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世界のラグビー史に深く刻まれる戦い。 伝統と格式を誇るブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズに リーチ マイケル主将率いる日本代表が挑む
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズvs.日本代表
世界と日本のラグビー史に深く刻まれる歴史的試合が、6月26日、スコットランドのエジンバラで行われる。イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドという伝統国の選抜チーム「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」は、近年は4年に一度結成され、ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリアに順に遠征している。原則として、この3か国の国代表、代表に準ずるチーム、プロチームとしか対戦しない。
これ以外の国と対戦するのは、2005年のアルゼンチン以来2カ国目だ。望んでも対戦できないトップ選手が世界中にあふれるなかで、日本代表はその名誉を得ることになった。6月16日に日本を旅立ちスコットランドで調整中だったが、日本時間の6月24日、そのメンバーが発表になった。
日本代表スターティングメンバー
キャプテンのリーチ マイケルほか、PR稲垣啓太、具智元、LOジェームズ・ムーア、SO田村優、CTB中村亮土、ラファエレ ティモシー、WTB松島幸太朗など2019年にラグビーワールドカップ日本大会のメンバーが、先発15名中14名。経験を重視したメンバー編成になった。引退した福岡堅樹に代わるWTBは、天理大学から近鉄ライナーズに進んだシオサイア・フィフィタだ。スーパーラグビーのサンウルブズでもそのパワフルな走りが通用するのは証明済み。日本代表らしいスピーディーな展開の中で、どんなプレーを見せてくれるのか、楽しみだ。
ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズスターティングメンバー
対するB&Iライオンズのメンバーは、23日に発表された。イングランドの国内リーグ(プレミアシップ)の決勝戦が残っていることもあり、先発15名の中にイングランドの選手はいない。キャプテンのLOアラン ウィン・ジョーンズ、SOダン・ビガーほかウェールズが5名、SHコーナー・マレー、CTBバンディ・アキほかアイルランドが6名、そして、試合会場のマレーフィールドを本拠地とするスコットランドは、PRローリー・サザーランド、PRザンダー・ファーガソン、FLハミッシュ・ワトソン、WTBドゥーハン・ファンデルメルヴァの4名だ。この4名ほか、先発15名のうち8名がライオンズデビューとなる。
※その後、ファーガソンが負傷のため、タイグ・ファーロン(アイルランド)、ワトソンも脳震とうのためジャスティン・ティプリック(ウェールズ)が出場することに。スコットランドの先発は2名、ライオンズデビューは6名になった。
ウォーレン・ガットランドヘッドコーチは「(スコットランドの選手)がマレーフィールドで地元のファン、友人、家族の前でプレーする機会があるのは重要だ。自分が選手だったらそういう機会に大喜びしただろう」と話す。サザーランドは、スクラムで日本代表に圧力をかける主柱だ。ファンデルメルヴァは、193cm、105kgのパワフルWTBで今年のシックスネーションズで最多の5トライをあげ決定力は抜群だ。指揮官の配慮に応えて、この2人が活力あふれるプレーをするのは間違いない。
日本代表はこの試合をテストマッチとし、選手にキャップを与えるが、B&Iライオンズは今年の末のライオンズ役員会で決定するという。もし、日本代表戦がキャップ対象試合になれば、アラン ウィン・ジョーンズは、1995年のラグビーがプロを容認して以降、初出場から連続10試合のテストマッチでプレーする初めてのライオンズ選手となる。テストマッチになるかどうかは未定だが、ガットランドヘッドコーチは気を引き締める。「相手は2019年にラグビーワールドカップで準々決勝へ進出したクオリティーの高いチームだ。ライオンズとしてはテストマッチとして準備している」。
選抜チームの常だが、チームがまとまるには時間がかかる。今回もコンビネーションは十分ではないはずで、スクラム、ラインアウトのセットプレーで圧力をかけ、SHマレー、SOビガーのキックで陣地を進める手堅いプレースタイルで臨むだろう。対する日本代表もコンディションが万全とは言い難いが、RWC2019でともに戦ったメンバーが揃うのは心強い。ボールをキープして連続攻撃を仕掛け、ディフェンスの連携を崩したい。ニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア以外の国でライオンズに勝つ初めての国代表となることができるか。世界ラグビー史の重要な一戦を見逃すわけにはいかない。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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