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ラグビー コラム 2021年2月5日

トップリーグ草創期のライバル対決、 マイクロソフトカップ決勝「NEC対東芝府中」。 そして2010年度、三洋電機初の戴冠へ

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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2003年9月に発足したジャパンラグビートップリーグは17年目の今季で幕を閉じ、来季からは新リーグがスタートを切る。17年で一区切りは短くも感じるが、振り返ると草創期には今やトップリーグの監督、ヘッドコーチとなった選手たちが活躍しており、隔世の感を禁じ得ない。

J SPORTSは、2月6日、7日、トップリーグ歴代王者決定戦の2003年度から2012年度までの10試合を放送する。

トップリーグ初年度は、12チームによる総当たり戦の優勝と、上位8チームによるノックアウト方式のトーナメント「マイクロソフトカップ」の2冠があった。表彰も、「トップリーグ優勝」、「マイクロソフトカップ優勝」の2つに分けられていた。そして、日本選手権は別大会として行われていた。2006年度からはマイクロソフトカップがプレーオフを兼ねることになって、トップリーグの冠はひとつになった。

このシーズンは、トップリーグ覇者が神戸製鋼コベルコスティーラーズ、マイクロソフトカップ優勝がNECグリーンロケッツ、日本選手権は東芝府中ブレイブルーパス(2006年度より東芝ブレイブルーパス)が頂点に立った。

NECグリーンロケッツ vs. 東芝府中ブレイブルーパス

本欄では初年度から10年のうち、2つの試合を取り上げたい。まずは、2003年度のマイクロソフトカップ決勝戦だ。NECグリーンロケッツのキャプテンは日本代表のキャプテンでもあった箕内拓郎、日本代表PR久富雄一、FL浅野良太、SH辻高志、CTBジョージ・コニア(この日はFB)、CTB向山昌利ら好選手が揃っていた。対する東芝府中ブレイブルーパスのキャプテンは冨岡鉄平、LO釜澤晋、FL渡邉泰憲、NO8ニコラス・ホルテン、CTBスコット・マクラウド、FB立川剛士ら経験豊富な選手たち並んでいた。

2004年2月22日、国立競技場で行われた決勝戦は、前半、風上に立ったNECが開始22分までに3トライを畳みかける。実はキックオフ前のトスで勝ったのは東芝府中だったが、ベテラン勢が多かったこともあり、前半は風下で我慢し、後半風上で攻めようと風下の陣地を選んだ。これが裏目に出て、NECは勢いづいた。24-5とNECリードで迎えた後半、東芝府中はルアタンギ・バツベイのトライなどで食い下がったが、届かなかった。

NECはトップリーグのレギュラーシーズでは6位だった。前年は東日本社会人リーグ7位から日本選手権の王座を獲得し、「ミラクル・セブン」と呼ばれたが、トップリーグ初年度は「ミラクル・シックス」と言われることになった。ボール争奪戦でタフな仕事をするNECのFLグレン・マーシュはぜひ見てほしい選手だ。

三洋電機ワイルドナイツ対サントリーサンゴリアス

もう1試合は、2010-2011シーズンのプレーオフ ファイナル「三洋電機ワイルドナイツ対サントリーサンゴリアス」である。現在はパナソニックワイルドナイツと名を変えた三洋電機は、日本選手権では3連覇しながら、トップリーグではこのシーズンまで無冠。悲願の優勝を狙っていた。キャプテンはCTB霜村誠一、日本代表のPR相馬朋和、NO8ホラニ龍コリニアシ、SH田中史朗、現在は日本代表のコーチを務めるSOトニー・ブラウンらが軸になっていたが、このシーズンはホンダヒートからWTB山田章仁が移籍し、BKの決定力はさらにアップしていた。

対するサントリーサンゴリアスは、NO8竹本隼太郎がキャプテン。PR畠山健介、LO眞壁伸弥、SH日和佐篤、SOトゥシ・ピシ、CTBライアン・ニコラス、平浩二、FB有賀剛ら錚々たるメンバーだ。レギュラーシーズンは、三洋電機は2位、サントリーは4位だった。ベスト4によるプレーオフではサントリーが1位の東芝を17-12で破り、三洋電機が3位のトヨタ自動車ヴェルブリッツを32-10で破ってのファイナル進出である。

この試合、ぜひとも見てもらいたい。前半はサントリーがアグレッシブに攻める。11-6でサントリーがリード。ディフェンスから切り返すのが得意の三洋電機は、後半10分、トニー・ブラウンが相手ボールを奪い、素早く展開して、LO劉永男が防御背後のキックし、これを山田章仁が確保してトライをあげる。互いの特徴が表現された展開は面白い。サントリーは後半23分、オーストラリア代表139キャップのレジェンド、SHジョージ・グレーガンが出てくる。超一流の選手がリードされた状況でどんなプレーを見せたのか。ご確認を。最終スコアは、28-23。三洋電機が逃げ切った。

三洋電機は創部51年目の悲願達成である。トップリーグ発足前まで開催されていた全国社会人大会では、神戸製鋼V7時代のライバルとして存在感があったが、何度も決勝で涙を呑み、準優勝は8回。シルバーコレクターと言われた。一度だけ優勝があるが、それもサントリーとの引き分け両者優勝だった。その歴史を思えば、三洋電機の選手達の歓喜は胸を打つ。移籍一年目で目覚ましい活躍をした山田章仁はプレーオフトーナメントのMVPに輝いている。初の単独優勝を成し遂げた三洋電機は、パナソニックの子会社となり、翌シーズンからはパナソニックワイルドナイツとして戦うことになった。三洋電機としては、最初で最後の単独優勝だったわけだ。

文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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