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ジャパンラグビー トップリーグ2021は、3月20、21日、雷雨のため順延された2試合を終え、すべてのチームが4試合を消化した。今季は16チームが2つのカンファレンスに分かれて総当たり戦を繰り広げるファーストステージ、その順位をもとに組み合わせを決めるプレーオフトーナメントで優勝を争っている。ファーストステージは各チーム7試合行い、勝ち点制で順位を決めるが、4節を終えたところで全勝は5チームだ。全体に攻撃的なラグビーが展開されており、観客を喜ばせる試合が多い。盛り上がった序盤戦をカンファレンスごとに振り返ってみよう。
ボーデン・バレット(サントリー)
レッドカンファレンスは、サントリーサンゴリアスが勝ち点20で首位に立つ。2月21日の開幕節で三菱重工相模原ダイナボアーズに75-7という大勝スタートを切ると、第2節のHondaHEATには苦しめられたが(31-14)、宗像サニックスブルースを75-10、東芝ブレイブルーパスを73-5といずれも大差で下した。新加入のSOボーデン・バレット、日本代表CTB中村亮土を軸に、強力FWがフィジカルバトルを制し、パスを多用して連続攻撃を仕掛ける。スクラム、ラインアウトも安定し、攻守にスキがない。
勝ち点19で2位のクボタスピアーズは、第3節のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦こそ34-24と僅差勝負になったが、他3試合は快勝続きの4連勝。昨季より一段階チーム力が上がった印象だ。今季加入の南アフリカ代表HOマルコム・マークスは攻守に抜群の存在感を示している。キャプテンのCTB立川理道、日本代表FLピーター・ラピース・ラブスカフニらの主力選手を休ませても戦力が落ちず、層の厚さも出てきた。同じく勝ち点19で3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツは、初戦で東芝との死闘を34-33で制して4連勝。やや失点が多いが、NO8キアラン・リード、FLマイケル・フーパーといった世界のビッグネームがFWを牽引している。
以上の3チームはプレーオフでも優勝を狙える実力を示している。期待されながら勝ち星が少ないのが、1勝2敗1敗のNTTコミュニケーションズと、1勝3敗の東芝だ。3月26日(金)には両者の対決があり、どちらが浮上のきっかけをつかむのか注目だ。宗像サニックスブルース、HondaHEATはいまだ勝ち星がないが、3月28日(日)に直接対決があり、初勝利を目指す。
松田力也(パナソニック)
ホワイトカンファレンスは、1位パナソニック ワイルドナイツ(勝ち点19)、2位神戸製鋼コベルコスティーラーズ(勝ち点18)が4戦全勝で走る。パナソニックは、松田力也と山沢拓也の2人のSOが多彩な攻撃を見せる。セットプレーの要であるHOもキャプテンの坂手淳史から堀江翔太という日本代表リレーで豪華だ。順天堂大学医学部に合格し、今季がラストシーズンのWTB福岡堅樹は相変わらずのスピードで観客を魅了している。苦戦したNTTドコモレッドハリケーンズ戦では勝利を決定づけるトライで魅せた。パナソニックの持ち味であるディフェンスから切り返す攻撃もよく機能している。
連覇を狙う神戸製鋼は、SOダン・カーターの抜けた穴をヘイデン・パーカーがカバー。LOブロディ・レタリックの攻守にわたる活躍もあって、開幕節のNECグリーンロケッツ戦(47-38)、第4節のリコーブラックラムズ戦(20-19)の苦戦も勝ちきった。今季加入のSOアーロン・クルーデン、万能BKベン・スミスも、まだチームにフィットしておらず、チーム力アップはこれからだろう。4月4日(日)のパナソニックとの対戦は、ファーストステージ最大の注目カードになる。
ホワイトカンファレンスでファンを驚かせたのは、NTTドコモの3連勝スタートだ。ニュージーランド代表SHのTJ・ペレナラはチームに入ったばかりとは思えないリーダーシップで、攻撃的ラグビーの中心になっている。第3節(3月6日)では、リコーと好勝負を繰り広げ、終了間際、17-17の同点からペレナラが決勝トライ。南アフリカ代表WTBマカゾレ・マピンピを走らせ、サポートして左コーナーに飛び込んだトライは第4節までの試合でもっともインパクトのあるトライかもしれない。NTTドコモは今後も台風の目となりそうだ。
優勝候補の一角と目されながら苦しんでいるのがヤマハ発動機ジュビロだ。持ち前のセットプレーの強みを発揮できず、第2節でリコー、第4節でキヤノンとの接戦を落とした。ただし、試合終盤は地力を発揮しており、シーズン後半に調子を上げる可能性はある。第4節に神戸製鋼と競り合ったリコーも今後楽しみなチーム。沢木敬介監督の就任で注目のキヤノンは、第4節でようやく初白星。開幕から3連敗だった日野レッドドルフィンズとNECグリーンロケッツは、3月21日の秩父宮ラグビー場でふりしきる雨のなか対戦し、日野が田邊秀樹の決勝PGで初勝利をあげた。
第5節は3月26日~28日行われる。トヨタ自動車対サントリーの全勝対決ほか好カードが目白押しで、後半戦も目が離せない。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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