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キヤノンイーグルスHO庭井祐輔は、常に先頭で体を張り、トップリーグ上位進出に向けてチームを牽引する。チーム加入7年目の今季は、新監督に沢木敬介、新FWコーチに佐々木隆道が就任。サントリーサンゴリアスなどでウイニングカルチャーを身に着けた指導者の下、アグレッシブに攻め、上位進出を目指す。田村優キャプテンを補佐するバイスキャプテンとして、いま何を思うのか。トップリーグへの抱負、プレーする上での信条などについて語ってもらった。
庭井祐輔選手
──今のチームにどんな課題がありますか。
「全体的なディテールを詰めていく必要はありますね。今年はモールを武器にしたくて、時間をかけて取り組んできました。FWの選手としては、そこをもう一段階上げたいですね」
──なぜ、モールなのですか。
「今年から佐々木隆道さん(早大→サントリーサンゴリアス→日野レッドドルフィンズ)がFWコーチになりましたが、最初のミーティングで『今年はモールで行くから』と宣言されました」
──佐々木さんがFWコーチになって変化はありましたか。
「FWの一体感が増しました。細かな指導でスキル的なところも向上していますが、僕は一体感が強くなったと感じます。新監督の沢木敬介さんからも、今年のチームが始まったときに『このチームに一番足りないもの、それはチーム愛だ』と言われました。それを、チームとしても、FWとしても、ずっとテーマにしてきました。FWのことだけ言えば、モールがひとつのキーで、(練習を)BKよりも早く始め、遅く終わる感じでやってきたので、絆も強くなりました。モールでトライを取ると、みんなめちゃくちゃ喜びますが、一番喜んでいるのは隆道さんなんです。それを見ると、隆道さんのためにも頑張ろうと思います」
──沢木監督はどんな変化をチームにもたらしましたか。
「敬介さんがよく言うのは、『準備で勝負が決まる』ということです。これまでも、いい準備をしようとしてきましたが、その質についての意識が変わったと思います」
インタビュー動画
庭井祐輔選手インタビュー|ラグビー トップリーグ2021 キヤノンイーグルス
──沢木さんは厳しいコーチというイメージがあります。就任前、庭井選手が想像していたのと違いはありましたか。
「正直に言えば、僕も厳しいコーチだと聞いていたので、とんでもない人が来ると思っていました。でも、実際にお会いしてみると、そんなことはなく、愛をもって僕ら選手に接してくれていると感じます。試合に出ている選手、出ていない選手に関係なく、みんなをしっかり見てくれています」
──誰か、沢木さんのターゲットになって叱られ役になっている人はいるのですか。
「若手に厳しいかもしれないですね。ただ、練習で怒鳴った後は、必ずその選手をイジっています(笑)。それが敬介さんなりのケアなのだと思います。敬介さんと一度話しましたが、チーム加入3、4年目に一度緩むことがあるみたいで、その世代に厳しく言うようにしているようですね」
──今年のスローガンは「Exciting & Quality Rugby」ですが、説明していただけますか。
「クオリティーの高いラグビーをして、見ている人をエキサイトさせる。そういうラグビーをしようということです。敬介さんがおっしゃっていることですが、キヤノンはカメラの会社でもあるので、写真に撮りたくなるようなラグビーをしようと言っています。最初はその意味がしっくりこない選手もいたと思いますが、実際にプレーしていて面白いし、試合後に(映像などで)分析していても、面白いラグビーをしていると感じます。これまでで一番、アグレッシブなアタッキングラグビーだと思います」
──サントリーのアグレッシブアタッキングラグビーとは違うのですか。
「少し違うと思います。沢木さんがサントリーで教えていたものに、サンウルブズなどのエッセンスが加わっていると思います。トップリーグで皆さんに見てもらいたいです」
──田村優選手はどんなキャプテンですか。
「最初はみんなの前で真剣に話すのが苦手な感じで、厳しさの中に緩く話すようなところがありました。でも、時がたつにつれて、そういうところがなくなってきましたね」
──キャプテン経験者として、田村選手の苦労は分かるのではないですか。
「そうですね。ずっと厳しいことを言うのはしんどいものです。そこは分かるので、僕も負担を分散できるようにサポートしているところです。優さんの視点をみんなに言うことができているのはすごく良いです。僕では見えていないところもあり、(優さんの言葉が)常にチームの刺激になっています」
──どんな細かいところが見えているのですか。
「SOの位置にいながらFWの前のところも見えていますし、グラウンドを上から見ているのかなと思うくらい、視野が広いですね」
庭井祐輔選手
──J SPORTSの注目選手アンケートの答えについて聞かせてください。「影響を受けた人」について、一人に絞れない、と答えていますね。
「僕は複数の指導者に影響を受けてきました。絞れないのですが、強いていうなら西神戸ラグビースクールにいたとき、中学部担当の斉藤賢史コーチですね。この人の言葉が僕のターニングポイントになりました。中学生は夏に関西大会があるのですが、僕はずっと兵庫県選抜のBチームにとどまっていました。それが悔しくて一生懸命練習して、最後の最後にAチームに上げてもらったんです。そして大会を迎えました。後で知ったことですが、そのコーチが推薦してくれていたそうです。ところが僕はまったく活躍できなかった。帰り道、コーチの車に乗せてもらっているときに言われました。『俺はお前をAに上げたのは間違っていたと思う。お前があんなしょうもないプレーをするとは思わなかった』。この言葉は響きました。信頼してくれた人を裏切ってしまったという思いです。そういうプレーヤーには、今後、ならないでおこうと思いましたし、今もそういうプレーヤーを目指しています。僕の原点です」
──もう一つ、アンケートの「行ってみたい国」がスペインでしたね。
「昔から行きたい国です。きっかけは、小学校の時にスペインの『シエスタ』(昼食後の昼寝)を知って、めっちゃ良いなって思ったんです」
──それだけですか(笑)。
「はい(笑)。ずっと行きたいけど、なかなか行く機会のない国なんですよね」
──トップリーグに話を戻します。個人的な目標はありますか。
「佐々木隆道さんの話になりますが、『トップリーグで一番強いFWになろう』と言ってくれました。僕はFWのリーダーでもあるので、強いFWが勝因と言われるようにしっかり引っ張っていきたいです」
──日本代表復帰は意識しますか。
「もちろんです。2019年のラグビーワールドカップを目指していたので、出られなかったことで悔しさがいっぱい残っています。次は2023年のフランス大会を目指します。強いチームから選ばれると思うので、まずはチームに尽くして、結果を出したいと思います」
話し方こそ落ち着いているが、胸に秘めた熱さをひしひしと感じるインタビューだった。中学生時代のコーチの言葉を胸に刻み、期待してくれた人々をがっかりさせないプレーを心がける。日本代表復帰への思いも強い。キヤノンイーグルスがトップリーグで躍進するとき、その中心には庭井佑輔がいるはずだ。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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