開幕戦は試合を通して元気がなかった。4年生を中心に寮の雰囲気から変えました」。佐藤康キャプテンの言葉通り、今季の2戦目は元気いっぱいの天理ラグビーが戻ってきた感があった。キックオフのボールをキャッチした関西大がFW陣でボールを前に運ぼうとすると、天理大が猛然とプレッシャーをかけ、ターンオーバーに成功する。
直後の攻撃はタッチラインの外に出てしまったが、このラインアウトから関西大が天理大陣にキックを蹴り込むと、天理大がすかさずカウンターアタック。自陣から右オープンにパスをつなぎ、最後はWTBマナセ・ハビリ(2年)がハンドオフとスワーブと使いながらタックラーを1人、2人とかわし、インゴールまで走りきって先制トライをあげた。1年生SO筒口允之が難しいゴールも決めて、7-0とする。
前半5分、天理大陣深い位置で関西大ボールのスクラムとなる。このピンチを救ったのは、CTB高部勇(4年)だった。思い切りよく前に出てのハードタックルを決め、関西大の反則を誘ったのだ。味方のキックミスによる自陣スクラムというピンチを仲間が救ったことになる。この日の天理大はミスが多かったものの、すぐにチームの勢いを取り戻すプレーが出て、流れを渡さないシーンが多かった。
前半8分、自陣に5mほど入った右ラインアウトから攻めた天理大は、NO8山村勝悟(3年)の縦突進でできたラックからさらに左に展開し、SO筒口が左タッチライン際のWTB内村祐介(4年)にロングパスを放つ。ハーフウェイライン手前でボールをキャッチした内村は、50m6秒フラットの俊足を飛ばしてタックルをかわしつつ左コーナーまで駆け抜けた。筒口がゴールも決めて、14-0。内村は昨季の全国大学選手権では準決勝の明大戦にはリザーブ入りしながら、決勝の早大戦にはメンバーに入れず、その悔しさを晴らすために筋力トレーニング、スピードトレーニングに励んできた。続く12分にも、筒口のキックパスを受けてトライをあげ、チームを勢いづける大活躍だった。ちなみに、今季初戦の欠場は就活だったそうだ。スコアは、19-0。
ラグビー 関西大学リーグ2021
【ハイライト】 天理大学 vs. 関西大学
前に出るディフェンスが持ち味の関西大は、天理大のスピードに翻弄されていたが、前半24分、FWでゴール前に攻め入り、SH溝渕元気(2年)が密集サイドをついてトライを返した。前半の最後には、苦しんでいたスクラムを逆に押し戻すチーンもあったが、天理大の勢いを止めることはできなかった。天理大は、開幕戦で近大の勢いに飲み込まれたのがウソのように元気よくフィールドを駆け回った。LOナイバルワガ セタ(3年)、PR高橋虎太郎、FL服部航大(4年)、NO8山村らが前進してスペースを作り、決定力ある両WTBを走らせる攻撃は圧巻だった。後半開始早々には内村が3本目のトライをあげ、40-7。ディフェンスミスもあって3トライを奪われたが、終わってみれば、11トライを奪い、69-21という大勝だった。自身初だという1試合4トライをあげた内村がプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれている。
「この2週間、チームを立て直そうと学生を中心に頑張ってくれた。反省点は多いが、まずは勝てて良かったです」と、小松監督。FL服部、NO8山村という昨季の優勝メンバーの怪我からの復帰については、「経験を生かしてFWを引っ張り、チームに安定感、勢いをもたらしてくれました」と称えた。今季の関西リーグは勝ち点制を採用しており、勝利=4点、4トライ以上をあげると、ボーナス1点が加算される。初戦で敗れた天理大だが、5点ずつ積み重ねれば6連覇のチャンスは残されている。「この勢いに乗って勝っていきたい」と佐藤キャプテン。次節(10月16日)は、摂南大と対戦する。
敗れた関西大の森拓郎監督は「天理大の勢いを受けてしまい、後手後手になってしまいました」と序盤の連続失点を悔やんだ。次節(10月16日)は、ライバル関西学院大との伝統の「関関戦」である。この日のゲームキャプテンSO高桑基生(4年)は、「リーグ戦とは別に、とても大切な試合だと感じています」と、全力で勝ちに行く意気込みを語った。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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