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ラグビー コラム 2020年6月12日

ニュージーランド版スーパーラグビー「アオテアロア」 国内の新型コロナウイルス感染者ゼロを達成し、 世界のプロスポーツに先駆け、観客を入れての開幕戦が実現!

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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待ちに待ったスーパーラグビーが再開される。舞台はラグビー王国ニュージーランド(NZ)だ。無観客試合ではない。早くから新型コロナウイルス感染症の拡大に厳格な対応をとってきたニュージーランド政府は6月8日、国内の新型コロナウイルス感染者が約3か月半ぶりにゼロになったと発表した(全員が治癒して退院)。これにより、6月13日開幕のNZ版スーパーラグビー「アオテアロア」は制限なしに観客を入れて開催されることになった。

参加するのは、スーパーラグビー三連覇中のクルセイダーズを筆頭に、チーフスハイランダーズハリケーンズブルーズの5チーム。6月13日(土)から8月16日(日)にかけて毎週土曜・日曜に1試合ずつ計20試合を開催する。ホーム&アウェイの総当たり戦の勝ち点で勝者が決まるシンプルなシステムだ。

また、このリーグ限定の新たなルールも採用される。80分の試合時間を終えて同点の場合、10分間の延長戦で先にスコアしたチームを勝者とするゴールデンポイント制を導入。レッドカードで退場者が出た場合は、20分後に別の選手を入れて数的不利を補うことができる。また、タックル後のボール争奪戦「ブレイクダウン」のルールをより厳格に適応する。これによってタックル後の密集戦がクリアになり、ボールのリサイクルがこれまで以上に素早くなる。

開幕戦は、6月13日、NZ南島ダニーデンで行われるハイランダーズ対チーフスだ。NZ時間の午後7時5分キックオフ。ホームのハイランダーズは、経験豊富なHOアッシュ・ディクソンがキャプテンを務め、オールブラックスのSHアーロン・スミス、SOジョシュ・イオアネがハーフ団でゲームをコントロールする。ハイランダーズでのスーパーラグビーデビューは2人。WTBサム・ギルバートは、昨季カンタベリー州代表でプレーし、今季の序盤はクルセイダーズの若手チームでプレーしていた。23番を背負ってリザーブに入るヴィリモニ・コロニも出場すればデビューとなる。彼は7人制のオールブラックスセブンズのトレーニングスコッドで東京オリンピックを目指していたが、大会が延期されたためハイランダーズに戻った。

対するチーフスは、キャプテンのFLサム・ケイン、PRアトゥ・モリ、HOネイサン・ハリスらのオールブラックスが怪我で欠場するが、昨年のラグビーワールドカップにも出場したSHブラッド・ウェバーがキャプテンを務め、CTBアントン・レイナートブラウン、FBダミアン・マッケンジーら強力なメンバー。売り出し中のボールハンター、FLラクラン・ボーシェーはスーパーラグビー50キャップ目となる。ハイランダーズは日本代表の攻撃面を担当したトニー・ブラウンがアシスタントコーチを務める。名将ウォーレン・ガットランドヘッドコーチ率いるチーフスをどう攻略するか。スピーディーな展開と攻守の駆け引きを楽しみたい。

6月14日(日)に行われるのは、ブルーズ対ハリケーンズというNZ北島同士の対決。オークランドのイーデンパークでハリケーンズを迎え撃つブルーズは、オールブラックスのLOパトリック・トゥイプロトゥがキャプテンを務め、SOは、今年のスーパーラグビー序盤で活躍したオテレ・ブラックが入る。そして、ハリケーンズから移籍のボーデン・バレットが満を持してブルーズでのデビューとなる。ポジションはFBだ。話題のダン・カーターはメンバー外。フィットするのに少し時間がかかるだろう。NO8ホスキンス・ソトゥトゥは、かつてヤマハ発動機でプレーしたワイサケ・ソトゥトゥの息子だ。192㎝、106㎏、ダイナミックな突進に期待。

対するハリケーンズは、HOデイン・コールズとSHのTJ・ペレナラのオールブラックスコンビが共同キャプテンを務める。ボーデン・バレットの弟ジョーディは残念ながら肩の怪我で欠場するが、昨年末に膝の手術をしたFLアーディー・サヴェアがリザーブながら復帰を果たしそう。ペレナラが先頭に立って引っ張るチームだが、CTBンガニ・ラウマペ、WTBベン・ラムの突破力はブルーズにとって脅威になる。控えのSHジェイミー・ブースは、2019年、サンウルブズでプレーした活力あふれる選手だ。

NZ勢同士の闘いは、いつだって激しく、素早く、熱く、面白い。久しぶりに試合ができる喜び、観戦する喜び、笑顔が広がるスタジアムを見るのが待ち遠しい。


文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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