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己のプライドをかけて戦うラグビーワールドカップ プール戦終盤も僅差勝負続出 フィジー、ジョージアが強豪国から意地のトライ!
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一日本代表のアイルランド戦勝利で一気に盛り上がった感のあるラグビーワールドカップ(RWC)だが、日本代表戦の面白さだけでは国民的なイベントにはならなかっただろう。どの試合も見どころがあって、楽しめたからこそ、日本国中が盛り上がったのである。日本代表戦以外も改めて見てみると面白い。
日本代表がサモアに勝ち、決勝トーナメント進出に王手をかけた4日後、日本代表が最後に倒さなければならない相手スコットランドはロシアと戦った(10月9日、エコパスタジアム)。この試合の4日後にスコットランドは日本代表戦を控えており、主力を温存。その中でSHジョージ・ホーンの3トライを含む、9トライをあげる。それはスコットランドの攻撃力の高さを見せつけるものだった。このときの先発メンバーで、日本代表戦も先発したのは、ダーシー・クレアム、トミー・シーモアの両WTBだけだ。
ロシア戦で3トライをあげたスコットランド代表SHジョージ・ホーン
同日、大分スポーツ公園総合競技場では、プールDのウェールズ対フィジーが行われた。プールDは、10月8日現在、2勝1敗で勝ち点11のオーストラリアが首位に立ち、2勝で勝ち点9のウェールズが2位、フィジーは1勝2敗の7点で3位となっている。あと2試合を残すウェールズは、すでにオーストラリアに勝っていて、残すはフィジーとウルグアイ。勝利が十分に計算できる相手で1位通過が濃厚だった。しかし、フィジーがここで番狂わせを起こせば、オーストラリアが1位通過する可能性があり、準々決勝の組み合わせが変わるという重要な戦いだった。
開始3分、ウェールズのゴールライン直前でスクラムを得たフィジーは、SHフランク・ロマニがWTBチョスア・トゥイソヴァにパスを出し、トゥイソヴァはパワフルに突進しながらタックラーをかわして右コーナーに飛び込む。圧巻の個人技によるトライでフィジーが先制。前半30分、フィジーが10-7とリードしていた時間帯にウェールズがWTBジョシュ・アダムスのトライで逆転に成功する。この時は、シンビン(10分間の一時退場)でフィジーが一人少なかった。
後半13分、フィジーがラインアウトからモールを押し込み、ウェールズが思わず引き倒すと、ペナルティートライの判定。17-14と、フィジーが再びリードする。拮抗した展開の中で、ウェールズも粘り、後半20分、CTBジョナサン・デーヴィスの突進からWTBジョシュ・アダムスがゴール左隅に飛び込み、さらに突き放した。フィジーが潜在能力の高さを証明し、ウェールズも一歩も引かない。見ごたえ十分の攻防だった。
フィジー代表WTBトゥイソヴァの先制トライ
日本大会で上位陣を崩す候補の一つだったジョージアは、強豪ひしめくプールDに入り、ウェールズ、フィジーに完敗。ウルグアイには勝ったものの、1勝2敗でプール戦敗退が決まってしまった。プール最終戦を前に、残る目標はプール3位になって次回大会の出場権を勝ち取ることだ。10月11日、ジョージアはプール首位で決勝トーナメント進出が決まっていたオーストラリアに挑戦した(エコパスタジアム)。
オーストラリアは、キャプテンのFLマイケル・フーパー始め、主力を温存したが、世界屈指のFLデイヴィッド・ポーコックをキャプテンに、CTBサム・ケレヴィ、WTBマリカ・コロインベテ、FBカートリー・ビールなどスター選手が並ぶ。ジョージアは当然ながらベストメンバーだった。
台風19号の影響による悪天候のなか、先制したのはオーストラリアだった。前半22分、SHニック・ホワイトが密集サイドをついてトライ。その後は互いにPGを決めあって、10-3で後半へ。フィジカルの強いジョージアの体を張ったディフェンスもあって、後半もなかなかスコアが伸びなかったが、19分、オーストラリアのWTBコロインベテが爆発的なスピードとステップワークでトライまで走り切る。
体を張ったディフェンスを見せるジョージア代表
17-3とされたジョージアも着実に力をつけていることを証明するトライをあげる。自陣22mライン付近でオーストラリアからボールを奪うと、WTBサンドロ・トデュアがトライ。ジョージアの健闘が光ったものの、終盤、オーストラリアが2トライを加えて。ジョージアの4位以下が決まる。プール戦での敗退が決まっていても、最後まで全力で戦う選手達。終了後の両チームの交流と、この試合で大会を去るチームへの温かい拍手が清々しい。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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