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前半12分トライへ向かう同志社13大森広太郎
9月18日(土)、京都・宝ヶ池球技場にて2021関西大学Aリーグが開幕した。初戦は春季トーナメントを制した同志社大が関西大と対戦。75-8という大勝で6年ぶりの関西リーグ制覇へ好スタートを切った。午前11時45分、関大のキックオフで始まった戦いは、プレッシャーを掛け合い、開幕戦の緊張感もあってミスが連続する。ブレイクダウン(ボール争奪戦)で同大が激しく前に出てターンオーバーしたかと思えば、関大も好タックルからボールを奪うなど両者一歩も譲らない。
開始4分、最初にトライチャンスをつかんだのは関大だった。同大陣に10mほど入ったラインアウトから展開し、CTB藤原悠(4年)が突破して大きく前進。FB山村英毅(3年)、SH溝渕元気(2年)とボールが渡り、溝渕がインゴールにボールを押さえようとする。しかし、ここで同大SO嘉納一千(2年)がボールごと体を抱えるタックルでダウンボールを許さず、トライを防いだ。
値千金のトライセービングタックルは、昨季までよりもさらに価値の高いものとなった。8月1日から導入されている世界的試験実施ルールの「ゴールラインドロップアウト」が適応されたからだ。攻撃側が持ち込んだボールをインゴールで押さえられなかった場合、これまではゴールラインから5mの地点での攻撃側のスクラムだった。しかし、試験的ルールでは防御側のゴールラインからのドロップキックで再開となる。つまり、押さえなければ一気に陣地を戻されてしまうのだ。ルールの狙いは試合のテンポアップだが、複数の試験的ルールの中でもっとも勝敗に影響を与えるものかもしれない。
その直後、再び関大が攻め込んだところで同大がボールを奪い取る。ここでボールを持ったのは、走力抜群のFB山口楓斗(4年)だった。山口は右に左にステップを踏みながらタックルをかわし、約90mを走り切ってトライをあげる。「たられば」は禁物だが、関大が先にスコアしていれば拮抗した展開に持ち込めたかもしれない。関大にとっては痛恨の失点だった。
関西大学リーグ
【ハイライト】 同志社大学 vs. 関西大学
関大もSO高桑基生(4年)がPGを返したが、同大は12分、関大陣内のラインアウトから連続的にFWで縦を攻め、CTB西村海音(3年)がタックルを受けながらオフロードパス。これを走り込んでキャッチしたCTB大森広太郎(3年)がタックルを振り切って2つ目のトライをあげた。春はSOも経験した西村は、この日のSO嘉納とともにBKラインをコントロールし、練習していたというオフロードパスでチャンスを作った。
3本のトライを決めた同志社11和田悠一郎
勢いに乗った同大は、21分にも相手のキックをキャッチしてのカウンターアタックからWTB和田悠一郎(4年)が左タッチライン際を駆け抜け、3つ目のトライ。25分には共同キャプテンのSH田村魁世(4年)がラックサイドをついてトライし、早々に「4トライ」したチームに与えられるボーナス点1を獲得した。前半もう1トライを加えた同大は、後半も素早いテンポでボールを動かし6トライ。前後半合わせて11トライの猛攻で開幕戦を飾った。
関大もスクラム、ラインアウトのセットプレーで健闘し、再三ディフェンスを崩していたが、あと一歩のところでノックオンなどミスが出た。森拓郎監督が課題にあげていた「トライを取り切る」部分では悔いの残るシーンが多かった。それでも、後半29分にはラインアウトからモールを押し込み、交代出場のHO垣本大斗(2年)がトライをあげた。「スクラム、モールで自分たちのやりたいプレーができたが、(攻撃の)流れにつなげられなかった」と、龍田恭佑キャプテン。「悔しい思いはありますが、シーズンはまだ始まったばかり。目標は大学選手権出場です」と前を向いた。
POMに輝いた同志社12西村海音
同大は共同キャプテンのLO南光希を筆頭に激しいタックルを見せたが、際立ったのはその攻撃力だ。FW、BKが混在してユニットを作るポッドシステムもよく機能し、タックルに入るターゲットを絞らせず、スピーディーにボールを動かした。「BKで何本かトライすることができて、同志社の強みを生かせたことはポジティブにとらえています。ただ、ミスが目立ったので、精度を上げたいです」とは、SH田村。気を引き締めていたが、CTB大森、WTB和田、FB山口の決定力は今後対戦するチームの脅威となる。プレーヤーオブザマッチには、秋の公式戦は初先発のCTB西村海音が選ばれた。攻守に安定感があり、今季のBKラインの軸になっていきそうだ。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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