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トヨタ自動車スターティングメンバー
特に注目されるのが、SHのマッチアップだ。NTTコムのレイドローはスコットランド代表76キャップを誇る百戦錬磨の名手で、冷静な判断と正確なキックを駆使したコントロール力は世界でも屈指と評される。対するトヨタ自動車の茂野海人は、強靭なフィジカルとスピーディーな球さばきを武器に、強気の仕掛けで仲間を牽引するアタック型のSHだ。両者はスコットランド代表と日本代表の9番としても対峙しており、2016年6月のスコットランド来征シリーズではテストマッチ2戦とも僅差でレイドローのスコットランドが勝利。2019年のラグビーワールドカップでは日本代表がスコットランドを破ったが、茂野はこの試合には出場していない。今回はジャージーの色が違うものの、茂野にとっては期するものがあるだろう。
日本が誇る魅惑のトータルフットボーラー、NTTコムの金正奎と、世界最高のオープンサイドFLのひとり、トヨタ自動車のマイケル・フーパーのバトルも、この試合の大きな見どころのひとつだ。いずれもトップクラスのバックローとしては小柄だが、並外れたラグビーセンスとボールへの嗅覚、サイズでは測れない身体的強さをあわせ持ち、ここという場面に現れては決定的な仕事をやってのける。フーパーは第1節同様ベンチからのスタートとなったが、日本全国の中学、高校、大学に数多くいる同タイプのFLにとって、2人の一挙手一投足は貴重な教科書になるだろう。
スターティングメンバーで前節から変わったのは、NTTコムがFB石田大河→安田卓平のひとりだけで、トヨタ自動車はまったく同じ顔ぶれ。1試合を戦って硬さがほぐれたことに加え、実戦を通して連携面を確認できたことで、ともに今節はさらにステップアップしたパフォーマンスを披露してくれるだろう。NTTコムではフーパーとワラビーズの7番の座を争ったFLリアム・ギル、相変わらずの活力あふれるプレーが光るNO8ヴィリー・ブリッツの2人のバックローの働きが、勝利に不可欠な要素。東芝戦で大きな存在感を示したトヨタ自動車のLO秋山大地とWTB高橋汰池にとっては、次世代の日本代表候補に名乗りを上げるためにも、重要な機会となる。
2016年度、2018年度の5位が過去最高成績のNTTコムにすれば、初のトップ4入りに向け何としても白星がほしい一戦。初戦で東芝との激闘を乗り切ったトヨタ自動車も、ここを突破すれば大きく道が開ける。フルタイムの瞬間まで目の離せない戦いとなりそうだ。
文:直江 光信
直江 光信
スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。
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