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緊急事態宣言が5月末まで延長された。ラグビー界も、あらゆるカテゴリーの活動が休止中だ。日本ラグビー最高峰のジャパンラグビートップリーグもシーズン途中で中止となっている。トップリーグは、次年度にもう一度開催され、以降は新リーグに移行する予定だ。その「新リーグ構想」の進捗状況はどうなっているのかも気になるところ。
新リーグについては、昨年のラグビーワールドカップ(RWC)前に発表された新リーグ案からは、その後のRWC2019の盛り上がりや、社会情勢の変化に合わせて軌道修正がなされてきた。新リーグ設立の目的は大きく2つある。「国内リーグの発展」と「日本代表強化」だ。したがって、いまあるチームを減らすことなく、強豪国のプロリーグと肩を並べる実力と運営組織を持たなくてはいけない。急速なプロ化には慎重な姿勢をとるチームも多く、運営組織のプロ化を進め、地域に根差した活動に移行していくゆるやかなプロセスを目指している。参加を想定するチームは、トップリーグ16チーム、トップチャレンジリーグ8チーム、3月に一般社団法人ジャパンラグビー トップリーグに加盟した中国電力の25チームだ。
各チームに求められるのは次の5項目。「運営機能、事業機能を持つ」、「チーム名に地域名を入れる」、「ホームエリアを決める」、「15,000人収容のスタジアムを確保する」、「事業運営担当者を各分野に設置する」。2月28日に行われた第2回説明会では、新リーグの方針、概要、参入要件の具体的な内容がチームに伝えられた。新リーグへの参入要件に同意するかどうかの意思表明期限は4月30日になっていた。その進捗状況について、新リーグ法人準備室・室長の谷口真由美さん、副室長の瓜生靖治さんに話を伺った。
──4月30日の期限までに手を上げたチームとして、釜石シーウェイブスなどが報道されていますね。他はどうだったのでしょうか。
谷口 新型コロナウイルスの影響ですべての予定が狂っているのが現状です。当初は、すべての書類を4月30日までに揃えて提出してもらう予定でしたが、協定書を結ぶ自治体もコロナの影響で忙しく、実際に会って書面を取り交わす状況ではありません。これは不可抗力ですので、スケジュールの見直しなど柔軟に対応しようと思っています。チームによって参入の意思を公表されたところもありますが、まだ書類の揃わないチームもあり、出揃ってから正式に公表する方向です。社会課題を解決するようなリーグになって行こうとしているのに社会が大変な状況で強行に話をすすめるのは、リーグ設立の趣旨とも合いません。最終的には、意思を示したのちに審査委員会を設け、ディビジョン分けなど決めることになります。現状、審査委員会も開けませんので全体的に遅れています。
──25チームで進むという考え方は変わりませんか。
谷口 25チームに参画していただきたいという意思は変わりません。コロナの影響ですぐに結論が出せなくても、お待ちするしかない状況です。少なくとも緊急事態宣言が解除されないと、書類を揃えてくださいとお願いする時期ではないと考えています。
──準備室で進めていることを教えていただけますか。
谷口 三地域協会(関東、関西、九州)とは話を進めています。新リーグでは各チームがゲームを運営します。地域協会、都道府県協会の皆さんと良い関係を築かなくてはいけません。3月中旬に都道府県の理事長会議が開催され、そこで新リーグの概要を説明するはずだったのですが、会議が開催されなかったので、まずはオンラインで三地域協会の皆さんに説明し、その後、地域協会の方々に説明会をしようと思っています。また、メディカル、レフリーの方とも話を進めようとしています。ドクター、トレーナーといったメディカルの方とは話し始めました。新リーグは、ワールドラグビーの「エリートラグビー」の範疇に入りますので、エリートラグビーに相応しいメディカル体制の構築を行いたい。ラグビーを支えてきたメディカルの皆さんは、プロフェッショナルな仕事をボランティアでやってきてくださったわけです。それはラグビーの運営の問題点の一つです。プロに見合った報酬、ステイタスが必要になってくると思います。レフリーはこれからですが、日本のリーグで吹くレフリーは、RWCの開幕戦や決勝戦で笛を吹くというような、世界トップレベルのレフリーの方に吹いていただけるような体制を作らなくてはいけません。
瓜生 ドクターとメディカルについて補足しますと、ワールドラグビーの資格とは別に、日本の場合は日本スポーツ協会の資格があります。新リーグは多様性、国際性を目指していますので、今後世界のトップレベルのトレーナーも在籍するようなリーグとなり多様性をすべての場面で求めていきたいです。試合に携わるドクターに関しても、ワールドラグビーの基準でやっていくことがトップリーグ、そして新リーグに課せられた使命です。HIA(脳震盪の評価)やTMO(VTRを使ったプレーの判別)などを使用して、選手の健康をしっかり守ることも、世界トップレベルのリーグだと認められる条件の一つです。今後は、ラグビーを知らない若いドクターの方々にも試合に参画いただけるような環境を作っていかなくてはいけない。そういった話し合いの場を重ねている最中です。
──コロナウイルスに対する取り組みは何かされていますか。
谷口 コロナウイルスについての意見交換会を、25チームの皆さんとしています。皆さんが抱えている困難、選手のメンタルのケアなど話し合っています。新リーグでの選手のケアについて、選手会、トップリーグのリーダー会議の人たちともお話ししています。選手の皆さんと向き合うことはとても大事で、彼らが不安にならないように考えていきたいと思います。
──新リーグは当初、2021年秋からスタートというお話でしたが、コロナウイルスの影響、東京オリンピック・パラリンピックが延期されたことなどもあります。スタート時期については、どう考えていますか。
「まずは、参入意思を示すヒアリングシートの提出期限を延期しました。当初の3月末を4月末に延期したのですが、さらに政府の緊急事態宣言の解除後から1カ月を締め切りにすることにしました。開幕日程に関しては、オリンピック・パラリンピックもあり、秋開幕が難しくなってきましたので、ここはチーム関係者の皆さんと調整しているところです。いずれにしても、始まったときに魅力的なリーグになるように準備をしていきます」
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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