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2月20日、最後のトップリーグ開幕! ホワイト カンファレンスは首位攻防戦が熱い。 五郎丸歩、福岡堅樹のラストランを見逃すな
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一延期になっていたジャパンラグビー トップリーグ2021が、2月20日に開幕する。1月12日付けの本欄でレッドカンファレンスの見どころを書いた。その後、延期が決まったので様子見になってしまったが、新フォーマット、新日程が決まった。開幕3週間前ということで、「ホワイトカンファレンス」についても注目ポイントなど書いてみたい。
トップリーグ(TL)の新フォーマットは、当初予定されていた「セカンドステージ」を廃止。参加16チームを2つのカンファレンスに分けた「ファーストステージ」がトップリーグのレギュラーシーズンとなり、その直後にプレーオフトーナメントが行われる。一戦一戦の重要度が格段に高くなったわけだ。
「ホワイトカンファレンス」は、昨年のTL(第6節を終えて中止)で6戦全勝だった2チーム、神戸製鋼コベルコスティーラーズと、パナソニック ワイルドナイツがいる。ここにヤマハ発動機ジュビロを加えた3チームが引っ張る形になりそうだ。沢木敬介監督が今季から率いるキヤノンイーグルスも注目である。
連覇を狙う神戸製鋼は、2018年度の優勝の立役者だったSOダン・カーターが退団したが、同じく元ニュージーランド代表オールブラックスのSOアーロン・クルーデン(32歳)、2019年のラグビーワールドカップ(RWC)のオールブラックスの万能BKベン・スミス(34歳)が加入した。クルーデンの戦術眼、スミスの総合的なスキルの高さは観客を魅了するトライを演出するだろう。共同キャプテンのLO/FLトム・フランクリン(30歳)、SH日和佐篤(33歳)は仕事量豊富で素早い攻撃の軸になる。RWC2019日本代表のPR中島イシレリ(31歳)、CTBラファエレ ティモシー(29歳)、WTBアタアタ・モアエキオラ(24歳)、FB山中亮平(32歳)もおり、華のあるプレーを見せてくれそうだ。
五郎丸歩(ヤマハ発動機)
その神戸製鋼をターゲットにチームを作ってきたのがヤマハ発動機だ。当初の予定では開幕節で対戦することになっていたからだ。新日程では神戸製鋼とは3月27日の第5節で戦うことになったが、そこまで全勝で走りたい。RWC2015日本代表のFB五郎丸歩が今季限りでの引退を表明。大戸裕矢キャプテン(30歳)は「日本のラグビー、ヤマハのラグビーを引っ張ってくれた五郎丸さんを、日本一にして送り出したい」と意気込む。最後の雄姿は見逃せない。堀川隆延監督は「スクラム、ラインアウトを軸にしたヤマハスタイルは変わりませんが、大きく速くボールを動かしたい」と、よりスピーディーなラグビーを目指している。開幕戦では、日野レッドドルフィンズと対戦する。
福岡堅樹(パナソニック)
パナソニックは、RWC2019日本代表メンバーがもっとも多いチームだ。HO坂手淳史キャプテン(27歳)を筆頭に、PR稲垣啓太(30歳)、PRヴァル アサエリ愛(31歳)、HO堀江翔太(34歳)、SO松田力也(26歳)、WTB福岡堅樹(28歳)が所属。福岡は医師の道へ進むことを表明しており、今季がラストランとなる。ディフェンスから切り返して一気にトライを奪うのがパナソニックのスタイル。大きく言えばニュージーランド型だが、今季はRWC2019イングランド代表のLOジョージ・クルーズ(30歳)、ウエールズ代表CTBハドレー・パークス(33歳)が新加入。ヨーロッパのスタイルが加味され、どんなラグビーを見せてくれるのか楽しみだ。昨年のTLでは6戦全勝で首位を走りながらリーグ自体がコロナ禍で中止になってしまった。2015年度以来優勝から遠ざかっており、「今年はタイトルを獲りに行く」(坂手)と腕を撫す。
そのパナソニックと開幕戦(2月20日、秩父宮ラグビー場)で対戦するのが、リコーブラックラムズだ。CTB濱野大輔(27歳)、NO8/FL松橋周平(27歳)の共同キャプテンが熱くチームを引っ張る。明大卒のHO武井日向(23歳)、御所実業高校卒業後、ニュージーランド留学を経てリコー入りしたFBメイン平(20歳)ら若く楽しみな選手も多い。神戸製鋼と開幕戦で対戦するNECグリーンロケッツはFL亀井亮依(26歳)、SH中嶋大希(24歳)が共同キャプテン。イングランド代表21キャップのSOアレックス・グッド(32歳)は、2018-19シーズンのヨーロッパ最優秀選手に輝いた注目選手だ。
キヤノンは、サントリーをTL連覇に導いた沢木敬介監督が今季より指揮を執る。RWC2019日本代表のSH田中史朗(36歳)、SO田村優(32歳)が二枚看板だが、セブンズ日本代表のWTB松井千士(26歳)、日本代表、サンウルブズでプレーしたSO小倉順平(28歳)など他チームからの移籍したスター選手も多く、大きなチーム力アップが期待できる。
そのキヤノンと開幕節(2月21日、町田GIONスタジアム)で対戦するNTTドコモレッドハリケーンズも注目度が高い。RWC2019で優勝した南アフリカ代表のトライゲッターだったWTBマカゾレ・マピンピ(30歳)の爆発的スピードは必見。あわせて試合中のコミュニケーション能力の高さ、ボールを持っていない時の仕事量の多さも日本の若い選手は手本になるだろう。そして、ニュージーランド代表SHのTJ・ペレナラも加入。アグレッシブなゲームリードがドコモのイメージを変えるかもしれない。
日野は開幕節でヤマハ発動機にチャレンジする。今季より、元日本代表キャプテンの箕内拓郎ヘッドコーチが就任し、「チームファースト」のカルチャーを浸透させている。2018年度は14位。どこまで順位を上げることができるのか。NO8/FL堀江恭佑(30歳)と共同キャプテンを務めるSHオーガスティン・プル(31歳)は、「私たちのパフォーマンスでファンの皆さんが楽しい気持ちをもっていただけたら嬉しいです」と話す。それは、トップリーガー全員の思いだろう。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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