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1~2年で60名ほどの大所帯。女子選手も3人いる
3月25日(木)から熊谷スポーツ文化公園ラグビー場などで行われる22回目の「選抜」こと、全国高校ラグビー選抜大会
。「西高東低」と言われてきた高校ラグビー界の中で、前人未踏の4連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)とともに、関東のチームで近年上位に進出しているのが、流通経済大学付属柏(千葉)である。
流通経済大柏は、1・2年生が先発の半数ほどを占める中、昨年度の「花園」こと、全国高校ラグビー大会では、ノーシードながら初戦は高鍋(宮崎)、2回戦はシード校の関西学院(兵庫)を破ってベスト8入り。準々決勝では惜しくもシード校の大阪朝鮮(大阪第2)に10-14で敗れた。
相監督(中央)、中村龍一コーチ(左)、圓岡壮哉コーチで指導
チームを率いるのはリコーブラックラムズで活躍し、日本代表合宿に参加した経験も持つ、相亮太監督(39歳)で指揮官となって6年目となる。
「日本代表やトップリーグで、多くの監督の指導を受けたことが良かった」と話す相監督は、FW(フォワード)とBK(バックス)一体となった攻撃的ラグビーと、「選手たちが自主的に考えて行動する」ことを基本指針に指導してきた。
昨年度はコロナ禍で対外試合があまりできない中で、自チームの紅白戦や練習で、1~2年生が3年生にチャレンジする中で、「1~2生が伸びた」(相監督)と感じている。
3年生にケガ人が多かったこともあり、結果的にPR(プロップ)山口匠、LO(ロック)/FL(フランカー)中川功己、FL加藤アディナン、NO8(ナンバーエイト)小澤天、CTB(センター)/WTB(ウィング)飯岡建人という5人の1年生がメンバー入りを果たし、特に中川、加藤、小澤の3人は花園の準々決勝でも先発として躍動した。
相監督は、「花園では試合に勝っていくごとに20%くらいずつ上がっていくよと、選手たちに話していましたが、その通りになりましたね」。
「確実にゴールラインを超える力を(選手たちに)与えられなかったのは、昨年度の反省です。決してチームに力がなかったわけではないですし、ベスト4を超える可能性もあったかもしれない」と悔しそうに振り返った。
共同キャプテンのSO蓬田(左)とPR土屋
新チームとなり、中心選手として活躍していたPR土屋英慈、SO(スタンドオフ)蓬田雄(ともに2年)の2人が、コーチ陣から共同キャプテンに指名された。
2人とも、第97回大会の花園3回戦で、0-5と惜しくも京都成章(京都)に負けた試合など、花園での奮闘ぶりに感銘を受けて、それぞれ神奈川、山梨から流通経済大柏に進学を決めた。
昨年度の花園の準々決勝では、ロスタイムが8分を超える中、ゴールラインに何度も迫ったが、最後の最後でトライを取り切れなかった。
昨年度の花園の準々決勝。あと数10cmが遠かった
そのためSO蓬田は、「ゴール前の10cmを超えられなかった。トライまで超える。コロナ(禍)を超えるということで、『超える』をキーワードにスタートしました」と言えば、PR土屋も「『超える』をテーマにやり切りたい」と意気込んでいる。
しかし、1月3日に花園で負けて千葉の柏に戻ってくると、新型コロナウィルス感染拡大のため、1月8日に政府から緊急事態宣言が発出された。その影響で東京や神奈川などの高校と同様に、千葉県の新人戦、関東新人大会が中止となってしまう。
さらに県からも自粛要請が出ていたこともあり、練習時間も2時間以内に下校するという形で制限され、ウェイトトレーニングしてからグラウンドで練習をするということはできなくなり、結局、練習時間は1/3ほど少なくなってしまった。
練習を行う流通経済大柏フィフティーン
選抜大会にこそ、千葉県の高体連の推薦という形で出場は決まったが、新チームとなり、試合を1試合も行うことができていない。そこで相監督は、戦術的な練習をほとんどすることなく、基本にもう一度立ち返り、1月~3月は1対1のスキルに多く時間を充てたという。
SO蓬田は「BKはディフェンスか鍵だと思うので、1on1のディフェンスや3対2など、基礎からやりました」と言えば、PR土屋は「FWはスクラムの1on1とか、基本的な導入から細かいところを徹底してやりました」と話した。
流通経済大柏の攻撃的なラグビーとは、華麗に左右に大きく展開するラグビーではなく、伝統的に強いフィジカルを活かして縦にボールを繋いでいくスタイルだ。また、相手に応じて選手たちで分析して考えて、攻撃的な姿勢でラグビーを貫くことも含まれているという。
選手に語りかけるように指導する相監督
選抜大会でベスト8に入るためには1回戦で大分東明(大分)、2回戦で優勝経験のある天理(奈良)に勝たなければいけない。
ほとんど試合経験なく、ぶっつけ本番の選抜大会となるが、相監督は「過去5~6年で積み上げてきた流通経済大柏のラグビーがどのくらいできるか、それが試される大会になる」と話した。
相監督が就任して、すぐの2015年の選抜大会ではベスト4に入り、2018年夏には7人制ラグビーの「アシックスカップ」で同校初の全国制覇を達成。
そして、2018年度の花園では常翔学園(大阪第3)を破ってベスト4に進出したことが、監督、選手にとっても、流通経済大柏というクラブにとっても大きな経験、自信となっているという。もちろん、年末の花園で試合に出ている1~2年生が多いこともチームにとっては大きなプラス材料となろう。
FWをまとめるPR土屋は「FWは体重もフィジカルもあるので、スクラム、モールでFWの粘り強さを出して勝っていきたい」と言えば、ゲームをコントロールするSO蓬田は「他の地域は試合ができていて、自分たちは試合まったくできていなくて、ゲーム感覚劣っているところには不安はあります」。
「ですが、ディフェンスが鍵になると思うので、ディフェンスをしっかりやって、1つ1つの試合に集中して勝ちきりたい」と気合いを入れた。
新チームになって対外試合することができず、緊急事態宣言中は練習が制限された中で迎える選抜大会となるが、流通経済大柏は伝統の攻撃的ラグビーで強豪と相対する、1・2回戦に勝って上位進出することがきるか。
そして、虎視眈々と過去最高成績のベスト4を「超える」ことを狙っている。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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