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ラグビー コラム 2021年3月1日

リコーブラックラムズの「ブラックチェーン」 前に出続け、ヤマハ発動機ジュビロを下す

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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リコーブラックラムズのホームページには、チームスローガンに対する熱い言葉が綴られている。そこに、こんな一節がある。「俺達には80分しかない。だから1分1秒も無駄にしない。俺達はブラックチェーン。この絆は誰にも壊せない」。まさに、黒い絆を感じる勝利だった。

マット・ルーカス(2/20 パナソニック vs. リコー )

ヤマハ発動機ジュビロリコーブラックラムズの一戦は、2月28日(日)、東大阪市花園ラグビー場にて行われた。午後12時、リコーSOアイザック・ルーカスのキックオフで激闘の幕が開いた。ヤマハ陣に入ったリコーは攻守に激しく前に出る。開始2分、アイザックの兄・SHマット・ルーカスのPGで先制すると、8分、ヤマハのキックをハーフウェイライン付近でキャッチしたFBメイン平がカウンターアタックを仕掛ける。連続攻撃でゴールラインに迫ると、CTB濱野大輔のショートパスにメイン平が走り込んで、左ポスト脇にトライ。ゴールも決まって、10-0とリードする。

メイン平は奈良県の御所実業高校卒業後、ニュージーランドへ渡った。ノースハーバーマリストクラブでプレーした後、リコー入りした20歳。高校日本代表にも選出され、世代屈指の万能BKだ。トップリーグ先発デビューとなったが、浮足立つこともなく「自分の仕事に集中しました」と堂々たるプレーぶり。同じくルーキーのHO武井日向も低い姿勢からのジャッカルでヤマハのチャンスの芽を摘むなど若い力が躍動した。

クワッガ・スミス(2/21 日野 vs. ヤマハ)

ディフェンスラインを素早く押し上げ、WTBロトアヘアアマナキ大洋のビッグヒットやNO8松橋周平のジャッカルなど、チームが勢いづくプレーが次々に出るリコーに対し、ヤマハはミスや反則が多発。リコーにPG2本を追加され、16-0とリードされた前半20分過ぎ、FLクワッガ・スミスの突進でゴールラインに迫った際も、ブレイクダウン(ボール争奪局面)でオフサイドの反則を犯した。前半は風上に立ちながら、キックを効果的に使わなかったのも苦戦の要因だろう。前半は終了間際にFBサム・グリーンがPGを返すにとどまった。

ハイライト】ヤマハ発動機 vs. リコー|トップリーグ 2021 第2節

16-3で迎えた後半の立ち上がり、ヤマハの反撃を寸断したのは、またしても武井のジャッカルだった。その後、ヤマハのペナルティーからのタッチキックで相手陣深く入ると、10分、ラインアウトからモールを組み、交代出場のWTB山内俊輝も参加して猛プッシュ。一気にインゴールになだれ込んで、武井がボールを押さえた。マット・ルーカスのゴールも決まって、23-3。このトライが勝利を大きく引き寄せた。

しかし、ここからはヤマハの猛反撃が始まる。やや動きの鈍ってきたリコーの防御をフィールド大きく使って揺さぶり、21分、WTBマロ・ツイタマがゴール中央にトライ。24分には、サム・グリーンのキックパスを左タッチライン際にいたツイタマがキャッチしてトライ。左端だったこともあったグリーンのゴールは外れて、23-15の8点差。36分には、自陣からボールをつなぎ続けて、クワッガ・スミスのトライとグリーンのゴールで23-22と1点差に迫ったが、最後は時間切れとなった。

昨年は0-38で完敗した相手に勝ったリコーの神鳥裕之監督は「ヤマハの強いフィジカルに対して、前に出てファイトしてくれた」と選手を称えた。ヤマハの強みであるセットプレー(スクラム、ラインアウト)で互角に対抗し、ブレイクダウン(ボール争奪戦)にも圧力をかけて、11回のターンオーバーに成功。守っては強くヒットするタックルを連発し、全力で戦い抜いた熱い勝利だった。ヤマハのモールを止め切ったことについて、松橋周平キャプテンは「モールのディフェンスはすごい練習してきたし、プレシーズンマッチでもモールでは一度もトライされていない」と胸を張った。初戦のパナソニック戦から一週間で立ち直った修正能力は今後も期待が高まる。

一方、敗れたヤマハの堀川隆延監督兼GMは「前半風上に立っていたのに、敵陣でプレーすることができなかった。前半、反則も多くなった」と、ゲーム運びに反省の弁。「この敗戦から何を学ぶか。しっかりレビューして、NEC戦に向けて修正し、前に進みたい」と次戦を見据えた。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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