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【ハイライト】明治大学 vs.慶應義塾大学|ラグビー 関東大学対抗戦2020
「開幕戦で筑波に負けたことで、練習でできたことが試合では上手く行かないのが当たり前だという気持ちで取り組めた」(栗原監督)。慶大はミスが起きてもひたすら低く刺さる決め、キックで相手陣に入る作戦を繰り返した。後半6分、山田のPGが外れても、それは変わらない。17分にはラインアウトからのモールからHO原田衛(3年)がトライを奪い、ついに逆転する(10-7)。なおも攻め込む慶大だが、ここは明大の箸本が連続してジャッカルを決めて立ちはだかる。
慶大のタックルに苦しんでいた明大は2つ目のトライをあげたのは、後半32分のことだった。明大陣10mライン付近のスクラムから左オープンに展開し、サインプレーから交代出場の齊藤大朗(4年)がディフェンスを突破、最後はこちらも交代出場のWTB高比良隼輝(3年)がインゴールへ走り込み、SO齊藤のゴールも決まって、10-12と逆転。ようやく攻勢に出た明大だが、後半37分、慶大でラインオフサイドの反則を犯し、自陣に攻め込まれる。
慶大の攻めをしのぐ明大だが、終了間際、ブレイクダウン(ボール争奪局面)に激しくプレッシャーをかけようとしたところで相手側に倒れ込む反則を犯してしまう。22mラインのやや外側、右中間の位置から山田響がPGを狙う。残り時間はなく、勝敗の帰趨は山田の左足に託された。この日、タッチキックをミスし、後半6分のPGもミスしていた山田だが、相部キャプテンは「彼が一番上手いからキッカーなんです」と揺るがぬ信頼でキックを任せた。これを山田が思い切りよく蹴り込んで成功。直後にノーサイドの笛が鳴る。対照的な両者の表情が印象に残るドラマチックな幕切れだった。
勝った栗原監督は「タックルも素晴らしかったのですが、組織ディフェンスが向上した印象があります」とコメント。相部キャプテンは「フォーカスしていたのはプレシャーをかけてスペースと時間を奪うことです。そして明大はワイドに展開してくるので、スペーシング(防御網の間隔を保つこと)をしっかりして攻撃をシャットアウトすることでした」と冷静に振り返った。
敗れた明大は相手陣に入る戦略もうまく行かず、攻撃に変化をつけることもできず、ブレイクダウンでも圧力を受けた。試合運びに課題は多いが、田中澄憲監督は前向きに語った。「慶應からこの一戦にかける思い、明治に勝つという準備を学ばせてもらいました。我々は若いチームなので、この敗戦を次につなげられるように成長していきたいです」
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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