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ラグビー コラム 2020年7月20日

【ハイライト動画あり】ミラクル勝利ふたたび!ハイランダーズが24点差から劇的カムバック。SRアオテアロア第6節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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後半にスタートダッシュを決めたのはチーフス。

後半2分、相手反則から縦長のラインアウトモールを見事に操りチーム4トライ目。残り時間およそ35分で、ふたたびリードを24点(31-7)とした。

しかしチーフスにとっては、ここからが悪夢の始まりだった。

ハイランダーズの共同主将の一人、HOアッシュ・ディクソンは試合をこう振り返った。

「前半の私達(ハイランダーズ)はペースが上がらず、多くの愚かなペナルティを犯し、上手くプレーしたチーフスを封じ込められませんでした。ただフィールドの端でプレーすることで状況が変わりました」

反撃の狼煙は後半7分。

敵陣右のラインアウトから2次攻撃目に、振り戻すとみせかけ、順目方向にアタック。

エリアの端に配置されていた好ランナーのSOミッチェル・ハントが見事に突破し、そのまま左隅へチーム2トライ目。31-12

畳みかけるハイランダーズは後半16分、WTBジョシュ・マッケイの突破からSHスミス共同主将が絶妙なサポートランから独走し、さらに持ち込んでチーム3トライ目を挙げた。31-19

チーフスは敵陣でのハンドリングミスも重なり追加点を奪えない。後半24分のFBダミアン・マッケンジーのトライも、それ以前の反則によりノートライ判定となった。

残り10分間で、チーフスのリードは12点(31-19)。

防戦一方のチーフスはピンチになると反則(ラックでのハンド)をする悪癖で窮地となるが、FLボッシャーのジャッカルで失点は免れた。

ところが後半35分、チーフスは攻守交代直後のキックを、FBマッケンジーがタッチラインの外に出さず、ハイランダーズがカウンターを開始。

楕円球はラスト10分で投入された7人制代表のジョシュ・ナレキへと渡り、長いインプレーで消耗していたチーフスFWを難なく振り切って、左中間にトライ。

SOハントのゴール成功で、ハイランダーズがついに5点差(26-31)に詰め寄った。

失トライ後のリスタートでも反則があり、自陣へ下がってしまったチーフス。

開幕節ハイランダーズ戦での劇的ドロップゴールによる敗北(27-28)が脳裏をよぎった者もいたかもしれない。

ただこの大ピンチで、FLボッシャーがまたもジャッカル。ヒーロー的な大活躍でチームの窮地を救った。

残り時間およそ30秒で、チーフスのマイボール・ラインアウト。あとはボールをキープすれば今季初勝利が手に入る――。

ところが、ボールを無事確保し、ラインアウトモールを組んだチーフスだが、ここで痛恨のオブストラクションの反則。

ボールを後方に送った状態でモールの先頭が相手に当たり、ボールを持っていない相手プレイヤーを妨害してしまった。

「私達(チーフス)は勝利を手中に収めていました。本当にがっかりしています」(チーフス・FLケイン主将)

ケアレスミスがペナルティとなり急転直下、チーフスは絶体絶命。

ハイランダーズはSOハントの好タッチで、敵陣右ゴール前ラインアウトへ。得意のモールは防がれたが、SHスミス共同主将がモール横の大きなスペースに気が付いた。

SHスミス共同主将が左へ持ち出すと、そこへCTBパテレシオ・トムキンソンが走り込み、ゴールも成功し、歓喜の瞬間。

トライを決めるパテレシオ・トムキンソン(中央)

チーフスのコーチ陣はロスタイムの逆転負けによる、まさかの5連敗にきつく腕を組み、沈黙。

一方、ハイランダーズのコーチング・ボックスで、3年目のアーロン・メイジャーHC、日本代表でも活動するトニー・ブラウン アシスタントコーチは歓喜。

スリリングな劇的決着により、ハイランダーズが待望の今季2勝目を手にした。


文:多羅正崇

【ハイライト】 スーパーラグビー2020 アオテアロア第6節

チーフス vs. ハイランダーズ

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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