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連勝を狙ったクレルモン・オーベルニュ
ラグビーの欧州No.1クラブを決める「ハイネケン・チャンピオンズカップ」の2020-21シーズンが、12月11日(金)に開幕。
12月18・19日にプールステージ第2節が行われ、19日(土)には、日本代表FB(フルバック)松島幸太朗が所属するクレルモン・オーベルニュ(以下クレルモン)がアイルランドの強豪マンスターと対戦した。
プールB
プールBのクレルモンは、初戦となった12月12日(土)にアウェイでブリストル・ベアーズ(イングランド)と対戦した。FB松島のハットトリックの活躍を見せ、51-38と勝利。4トライ以上のボーナスポイントも得て、幸先の良いスタートを切った。
クレルモンはブリストルの試合から5人の選手を入れ替えた。FW(フォワード)には、PR(プロップ)ラバ・スリマニ、LO(ロック)ポール・ジャドラシラク、FL(フランカー)セバスティアン・ヴァーマイナとフランス代表の3人。また、フィジー代表のLOぺセリ・ヤトなどを揃えた。
BK(バックス)はキャプテンSO(スタンドオフ)カミーユ・ロペスを筆頭に、SH(スクラムハーフ)セバスティアン・ベジ、WTB(ウィング)ヴェルティ・ラカ、WTBダミアン・プノのフランス代表。
また、フランスに渡ってから9試合で5トライを挙げているFB松島、7人制ラグビーフランス代表のCTB(センター)ジャン パスカル・バラック、ニュージーランド代表歴のあるCTBジョージ・モアラと、多くのインターナショナル選手を先発に揃えた。
対するマンスターも開幕戦は、ホームでハレクインズ(イングランド)に21-7で勝利した。キャプテンのFLピーター・オマ-ニー、NO8(ナンバーエイト)CJ・スタンダー、SHコ-ナー・マレー、CTBクリス・ファレル、WTBキース・アールズらアイルランド代表を擁し、さらに昨季パナソニックでもプレーした、南アフリカ代表CTBダミアン・デアリエンディと、こちらも強力な布陣で試合に臨んだ。
試合はクレルモンのホームスタジアムであるスタッド・マルセル・ミシュランで行われ、1週間ほど前に亡くなった、元フランス代表でヨーロピアンチャンピオンズカップを運営する組織の会長も務めたジャン ピエール・リュクスを追悼し、黙祷が捧げられた後にキックオフされた。
試合いきなり動く。クレルモンのSOロペスのキックオフのボールを相手がノックオン。そこからボールを継続しWTBラカがそのままトライ。SOロペスのゴールも決まり、試合開始から1分足らずでホームのクレルモンが7-0で先制した。
マンスターも4分、SOのJJ・ハンラハンのPG(ペナルティゴール)で3点を返し3-7とする。6分、FB松島選手のパスを相手がインテンショナルノックオン。クレルモンがペナルティトライを獲得し、14-3とリードを広げる。この販促でマンスターのWTBシェーン・デーリーがシンビン(10分間の一時退室)となった。
直後にマンスターは再びSOハンラハンのPGで3点を追加し6-14とするが、ホームのクレルモンの勢いは変わらず、14分、モールを押し込んでから右に展開しWTBプノのトライと、SOロペスのゴールで21-6と突き放す。
19分に相手にPGを決められるが、クレルモンは23分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込みHO(フッカー)エティエンヌ・フルカドのトライでさらに追加点を挙げ、28-9と点差を広げた。
マンスターにようやくトライが生まれたのは28分だった。ラインアウトを起点にFBマイク・ハーレーが飛び込み、16-28とする。その後はそのままお互いに得点がないまま、28-16とホームのクレルモンが12点のリードで前半を折り返した。
後半に入るとマンスターが反撃。まず3分、相手のラインアウトの反則でペナルティを得たマンスターは、まずSOハンラハンのPGで、19-28と点差を詰める。さらに12分にもPGで3点を追加し、22-28と追い上げると、18分にも再びPGで25-28とついに3点差まで追い上げる。
クレルモンも20分にSOロペスのPGで31-25としたが、残り20分、流れはマンスターに傾き始める。30分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込み、最後はNO8スタンダーが押し込んでトライ。ゴールも決まって32-31とついにマンスターが逆転した。
さらに終了直前の37分、マンスターは再びモールから、途中出場のHOケヴィン・オバーンが押さえる。この試合、プレースキック9本をすべて決めたSOハンラハンのゴールが決まって、マンスターが39-31で逆転勝利し、ノーサイドを迎えた。この試合の「スター・オブ・ザ・マッチ」(最優秀選手)にはマンスターのNO8スタンダーが選出された。
アウェイのマンスターがクレルモンを下し、勝ち点を8に伸ばした。敗れたクレルモンも4トライ以上のボーナスポイント1を得て、勝ち点を6とした。
逆転勝利したマンスターのヨハン・ファン・グラーンHC(ヘッドコーチ)は、「私たちは勝つと思っていたし、勝つためにここに来た。ハーフタイムには自分たちのゲームプランを信じて遂行すれば必ず試合に勝利すると言いました。この1週間たくさん話して、選手たちが最後の1秒まで試合を諦めないと信じていました」とアイルランド放送局RTEのインタビューで話した。
NO8スタンダーも試合後のインタビューで、「前半は自分たち自身にプレッシャーをかけてしまった。しかし、僕たちは50人のスコッド全員で1週間やってきたことがこの結果をもたらした」と胸を張った。
一方、失速して敗れたクレルモンのフランク・アゼマHCは、「非常にいいスタートを切ったのに、だんだん悪くなっていったのが残念だ。マンスターはしぶといチームだということがわかっていたのに」。
「エリアもボールもキープできなくなった。私たちはとても強かったが、それが80分間ずっとそうだったというわけじゃなかった」と仏紙ラ・モンターニュのインタビューで話した。
クレルモンのキャプテンSOロペスは、「この敗戦は痛い。今回の大会のプールステージは4試合しかないので難しい。前半の30分間は良かったのだが、その後うまくいかなかった。もっと一貫性のあるプレーをしないといけない。規律も悪かったのが敗戦につながった。ボーナスポイントが取れたことがせめてもの救いだった」と仏紙レキップ紙にコメントしている
両者は年明けの1月16日(土)に、今度はマンスターのホーム、ライマーリックのトモンド・パークで再戦する。マンスターは勝利すれば準々決勝進出をほぼ確実にし、一方でクレルモンは敗れれば敗退が濃厚になってしまう。
リターンマッチも互いに負けられない激しい試合となるだろう。また、この試合でトライできなかったFB松島も再戦でのリベンジに燃えているはずだ。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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