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コロナ禍で先の見えない状況のなか、国内ラグビーがいよいよ本格始動する。10月4日(日)、秩父宮ラグビー場(東京都港区)では、関東大学対抗戦A開幕戦が有料試合にて行われる。12月から1月にかけて開催予定の全国大学選手権は14チームが参加するが、関東大学対抗戦からは5位までのチームが出場できる。大会規定で、前大会の決勝戦進出チームの所属リーグは増枠という規定があり、早大と明大が決勝戦に進出した関東大学対抗戦が本来の3枠から5枠となった。
昨季11年ぶりに大学日本一に輝いた早稲田大学
学生王者・早大は第2試合に登場し、青学大と対戦する。昨季のメンバーから齋藤直人キャプテン、プレーメイカーのSO岸岡智樹、突破役のCTB中野将伍といった主力が卒業し、この穴を誰が埋めるのかに注目が集まる。トップリーグでも即戦力になる彼らに代わる選手は簡単には出てこない。いかに総合力を高められるかがカギだろう。3年目の指揮を執る相良南海男監督は、新たなキャラクターづくり、新たなチャレンジが必要としつつ、「やはり、ディフェンスがベース」と、その著書(早稲田ラグビー最強のプロセス・集英社)で述べている。
開幕戦メンバーを見ると、キャプテンのNO8丸尾崇真(4年)、PR小林賢太(3年)、WTB古賀由教(4年)ら昨年の主力に加え、SHには期待のSH小西泰聖(2年)、SOは東福岡高校出身の吉村紘(2年)が入った。小西は桐蔭学園高校時代から天才と謳われた選手。吉村は高校3年間、全国大会でも活躍した。若いHB団がどうチームを機能させるか。もちろん、倒れた選手がすぐに起き上がって動き続けるという早大らしさは開幕戦から出していきたい。チームのスローガンは、昨年の「For ONE」から今年は「BATTLE」へ。「早稲田ラグビーに関わるものすべてが「一つになる」から、「一つになって戦う」という変化である。相手だけではなく、仲間とも妥協なく切磋琢磨していこうということだろう。
早大同様、青学大も夏合宿が中止となり、練習試合ができたのは、8月下旬だ(対山梨学院大)。4年後に100周年を迎える青学大ラグビー部は、それまでに大学ベスト4になるようなチームになろうと強化中。今季も早くから始動していたが、新型コロナウィルス感染症の拡大に寄り活動を休止せざるをえなかった。昨季の青学大は3年生以下のメンバーが軸になっており、準備期間が短いなか、スムーズにチーム作りを行っている。
中心になるのは、西野稜祐キャプテン(4年)、BKリーダー河部周次(4年)のCTBコンビ。阿吽の呼吸で攻撃を仕掛ける。大友孝芳監督の下で、スピーディーな展開ラグビーを志向。粘り強くディフェンスし、攻守に相手よりも素早く反応することで勝負したい。
昨季の両チームは9月8日、早大グラウンドで対戦し、92-0で早大が勝っている。実力差はありそうだが、点差よりも内容が大切だ。今季のチームが何を目指すのかが分かるような戦いを見せてほしいし、新しい戦力の台頭も見てみたい。なにより、ラグビーができる喜びがあふれるような熱い戦いを期待したい。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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