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ラグビー コラム 2021年9月7日

明大の3連覇か、早大、帝京大が止めるのか。 優勝争い混沌の関東大学対抗戦A

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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関東大学対抗戦

トップリーグに代わる新リーグ「ジャパンラグビーリーグワン」は、2022年1月開幕だが、この秋、ラグビーファンを楽しませてくれるのが、東西の大学ラグビーリーグだ。なかでも関東大学対抗戦Aは強豪がひしめいている。昨年度の大学王者は天理大学だが、その前の3年間の大学王者(帝京大、明治大、早稲田大)が所属する。この3チームは年末年始の全国大学選手権でも優勝を争う実力があり、対抗戦Aからは開幕戦から目が離せない。

開幕に先立ち、9月6日、関東の大学チームがオンラインで記者会見を行った。関東大学対抗戦Aの8チームも、監督、ヘッドコーチが揃ってシーズンへの抱負を述べた。対抗戦での3連覇がかかる明大は、今季より神鳥裕之監督(前リコーブラックラムズ監督)が率いることになった。スローガンは、「MEIJI PRIDE」。部員一人一人が、歴史と伝統のある明治大学ラグビー部の誇りを再認識し、プレーや私生活全ての行動に明治としての誇りを持つ。そんな思いが込められている。

SH飯沼蓮キャプテン

明大は春からコロナ陽性者を出さず活動が継続できている。「FWのセットプレーを強みにして、アタック(攻撃)マインドの強いチームなので、素早いテンポでアタックしていきたいです」(神鳥監督)。SH飯沼蓮キャプテンを軸にLO武内慎(3年)らの強力FWで前に出て、CTB児玉樹(4年)、FB雲山弘貴(4年)を走らせたい。セブンズ日本代表の石田吉平もランニングスキルの高さで活躍するだろう。

昨季対抗戦2位の早大も今季より大田尾竜彦監督(前ヤマハ発動機ジュビロ・コーチングコーディネーター)が就任し、アタックのストラクチャーを変えるなど、大田尾色での強化に当たっている。「いろんなオプションを使いながらのアタック」(大田尾監督)が特徴になる。リーダーシップのあるCTB長田智希キャプテン、WTB槇瑛人(3年)、FB河瀬諒介(4年)らBKは決定力がある。理詰めでボールを動かし、ディフェンスを崩すプレーは楽しみだ。

慶大は昨季、帝京大に勝って3位になり、大学選手権では早大に敗れたもののベスト8に進出した。3シーズン目の指揮をとる栗原徹監督は「すべてにおいてディフェンスからリズムを作っていきたい」と話す。注目はこれまでWTB、FBというアウトサイドBKでプレーしていた俊足の山田響(2年)をSHにポジションチェンジしたことだ。「山田の強みはラグビーの理解」と栗原監督。チャンスとピンチに敏感に働く選手が、もっとも多くボールを触ることこそが、SHにした理由だと説明する。シーズン中にFBに戻る可能性もあるが、山田の動きからは目が離せない。

FL/NO8 奥井章仁選手

昨季4位の帝京大は、対抗戦の優勝どころか、4シーズンぶりに大学選手権の王座奪還を狙える戦力だ。昨季のスーパールーキー奥井章仁(FL/NO8、2年)に続いて、全国高校大会を連覇した桐蔭学園FWの大黒柱だった青木恵斗(1年)、準優勝した京都成章の長身(192cm)LO本橋拓馬(1年)が加入し、突破力ある選手がまた増えた。キャプテンのPR/HO細木康太郎について岩出雅之監督は「歴代キャプテンに負けないリーダーシップでチームをまとめている」と高く評価する。懸念は大学選手権9連覇から3シーズンが経過し、常勝時代を経験した選手がいないことだ。「一戦一戦油断なく成長していきたいです」(岩出監督)。その言葉通り勝利を積み重ねて自信をつけたい。

この上位4大学を崩す一番手となるのが筑波大だ。1年時から活躍するFB松永貫汰がキャプテンとなり、大学日本一を目指してトレーニングに励む。対抗戦の上位4チームに対しても「選手権を優勝するためには絶対に勝たないといけないチームだと思います」と話す。まずは、開幕戦(9月12日)で帝京大に挑むが、「攻守の切り替えの速さ」(嶋ザキ(山に竒)達也監督)で勝負したい。

日体大は、伝統のランニングラグビーで勝負するため、ハードなトレーニングをしてきた。湯淺直孝ヘッドコーチは「期待してください」と自信をのぞかせる。ジュニアジャパンにも選出されたFBハラトア・ヴァイレア(4年)がどのポジションでプレーするかも注目だ。立教大はコロナ感染対策で夏合宿が中止になり、十分な準備ができたかどうかが気がかり。「ひたむきに、しっかりディフェンスすることに尽きる」と福田明久監督。初戦(9月12日)は早大との戦いで、そのディフェンスを向上させたい。昨季は全敗で対抗戦8位に甘んじた青山学院大は明大、帝京大、慶大、早大と上位チームとの連戦から始まる。フィットネスとフィジカルを強化した成果を上位陣にぶつけてレベルアップしたい。

4強が最初にぶつかるのは、コロナ禍の影響を受けなければ11月3日の駒沢陸上競技場だ。早大対帝京大、明大対慶大の2試合が行われる。順当に全勝対決となるのか、波乱を起こすチームが現れるのか。まずは、昨季の下位グループの挑戦に注目していきたい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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