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南半球最強選手権「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」は、本来は4カ国で行われるのだが、今季は南アフリカがコロナ禍による準備不足で参加を見送った。大会はニュージーランド(オールブラックス)、オーストラリア(ワラビーズ)、アルゼンチン(プーマス)という3カ国の「トライネーションズ2020」として開催されている。全試合をオーストラリアで行い、10月31日に開幕。第1戦ではニュージーランドがオーストラリアを43-5という大差で破ったが、11月7日の第2戦ではオーストラリアが24-22でリベンジ。そして、11月14日、アルゼンチンの初戦がシドニーのバンクウェスト・スタジアムで行われる。
アルゼンチンは、ウルグアイのモンテビデオでの検疫を経てオーストラリア入り。オーストラリアAとの2試合に勝利するなど準備を整えてきた。マリオ・レデスマヘッドコーチは言う。「南アフリカはザ・ラグビーチャンピオンシップのような試合をするには、事前に一人あたり400分のプレーが必要だと言っていたが、我々は100分くらいだろう」。アルゼンチンがテストマッチに臨むのは、昨年のラグビーワールドカップ(RWC)のアメリカ戦以来のこと。準備不足は否めないが、ときに驚くような勝利をあげるのがアルゼンチンだ。凄まじい気迫で挑むだろう。
【アルゼンチン】スターティングメンバー
メンバーは昨年のRWCの代表であり、スーパーラグビーのジャガーズでもおなじみのメンバーが並ぶ。キャプテンはスタッド・フランセ所属のFLパブロ・マテーラ、HOフリアン・モントージャはRWCで3戦に先発。HB団はベテランSHトマス・クベリ、SOニコラス・サンチェス。これら経験豊富な選手に加え、ジャガーズの21歳、CTBサンティアゴ・チョコバレスがテストマッチデビューを飾る。
【ニュージーランド】スターティングメンバー
対するニュージーランド(オールブラックス)は、前節でオーストラリアに敗れたこともあって強力なメンバーを組んできた。脳震とうで2試合を欠場したPRジョー・ムーディーが復帰。72キャップのHOデイン・コールズ、192cm、127kgの大型PRティレル・ロマックスとFW第一列を形成する。LOには前節体調不良で欠場したパトリック・トゥイプロトゥが戻り、FW第三列はシャノン・フリゼル、サム・ケイン、アーディ・サヴェアという攻守にアグレッシブな選手を並べた。
HB団は、先週はTJ・ペレナラ、ボーデン・バレットのコンビだったが、SHアーロン・スミス、SOリッチー・モウンガに戻し、ボーデン・バレットは最後尾のFBへ。バレットの弟ジョーディーはWTBに入り、「ロムー二世」と言われるケイリブ・クラークが11番で先発する。決定力あるリーコ・イオアネ、ダミアン・マッケンジーがリザーブに入り、スキのないメンバーで必勝を期している。ニュージーランドのイアン・フォスターヘッドコーチは「先週のオーストラリア戦は失望したが、多くの教訓を得た。スペースを見てプランを遂行するためにもっと賢くなる必要がある」とコメントしている。
スーパーラグビー・アオテアロア、ブレディースローカップ、そして今大会ですでに2試合を経験しているニュージーランドの優位は明らか。ケイリブ・クラークのモンスター級の突進も楽しみだ。アルゼンチンとしては、チャンスを逃さず得点し、僅差勝負に持ち込みたい。両者の対戦成績は、29戦してニュージーランドの28勝1引き分け。しかし、2019年7月20日の対戦では、20-16とアルゼンチンが健闘した。持ち前の低いタックルでプレッシャーをかけ、ニコラス・サンチェスを軸に変幻自在のアタックを見せてもらいたい。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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