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2021年1月9日、高校ラグビーの頂上決戦が東大阪市花園ラグビー場で行われる。第100回目の記念大会となった全国高等学校ラグビーフットボール大会は、コロナ禍により、会場入りの選手を30名に制限し、無観客で行われてきたが、12月27日の開幕から全61試合を無事終了し、ついに最終戦(62試合目)を迎えた。
勝ち上がったのは連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)と、初優勝を狙う京都成章である。桐蔭学園は、6大会連続19回目の出場で、優勝2回、準優勝5回、ベスト4進出5回という驚異的な戦績を誇る。準決勝では、大阪朝鮮にディフェンスに苦しみながらも、後半4トライを畳みかけ、40-12で退けた。
準決勝 大阪朝鮮高 vs. 桐蔭学園(1/5)
NO8佐藤健次(3年)、LO青木恵斗(3年)という超高校級の二枚看板を擁し、突破力の光るCTB秋濱悠太(3年)、準決勝で3トライをあげた1年生FB矢崎由高ら才能豊かな選手が揃う。鍛え上げられたフィジカルを武器にボール争奪戦を優位に戦い、ボールを大きく動かしながらディフェンスを崩す力強いプレースタイルだ。大阪朝鮮のディフェンスの圧力を感じて攻撃ラインの深さを調整するなど、選手同士がコミュニケーションをとって対応する能力も高い。ハンドリングのミスも少なく、プレーの精度の高いチームだ。
準決勝 京都成章 vs. 東福岡(1/5)
対する京都成章も、7大会連続13回目の出場でベスト4進出3回、ベスト8進出5回と強豪校として確たる地位を築いている。準決勝では、東福岡のカウンターアタックを的確なタックルで倒すと一気にターンオーバー。素早くパスをつないで決勝トライを奪った。「ピラニア・タックル」と呼ばれる群がるようなディフェンスと、チャンスに全員が反応する統一された動きは最大の強みだ。桐蔭学園と同じく試合中の対応力も高い。準決勝の前日も選手同士で2時半のミーティング。東福岡を分析し、さまざまなシチュエーションでの動きを確認した。
桐蔭学園の佐藤、青木が二枚看板なら、京都成章もLO本橋拓馬(3年)、SH宮尾昌典(3年)の二枚看板。この世代屈指のLOでありSHだ。パワフルな青木と本橋のぶつかり合いは楽しみのひとつ。宮尾は素早くパスを捌くだけではなく、タイミングを絶妙にずらしながら味方を走らせる。2人のほかにも、SO大島泰真(2年)、CTB辻野隼大(3年)ら機転の利く選手が多く、桐蔭学園が少しでも隙を見せれば、トライを奪うだろう。初めての決勝戦で力を出し切れるかどうか。入れ込みすぎずに普段通り戦いたい。
最大の見どころは、ボール争奪戦だ。互いにターンオーバーする能力が高く、タックルで倒した選手のボールをいかに奪い、いかに奪われないか。ジャッカルでボールを奪うのか、複数の選手でボールを乗り越えるのか、ぎりぎりの駆け引きが繰り返されるだろう。
京都成章のピラニア・タックルが王者を倒すのか、桐蔭学園がボールを保持して攻め勝つのか。ハイレベルの攻防は見逃せない。桐蔭学園が勝てば戦後6チーム目の連覇。神奈川勢としては、73、74回大会の相模台工業以来の連覇だ。京都成章が勝てば初の日本一。京都勢としては85回大会の伏見工業以来の優勝になる。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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