引退表明の北川俊澄、古巣に最後のチャレンジ レッド2位のトヨタ自動車ヴェルブリッツに挑む日野レッドドルフィンズ

トヨタ自動車 vs. 日野スターティングメンバー

4月24日（土）、25日（日）、トップリーグ2021プレーオフトーナメント2回戦8試合が行われる。25日、東京の秩父宮ラグビー場では、レッドカンファレンス2位のトヨタ自動車ヴェルブリッツに、ホワイトカンファレンス7位の日野レッドドルフィンズが挑む。トップリーグ発足2年目の2004年シーズンからトップ4の常連に位置してきたトヨタ自動車に対して、日野は2018年度に昇格した新興勢力だ。2018年は36－14、昨年の直接対決では、61－31でいずれも勝利している。日野としては着実に力をつけていることを証明したい戦いだ。

日野は1回戦でトップチャレンジリーグ4位の清水建設ブルーシャークスを48－20で下した。最終的には突き放したが、前半は14－20とリードを許した。後半は個々のボールキャリアーが激しく前に出て流れをつかみ、後半7分のWTB竹澤正祥の逆転トライからは次々にトライを畳みかけた。箕内拓郎ヘッドコーチは「トヨタ戦を考えれば修正しなくてはいけない。彼らがいつも通り、プレーできないようにしたい」と、攻撃力あるトヨタ自動車に対して攻守にプレッシャーをかけ続けることが大事だと話した。

日野スターティングメンバー

FWには、トップリーグ初年度（2003年）からプレーするベテランPR久富雄一（42歳）、元日本代表HO木津武士（32歳）、元トンガ代表のニリ・ラトゥ（39歳）らベテラン勢がずらりと並ぶ。今季限りで引退を表明しているLO北川俊澄（40歳）は、16年にわたってプレーした古巣のトヨタ自動車との対戦だ。19番を背負ってリザーブ席からの出場になるが、もし敗れればこれが現役最後となる。長年、北川を応援してきたファンの皆さんには感慨深い試合だろう。

箕内ヘッドコーチは言っていた。「いい試合をするためではなく、勝つために準備したい」。大一番では経験がものをいう。経験豊富な選手たちがどんなチャレンジを見せるのか、注目したい。

トヨタ自動車スターティングメンバー

受けて立つトヨタ自動車は、今季のトップリーグで6勝1敗。レッドカンファレンス2位でプレーオフに出てきたが、最終節では雨の降りしきる東大阪市花園ラグビー場でクボタスピアーズに大苦戦。我慢のディフェンスからチャンスをつかみ、試合終了間際にルーキーイヤーに大活躍のWTB高橋汰地がトライし、SOライオネル・クロニエがゴール決めて、25－24で劇的逆転勝利をあげた。共同キャプテンのSH茂野海人は「チームとしてもプレッシャーを与えられた状況で、それを乗り越えた先には成長があると1週間を通して話していた」と、メンタル面の準備が一つの勝因だったと語った。

今季の実績から見てもトヨタ自動車の優位は動かないが、日野がスクラム、ラインアウトのセットプレーでボールを確保し、攻撃の時間を多くできれば、SOオーガスティン・プルを軸に日野の攻撃はトヨタ自動車のディフェンス網を崩す力がある。面白い試合になるだろう。また、両チームには4月12日に発表された日本代表候補が4名含まれている。トヨタ自動車は、PR淺岡俊亮、HO彦坂圭克、SH茂野海人（ニュージーランドでプレーする姫野和樹は除く）、日野はLOリアキ・モリだ。6月の日本代表戦の最終メンバーに残るために、彼らのモチベーションは高まっているだろう。個々のパフォーマンスにも注目したい。

文：村上 晃一