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ラグビー コラム 2020年6月29日

【ハイライト動画あり】王者クルセイダーズ、初のホーム試合で底力見せつけ連勝 22歳の攻撃的FBウィル・ジョーダン先制トライ

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ニュージーランド版スーパーラグビー「アオテアロア」の優勝候補筆頭クルセイダーズが、苦しみながらも2連勝を飾った。6月28日(日)、本拠地クライストチャーチに今大会初登場となったクルセイダーズは、前半10分、スクラムで圧力をかけてチーフスの反則を誘うと、SOリッチー・モウンガが先制PGをあげる。降りしきる雨の中、序盤はキックを使って相手陣で試合を進めたが、次第にチーフスの連続攻撃を受けるようになり、23分にはチーフスのFBダミアン・マッケンジーにPGを決められ同点とされた。

ゴールラインを背負ってチーフスのモールを食い止めるなど、我慢強く戦ったクルセイダーズは、前半33分、自陣22mライン付近からモウンガが右タッチライン際にハイパントを蹴り上げる。ハーフウェイライン付近の落下地点に向かって、WTBセヴ・リースが全力疾走。チーフスのマッケンジーがジャンプしてこれをキャッチしようとしたが、落下地点の味方選手が気になってボールに触れないまま通過すると、ボールはジャンプせずに待ち受けるリースの胸にすっぽりと入った。

体を反転させたリースはチーフスゴールに向かって猛ダッシュ。追いすがるディフェンダーにタックルされそうになると、左側にサポートしていたFBウィル・ジョーダンにパス。ジョーダンは瞬時の加速でタックラーを振り切るとインゴールまで駆け抜けた。スコアは、10-3。前半終了間際にもクルセイダーズはトライチャンスをつかみ、モールを押し込んでチーフスゴールに迫ったが、ここは怪我から復帰したチーフスのサム・ケインキャプテンが力強くモールを割ってボールに絡み、ターンオーバーを勝ち取った。スコアはそのまま後半に入る。

トライを決めるウィル・ジョーダン

後半も試合巧者ぶりを発揮したのはクルセイダーズだった。5分、チーフスのパスミスでボールがタッチラインの外に転がる。クルセイダーズから見ると、チーフス陣10mライン付近右側でのことだ。セヴ・リースはこのボールを拾うと、すかさずクイックスローイング。ここにトップスピードで走り込んできたのが、前節、週間最優秀選手に選ばれたウィル・ジョーダンだった。スピードを落とさずにボールをキャッチすると、ジョーダンはそのまま40mを走り切って右コーナーに滑り込んだ。相手のスキを見逃さず、全員が反応してトライを生み出すクルセイダーズの強さが凝縮されたプレーだった。スコアは、15-3となる。

開幕から2試合で1トライしかあげられていないチーフスは、後半24分、ラインアウトからの連続攻撃でゴールラインに迫り、最後はWTBショーン・ワイヌイが右中間に飛びみ、18-10と差を詰める。29分にもPGを決めて、18-13と逆転圏内に迫ったが、その後は、クルセイダーズの鉄壁のディフェンスを崩しきれなかった。6割以上ボールを支配し、パス回数は、クルセイダーズの88に対して163回と倍近くボールを動かしながらの悔しい敗戦だった。

スーパーラグビー2020 アオテアロア第3節

ブルーズ vs. ハイランダーズ ハイライト

ボール争奪戦でのルール解釈を厳格にするアオテアロアのレフリングは、第3週に入って馴染みはじめ、この日のペナルティーは両チーム8個ずつ。過去2週に比べて落ち着いた。天候が良ければさらにスピーディーなラグビーが楽しめただろう。粘り強く勝ったクルセイダーズは開幕2連勝で次週はアウェイ(ダニーデン)でハイランダーズとの対戦。3連敗のチーフスはホーム(ハミルトン)でハリケーンズと戦う。


文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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