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ジャパンラグビー トップリーグ2021開幕が迫ってきた。2020シーズンはコロナ禍で中止になり、1月16日の開幕もPCR陽性者が複数出たことで延期になった。2月20日、約1年ぶりにトップリーグが帰ってくるわけだ。まずは、参加16チームをレッドカンファレンスとホワイトカンファレンスに分け、それぞれ総当たり戦を行う「ファーストステージ」が始まる。
本コラムは、レッドカンファレンス(RC)にフォーカスして、注目選手を取り上げたい。今季のトップリーグは世界のビッグネームが揃っているが、RCの注目トップ3といえば、サントリーサンゴリアスのSOボーデン・バレット(ニュージーランド代表84キャップ)、トヨタ自動車ヴェルブリッツのFLマイケル・フーパ―(オーストラリア代表105キャップ)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのSHグレイグ・レイドロー(スコットランド代表76キャップ)だろう。
ボーデン・バレット
2016年、2017年の世界最優秀選手ボーデン・バレットの個人技は観る者を魅了する。特にディフェンスの穴を見逃さずに一気に加速するラン、味方を走らせるキックパスの精度は必見だ。マイケル・フーパ―は世界屈指のボールハンター。常にジャッカルでターンオーバーを狙っている。攻撃面でもなんでもできるオールラウンダー。かつてサントリーでプレーしたジョージ・スミス、パナソニックのデービット・ポーコックのように試合の流れを変える選手だ。そして、グレイグ・レイドローはテンポを自在にコントロールするパスワーク、正確無比のプレースキックで魅せる。相手チームからすれば、この3人を自由にすれば敗北が待つ怖い選手たちだ。
ラグビーワールドカップ(RWC)2019の日本代表メンバーが注目されるのは当然として、それ以外の選手を紹介したい。サントリーでは、20歳以下オーストラリア代表のLOハリー・ホッキングスがどうチームにフィットするのか楽しみだ。スーパーラグビーではレッズでプレーした206cm、118kgの22歳。日本で成長し、世界的な選手になる可能性を秘める。トヨタ自動車では、大型FWの中で179cm、95kgという小さなサイズながら仕事量で勝負するFL古川聖人。NTTコミュニケーションズでは、35歳になったベテランWTB山田章仁の気の利いたプレーに期待したい。
マルコム・マークス
クボタスピアーズは昨年中止になるまで4勝2敗と着実に地力をつけている。189cm、117kgのサイズでパワーと器用さを兼ね備えるHOマルコム・マークス(南アフリカ代表33キャップ)の加入は最大のトピックだが、新加入のFL岡山仙治(168cm、90kg)の低いタックル、ボールへの働きかけの速さがトップリーグで通用するのかも注目だ。同じく新加入のSO岸岡智樹も注目される一人。東海大仰星高、早大で日本一を経験した頭脳派プレーメイカー。得意の数学的思考でチームを操るところが見てみたい。
HondaHEATは日本代表PR具智元が看板選手だが、2019年のラグビーワールドカップ優勝メンバー、南アフリカ代表LOフランコ・モスタート(200cm、112kg)の加入がFWの力強さを押し上げるだろう。東芝ブレイブルーパスでは副将を務めるNO8/FL徳永祥尭がFWを引っ張るが、新加入の選手ではLO伊藤鐘平(190cm、105kg)は将来性豊か。RWC2015日本代表メンバーの兄・伊藤鐘史譲りの卓越したラインアウトスキルでレギュラー争いに絡むだろう。BKではニュージーランド代表5キャップを持つWTBセタ・タマニバル(189cm、104kg)の爆発的スピードが観客を驚かせるはずだ。
レメキ ロマノ ラヴァ
宗像サニックスブルースは、日本代表WTBレメキ ロマノ ラヴァがHondaHEATから移籍し、そのランニングスキルの高さで活躍は間違いないが、サントリーで長らくプレーしたSO小野晃征が帰ってきた。8年ぶりの古巣で日本代表、サントリーで積み重ねたトップレベルの経験を還元する。新加入選手ではHO宮崎達也がいる。FW最前列の選手としては、165cm、92kgのサイズは極端に小柄だが、俊敏な動きで京産大の強力FWの中で異彩を放っていた。ボールを動かし続けるチームでその能力を生かしてもらいたい。
三菱重工相模原ダイナボアーズには、元サンウルブズのCTB/SOマイケル・リトルがいる。変幻自在のステップワークはディフェンス側には脅威だ。忘れてはならないのが、SO/FBコリン・スレイド。ボーデン・バレットの陰に隠れているが、スレイドもニュージーランド代表SOとして2011、2015RWCのメンバー。同時代にダン・カーターがいたため目立たなかったが、バレットに優るとも劣らない精度の高いスキルを見せてくれるだろう。
各チームに入団が決まっている大学4年生、高校3年生も卒業後の4月からは出場できる。東芝入りするSO松永拓朗(天理大)、LOワーナー・ディアンズ(流経大柏高)、クボタの藤原忍(天理大)ら即戦力として期待される選手も多く、誰が最初に出来るのかもシーズン途中の見どころになる。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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