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ラグビー コラム 2020年12月7日

日本のスクラムをリードする男 具智元にとっての最後のトップリーグ

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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具智元選手

待ちに待ったジャパンラグビー トップリーグ2021が、まもなく開幕する。ラグビーワールドカップ(RWC)2019で活気づいた日本ラグビーを、さらに盛り上げるはずだった2020年のトップリーグは、新型コロナウイルス感染症の拡大で中断されたままシーズンを終えた。RWCで快進撃を続けた日本代表選手たちのプレーを見る機会が、再び戻ってくるわけだ。待ちきれない思いの人は多いだろう。いまは日本代表の武器となったスクラムの大黒柱・具智元も開幕を楽しみにする選手の一人だ。所属するHondaHEATでは4年目のシーズンを迎える。いま、どんな思いで開幕を見据えるのか。その胸の内を聞いた。

――まもなく、トップリーグが開幕します。コンディションはどうですか。
「少し足の痛みがあったのですが、パナソニック ワイルドナイツとの練習試合(11月21日)から復帰して、フィットネスも上がってきて身体の調子はいい感じになってきています」

――髪の毛が伸びましたね。
「はい(笑)。ステイホーム期間中に伸びてしまって、いまは横だけ切っています。前髪はこれ以上伸ばすと邪魔なので、ここまでです。はい、今シーズンは前髪ありです」

――HondaHEATの今年のスローガン「HEAT TIME」について説明してもらえますか。
「これは、試合の中できつい時間帯や、流れが悪いときに使う言葉です。ヒートタイム!と言ったら、自分たちの時間に使用しよう、自分たちのやろうとしているプレーをやろうと、マインドセットを戻してくれる言葉なんです」

――昨シーズンのトップリーグがコロナ禍で中断してしまって、それ以来、なかなかチーム練習もできなかったですね。久しぶりにラグビーをしたときはどんな感覚でしたか。
「みんなで練習できるまで時間がかかったし、僕は復帰したばかりなので、8人で組むスクラムや、フィールドプレーは感覚がまだ戻っていません。身体はいい感じに戻ってきているので、これから戻していきたいです」

具智元選手

――スクラムが恋しかったのではないですか。
「そうなんです。スクラムの練習がしたくて、一人でやっていました。スクラムマシーンで組むこともあるし、肩に紐解つけて固定した場所に結び、姿勢のキープをすることもありました。でも、一人でやるのと人と組むのは全然違うので、めちゃくちゃ組みたかったです。」

――日本でのRWC後に始まった昨季のトップリーグとこれから始まるトップリーグ、開幕前の気持ちに違いはありますか。
「昨シーズンはたくさんのお客さんが来てくださって、トップリーグではあれほどの大観衆の前でプレーするのは初めてでした。中止になったときは選手たちもすごく残念がっていました。今季も多くのファンの方が見に来てくれると思うので、がっかりさせないように、みんなで頑張っていい準備をして、質の高いラグビーを見せられるようにしたいです」

――RWC日本大会のあと、生活に変化はありましたか。
「終わってから半年は、よく声をかけてもらったし、インタビュー取材やテレビ出演もありました。今も鈴鹿で声をかけられることがあります。RWCの前にはなかったですし、応援されていると感じます」

――注目度も上がって、いい服を買ったりしましたか。
「ああ(笑)。いい服ではないですが、テレビ出演が多くなったので、ひとつだけ買いました。そんなに買っていませんよ」

――日本代表選手から連絡はありますか。
「田中フミさんはよく連絡してくれます。パナソニックとの練習試合の前は、布巻峻介さんが、試合来るの?って連絡くれたりしました」

――日本代表のスクラムコーチの長谷川慎さんとは会いましたか。
「ヤマハ発動機ジュビロとの練習試合で会いました。やせすぎじゃないか?って言われました」

――たしかに、少し締まったように見えます。
「フィットネスの練習が厳しくて、1kgか2kgくらい減っていたかもしれません」

――HondaHEATには、有力な選手が新たに加入しています。PRマティウス・バッソン(190cm、116kg、25歳)、LOフランコ・モスタート(200cm、112kg、30歳)といったった南アフリカ代表やスーパーラグビーで活躍した選手はチームにどんな影響を与えてくれていますか。
「バッソンは2年目ですが、来た当初よりもスクラムは良くなっています。フィールドプレーはもともと良い選手です。年齢も自分より一歳下でこれからが楽しみです。モスタートは、スクラム、ラインアウトで力になってくれると思います。SOのジャン=ルック・デュプレッシー(179cm、90kg、26歳)もアタックでリーダーシップがあり、コミュニケーション能力も高く、やりやすいです。FBマット・ダフィー(192cm、95kg、30歳)は足が速くて、心も強い。カウンターアタックも良いし、キックの飛距離も出る。とても良い選手です」

