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トヨタ自動車 vs. パナソニック
トップリーグ2021プレーオフトーナメントは、5月15日(土)、16日(日)、トップ4が激突する。緊急事態宣言下の大阪(東大阪市花園ラグビー場)で開催されることもあって、無観客で行われる。15日、先に対戦するのは、トヨタ自動車ヴェルブリッツとパナソニック ワイルドナイツだ。
ホワイトカンファレンスを6勝1分けと無敗で駆け抜けたパナソニックは、三洋電機時代も含めてトップリーグで4度優勝しており、最後のトップリーグで2015-2016シーズン以来5度目の優勝を狙う。5回の戴冠は、東芝ブレイブルーパス、サントリーサンゴリアスの記録に並ぶものだ。ロビー・ディーンズ監督は「長い道のりでした」と、中止になった昨季からの活動に言及し、選手たちがよく我慢し、グラウンド内外で規律を守りチーム力を上げてきたことを称えた。「すべての局面で今までよりも成長しています。日本代表選手が(昨年までと比べて)チームと行動する時間が長くなっているのも大きいです」。
パナソニックスターティングメンバー
これまで、トップリーグの直前にチームに合流することが多かった日本代表メンバーだが、今年は代表戦がなかったこともあって、じっくりとチーム作りができた。パナソニックの反則(ペナルティ)数はリーグで最も少なく、我慢強くチャンスを待って一気に得点するパターンは健在だ。メンバーは先週の準々決勝(対キヤノンイーグルス)から先発で2名の変更がある。FL(6番)でベン・ガンターが外れ、長谷川峻太が先発。WTB(14番)は梶伊織が先発し、セミシ・トゥポウがリザーブに回る。
ディーンズ監督は、坂手キャプテン、WTB竹山晃暉について、「コンディションが良ければメンバー入りの可能性もある」と話していたが、今回も欠場する。HOは加入2年目の島根一磨が3戦連続で先発する。日本代表の堀江翔太は後半登場するだろう。前節、卓越した個人技を披露したWTB福岡堅樹も先発。順天堂大学医学部に合格し、トップリーグが終われば引退を決めている福岡をパナソニックで見られるのは、多くてもあと2試合になるわけだ。坂手キャプテンは「堅樹の個人としてのシーズンをワイルドナイツとしてサポートしたい」と話し、個人としてもチームとしても良い結果で終わり、福岡を送り出したいと語った。
百戦錬磨のロビー・ディーンズ監督は次のように語った。「トヨタ自動車はとても良いチームです。リーグ戦でもサントリー、クボタとタイトな試合をしています。プレースタイルもポジティブでこれまでとは違ったプレーを仕掛けてくるでしょう。最大限のリスペクトを持って80分間を戦い抜きたいです」
トヨタ自動車スターティングメンバー
対するトヨタ自動車はレッドカンファレンス2位(6勝1敗)、準々決勝ではNTTドコモレッドハリケーンズとの死闘を制して勝ち上がってきた。トップリーグでは決勝に進出したことがなく、初のファイナリストとなるためになんとしても勝ちたい試合だ。メンバーは準々決勝から先発で3名の変更がある。怪我のLOマイケル・アラダイスは欠場し、リーグ戦第6節(4月3日)以来の出場となるジェド・ホロウェイが出場する。海外の代表経験者は同時に2人しかフィールドに立てないため、今回はFLマイケル・フーパー(オーストラリア代表)がリザーブにまわり、7番には機動力ある古川聖人。そして、FBは先週のチャーリー・ローレンスがリザーブに回って、ウィリー・ルルー(南アフリカ代表)が先発。大黒柱のNO8キアラン・リード(ニュージーランド代表)は先週に続いて先発しFWを引っ張る。
どんな窮地にも慌てないリードの存在は選手たちを落ち着かせる。キック力とカウンターアタックの能力を併せ持つルルーは自陣ゴールを背負ってのパナソニックのセットプレーを少なくするだろう。サイモン・クロンヘッドコーチは、「毎週末、メンバーを選ぶのが難しい」と嬉しい悲鳴をあげる。チームプランに沿って責任を果たしてくれる選手が多いという意味だ。「パナソニックは素晴らしいシステムが整っている」とし、勝利のキーポイントとして、「攻守に切り換えの早さ」をあげた。守りから攻めへの切り換えが素早いパナソニックに対抗し、彼らのテンポにならないようにプレッシャーをかけ続けること、そして、攻守ともに素早いリアクションで戦うことだ。
両者は今季初めての対戦になるが、昨年は第2節で対戦し、後半20分まで接戦も、終盤にパナソニックが4トライを畳みかけ、40-20で勝利した。ともにバランスのとれたチームだが、強いて言えば、パナソニックはキックを上手く使い、ボールを保持する時間は少なくても勝つチームだ。トヨタ自動車としてはボールの保持はできるはず。多彩な攻撃でパナソニックのディフェンスを崩せるかどうか。そこでミス、反則を繰り返せばパナソニックのペースになる。規律正しくプレーすることが勝利のカギだろう。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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