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後半はクルセイダーズが攻める時間が多くなった。5分、モウンガが個人技で抜け出し、最後はSHブリン・ホールがゴールラインに迫るが、ハイランダーズのWTBマッケイがあきらめずにトライ寸前でホールが持つボールを叩き、ノックオンを誘う。芝を叩いて悔しがるホール。13分には、ハイランダーズCTBマイケル・コリンズがトライし、13-22と点差が広がる。痛恨のミスと失トライに、スタジアムには重苦しい空気が漂った。
しかし、後半20分から抜群の得点力を発揮してきたクルセイダーズはこの日も健在だった。交代出場のFLシオネ・ハヴィリがディフェンス突破を連発してチームの勢いを引き出すと、後半21分、CTBジャック・グッドヒューが3人のディフェンダーを引きつけてオフロードパス。FBウィル・ジョーダン、ブリッジにパスがわたってトライ。ゴールも決まり、20-22と2点差に迫る。3分後、交代出場のLOルーク・ロマノが自陣からの攻撃ラインに参加してタックルされつつモウンガに片手でパスを出すと、ファンブルしながらボールを確保したモウンガが一気に相手陣へ。ブリッジのトライを導いた。今季何度も見てきた逆転劇で、25-22。34分には、CTBブレンダン・エノーがトライを追加して、勝利を決定づけた。この結果、クルセイダーズは、6勝1敗、勝ち点28とし、2位のブルーズ(5勝2敗、勝ち点22)に6点差をつけ、8月16日の最終戦を待たず優勝が確定した。
「最後の20分は消耗しきっていたが、よく巻き返してくれた。大型選手数名が力を発揮し、ディフェンスで働き、相手陣に攻め込む機会を作り出した事を特に評価している」(スコット・ロバートソンヘッドコーチ)。我慢強くチャンスを待ち、相手の運動量が落ちてくる後半20分過ぎにとどめを刺す。戦法の理解度が高く、シンプルにボールを動かす戦術を正確に遂行できるクルセイダーズだからこその勝利だった。歓喜に包まれるスタジアム。ピッチに登場したたくさんのラグビーキッズに囲まれ、コーディー・テイラーキャプテンは優勝トロフィーを天高くさし上げた。
アオテアロアは、8月15日、16日、最終節が行われる。クルセイダーズはブルーズと対戦。有終の美を飾ることができるのか、それともブルーズがホームのイーデンパークで意地を見せるのだろうか。
文:村上晃一
【クルセイダーズ優勝セレモニー】
スーパーラグビー2020アオテアロア勝利のハカ
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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