――バッソン選手はライバルですね。
「そうです。彼も3番ですから。気を抜かずに僕も頑張りたいです」

――その他の注目選手をあげてください。
「フロントロー(FW第一列)が、自分より2歳上が最年長でとても若いんです。経験を積んで伸びていくと思いますので、フロントローにぜひ注目してほしいです」

――HondaHEATの開幕戦は、1月17日、相手は宗像サニックスブルースになります。レメキ ロマノ ラヴァ選手がHondaから移籍しましたね。意識しますか。
「レメキさんは同じチームの時は心強かったけど、相手にしたらちょっと緊張します。外側で抜かれたらどうしようって(笑)」

――ファーストステージのレッドカンファレンスで、他に対戦が楽しみなチームはありますか。
「昨季、あと一歩で負けたチームがいくつかあります。NTTコミュニケーションズシャイニングアークス、クボタスピアーズ、東芝ブレイブルーパスがそうですが、スクラムでもプレッシャーをかけてきたし、楽しみでもあり、警戒しないといけないチームです」

――スクラムを組むのが楽しみな選手はいますか。
「レッドカンファレンスのPRでいえば、日本代表でも一緒だった三上正貴さん(東芝)と組むのが楽しみです。今年からクボタに入ったHOマルコム・マークス(南アフリカ代表)も楽しみです」

――マークス選手はじめ海外から有名な外国人選手が各チームに多数加入しています。ボーデン・バレット(ニュージーランド代表)、マイケル・フーパー(オーストラリア代表)、グレイグ・レイドロー(スコットランド代表)、この流れをどう感じていますか。
「すごい選手と一緒にプレーできるのは楽しみなんですけど、相手にしたら怖い選手なので、どうやって攻略するか考えていきたいと思います。ボーデン・バレット選手は自分にはできないプレーが多く、きれいにディフェンスを突破したり、一発のキックでトライを演出したり、見ていて楽しいので好きな選手です。でも、対戦するときは抜かれないようにしっかり追いかけたいと思います」

――ファーストステージ、セカンドステージでプレーオフ進出チームを決める大会方式についてはどう思いますか。
「どんなシステムでも、勝ち続けないとプレーオフには行けません。やることは同じです」

――具選手の個人的な目標を教えてください。
「これまでトップリーグを戦ってきて、スクラムにムラがあったので、今回は全試合いい感じでスクラムを組みたいです。スクラムでいいボールを出せば、みんないい攻撃ができるし、大きな責任を持って準備したいです。また、ワークレートも高くしたいですね、チームとしては、ベスト8以上を目標に、みんな頑張っています」

――2021年6月に日本代表がブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズと試合することになりました。聞いたときはどんな気持ちでしたか。
「日本代表の試合がいつあるか分からなくて、不安だったのですが、それを聞いて安心したし、大きなモチベーションになっています。ライオンズは、強い4チーム(イングランド、アイルランド、ウエールズ、スコットランド)の一流選手が集まるチームですから、楽しみで仕方がないです。トップリーグのパフォーマンスが悪ければ選ばれないので、しっかり準備しないといけないです」

――ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「昨季はたくさんのファンの皆さんが来てくださったのに中断になってしまい、選手たちも残念がっています。この間も、みんなでいい準備してハードワークして、頑張ってきたので、楽しいラグビーを見せられるように頑張っていきたいと思います。これからも応援をよろしくお願いします」

いつも通りの優しい笑顔で質問に答えてくれた具選手は、一つ一つの質問に真摯に答えてくれた。髪型も変わり洗練されたように見えるが、ラグビーに対する情熱は変わらず、スクラムの質を高める探究心はさらに高まっている。具選手がスクラム最前列でチームを引っ張るHondaHEATの戦いも楽しみだ。

文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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