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2022年1月に開幕するラグビー新リーグの「リーグONE(ワン)」に向かって、参加各チームが次々に新体制、新加入選手を発表している。移籍選手も多い。そのなかの一人が神戸製鋼コベルコスティーラーズに加入したLO寺田桂太だ。身長198cmはトップリーグでは日本人最長身だった。近鉄ライナーズ時代は、社員として大和西大寺駅で駅員として勤務するなど、仕事とラグビーを両立していたが、2020年からはプロ選手として宗像サニックスブルースへ。さらなる高みを目指して新リーグでは神戸製鋼に加わる。寺田桂太は、どんな思いで移籍を決意したのか。その意気込み、目標などについて聞いた。
寺田桂太選手
――今回の移籍は、宗像サニックスブルースの強化の見直しというのも影響がありましたか。
「チーム編成の調整という感じで、選手としてはネガティブにとらえていませんでした。しかし、個人的には日本代表にチャレンジしたい気持ちがありました」
――神戸製鋼を選んだことに理由はありますか。
「僕は京都市伏見区に住んでいたのですが、家の近くのコンビニに神戸製鋼コベルコスティーラーズと、阪神タイガースのポスターが並んで飾ってありました。近所に神戸製鋼の選手が住んでいたようです。まだラグビーを始める前のことですが、神戸製鋼はかっこいいと思っていました。エージェントを通じて今回の縁ができました」
――神戸製鋼でどんなLOになっていきたいですか。
「僕は同じチームのLOにずっと影響を受けてきました。今回、同時に神戸製鋼に入団する小瀧尚弘さんは、帝京大学時代の先輩でその激しいプレーに圧倒されました。近鉄ではトモさん(トンプソン ルーク)に圧倒され、近鉄の松岡勇さん、宗像サニックスのマーク・アボット、ジェームス・ムーア、福坪龍一郎さんといったプレーヤーから影響を受けました。なかでも一番影響を受けたのはトモさんです。まだトモさんの足元にも及びませんが、近づけるようなプレーヤーになりたいです」
――プロとして宗像サニックスに移籍したのは、自分をレベルアップさせたかったからなのですね。
「それも理由の一つです。近鉄を退社し、2020年2月にニュージーランドへ留学。トモさんの家の近くで過ごしました。本当は3カ月行くはずだったのですが、新型コロナウイルス感染症の広がりで、1カ月で帰国しました。トモさんと長い時間を過ごすことができて、考え方などを学ぶことができました。トモさんとは、近鉄で3年間一緒にプレーしたのですが、自分に厳しく、チームがしんどい場面で自分を鼓舞してチームを引っ張っていくプレーヤーです。ラグビーをしているときは勝ちにこだわるけれど、ラグビーから離れると家族思いで、いいお父さんです。オン、オフの切り替えが上手いですね。僕はオン、オフの切り替えが下手で疲れてしまうことがよくありました。トモさんと過ごしたことで、ラグビーへの向き合い方が変わったと思います」
――伏見工業高校からラグビーを始めたそうですが、それまでは何かスポーツをしていたのですか。
「中学の時は野球部でした。高校で続ける気持ちはなく、アルバイトの面接を受けていたくらいでした」
――そのころから身長は高かったのですか。
「中学に入学したころは、158cmくらいです。それが、中学3年間で毎年10cmずつ均等に伸びました(笑)。母が170cmくらいで女性としては背が高いのですが、父も170cmくらだし、姉も160cmほどです。僕も生まれたときは小さかったそうです」
――どうして、一人だけそんなに背が高くなったのですか。
「外で遊ぶのが好きな子供で、疲れて歩けなくなるまで遊んで、腹いっぱいで動けなくなるまで食べ、眠れるだけ眠る。全部マックスまでやる子供でした」
――すべてマックスでやったことで大きくなったのですね。伏見工業高校でラグビー部に入ったきっかけはありますか。
「高校1年生のときの担任がラグビー部の高橋健コーチで、1カ月くらい誘っていただいたのにずっと断っていました。しんどそうだし、嫌だったのです。でも、『一回練習を見に来て、それで嫌だったらいいよ』と言われて行ってみると、全部員が集合して、そこで『きょうから入部する寺田くんです』って紹介されました。これはもう抜けられないと(笑)。直後にニュージーランドの高校が来日して伏見工業と練習試合をしたのですが、そこで、ニュージーランドのハカ(ウォークライ)を見ました。すごく感動して、そこからラグビーはいいなと思うようになりました」
――そこから今の198cmまでは、どのように伸びたのですか。
「大学、社会人と毎年徐々に伸びています。まだ止まっていません」
――えっ! では、2mに届くかもしれないのですか。
「さすがにあまり伸びなくなりましたが、測定のたびに少しずつ伸びています」
――体重を増やすなど体作りでの目標はありますか。
「去年のシーズンから体重を5kg増やしています。感覚的にもう少し増やしても動けると思っているからです。増やしてみないと分からないのですが、体の反応を見ながら判断したいと思います」
――たくさん食べそうですが、何かエピソードはありますか。
「最近は一日5食、6食と、分けて食べるので、一度の量は言うほどではありません。小学6年生か中学1年生くらいのころ、回転寿司で50皿、100貫食べたことがあります」
――それは、すごい!
「家族で行って、50皿越えを狙っていたのですけどね」
――神戸という土地にはどんなイメージを持っていますか。
「子供のころ、たまに家族で神戸に行くことがあって、景色がきれいなところだと思っていました。そこに住むというのは、まだ実感がわかないですね」
――神戸製鋼に仲の良い選手はいますか。
「帝京大学の同期の重一生がいますし、近鉄で一緒にプレーしていた尾池亨允さん、今回同時に入団する王鏡聞さん(近鉄→宗像サニックス)など同じチームでプレーした選手がいるので、心強いです」
――神戸製鋼のプレースタイルを外から見てどう感じていましたか。
「去年、練習試合をしたときに感じたのですが、早いテンポでボールを動かすラグビーだと感じました。クリエイティブに賢くボールを運ぶ、知的でスマートなラグビーというイメージです」
――昨季までの神戸製鋼には元ニュージーランド代表LOのブロディー・レタリックがいましたね。
「レタリックは強烈でしたね。2年前から見ていて、いま世界で一番すごいLOだと思っていました。世界最高の選手なので、その後に入ったLOには厳しい目が向けられると思いますのが、それも良いことだと感じています」
――トモさんに影響を受けたということですが、どんなLOを目指しますか。
「トモさんのような、チームが一番きついときに動けるLOじゃないと、チームの信頼は勝ち取れないと思います。誰よりも体を当てて、仕事をするのがLOですから、ハードワークを惜しまないプレーヤーを目指しています。その上に、何か自分の強みを加えられたらと思います」
――寺田選手の強みは何ですか。
「もともとフィットネスはあるほうなので、走り回ることはできますが、効率的に走ることができていません。ラグビーに対してスマートにならなければいけないと思っています。それと、チームの中で一番多く体を当てる選手になりたいし、コンタクトに対しての貪欲さはあるので、ここはもっと生かしていきたいです」
――新しいリーグ「リーグONE」については、どんな期待がありますか。
「これまでよりも競った試合が増え、楽に勝てる試合はひとつもないでしょう。ラグビー以外の面でも競争力は増すのではないかと思っています。僕たち選手もワクワクするようなリーグになるのではないかと思います」
――各チームがホームの試合を主催することで、ファンサービスもこれまで以上にやっていかないといけないですね。
「新リーグは運営力も重要視されていると思います。コロナ禍で難しいシチュエーションですが、その中でも新しいアイディアが出てくるでしょう。リーグ全体で新しいアイディアを出し合って、盛り上げていければいいですね」
――新シーズンの目標を教えてください。
「(神戸製鋼に)入るからには優勝したいです。選手としても、LOといえば寺田といわれるくらいまでになりたいです。日本一になることによって、プレーヤーとしても成長できると思いますし、日本一を目指すなかでチーム全体にレベルアップしていきたいです」
「トモさんの足元にも及びません」と謙虚に話す寺田選手だが、元日本代表LOトンプソン ルークよりも身長は高く、献身的に働き続けるLOになる素質は十分にある。コロナ禍でのステイホーム期間にヨガに出会い、いまや趣味になっているそうで、これから体の柔軟性も出てくるかもしれない。新天地でチームに欠かせない存在となれば、目標である日本代表入りも視野に入る。愛称は「テラ」、「ケイタ」。不動のLOブロディー・レタリックがチームを去ったあと、熾烈なポジション争いの中でどこまで自分を磨けるか。新リーグで神戸製鋼を見る楽しみがひとつ増えた。
■寺田桂太(てらだ・けいた)
・生年月日:1995年2月1日
・出身地:京都市
・身長/体重:198cm/117kg
・ポジション:LO
・経歴:伏見工業高校(現・京都工学院)→帝京大学→近鉄ライナーズ(2017-2019)→宗像サニックスブルース(2020-2021)
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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