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ラグビー コラム 2020年4月6日

シオサイア・フィフィタ、天理大学からサンウルブズ、そして日本代表へ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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新型コロナウィルスの影響で中断しているスーパーラグビー。日本を本拠地とするヒトコム サンウルブズにとって、今年が参入5年目でラストイヤーである。

そんな「太陽狼軍団」のメンバーの中で、新人賞間違いなしの活躍を見せていたのが、4月に天理大学4回生となったばかりの「サイア」こと、CTB(センター)/WTB(ウイング)シオサイア・フィフィタである。

トンガ出身のフィフィタは12歳からトンガ・カレッジでラグビーを始めた。「ずっと日本に来たかった」と高校1年から日本航空石川(石川)に留学し、そのまま日本の天理大学に入学。1年生から不動のCTBとして関西大学Aリーグ3連覇にも大きく貢献した。

昨年12月の第1次スコッド発表では、SH(スクラムハーフ)齋藤直人(当時、早稲田大学4年/現サントリー)とともに大学生ながらサンウルブズのメンバー入りした。

「小さい頃から試合を見ていたし、スーパーラグビーの舞台に立ちたいと思っていた」というフィフィタの背中を、天理大学の小松節夫監督も「本人や日本全体のことを考えたら出したほうがいいと思った」押した。

開幕前のプレシーズンマッチでは、本来のCTBではなく、身長187cm、体重103kgのフィジカルと、50m 6.2秒の快足が買われてWTBとして出場。

トンガ時代は110mハードルで国内1位の記録を持っていたというスピードを見せて4トライを挙げてハットトリックを達成し、その潜在能力の高さを披露。

コーチ陣もほかの選手たちも「貫禄がある」「大学生ということは忘れていた」という存在感を見せた。

2月1日、福岡で迎えたレベルズとの開幕戦、21歳のフィフィタはサンウルブズ史上2番目の若さで14番を背負いスーパーラグビーデビューを果たした。

そして、いきなり右サイドの力強いランでゲインしてチャンスメイクし、それが前半9分のCTB森谷圭介のトライにつながり、サンウルブズは5シーズン目にして36-27で開幕戦を白星で飾った。

その後もフィフィタは7節までの6試合でWTBとして5試合、CTBとして1試合に先発し、2トライを挙げるなどチームの中軸のひとりとして気を吐いた。

アタックではクリーンブレイク(相手に触られずゲインする)やディフェンダービートン(相手のタックルを破って前に出る)繰り返して、大いにチームの攻撃に寄与した。

だが、やはり普段プレーしていないWTBでの出場が多く、あまり周りの選手とのコミュニケーションも取れていないこともあり、タックル成功率が約60%と低迷してしまった。これに関しては今後の課題といえよう。

大学レベルからトップリーグやテストマッチで戦うことなく、いきなりスーパーラグビーでプレーしたフィフィタは「ずっと(スーパーラグビーを)目標にしていたので、成長していると思います。

アタックは段々レベルアップしてきている。フィジカルの部分はまあまあいけるけど、オフロードパスやスペースを探すスキルは世界のレベルはすごい、レベルが高い」と話した。

「(関西の大学でプレーしている)僕にとってのホーム」という東大阪市花園ラグビー場で、3月8日に予定されていたブランビーズ(オーストラリア)戦は、残念ながらオーストラリアでの開催となってしまった。

当初の予定よりも遠征が長くなってもフィフィタは「大変な状況の中、ラグビーがやれることが幸せですし、ファンのみなさんにいいプレーができるようにと思っていた」と前向きに振り返った。

また、そのブランビーズ戦にはトンガの両親が見に来てくれて、親孝行もできたという。

フィフィタの憧れている選手は「もともと一緒にプレーしていて、仲が良かった」というトンガ・カレッジの2つ先輩のWTBアタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼)である。

もちろんフィフィタの夢は、モエアキオラ先輩もプレーした日本代表に入り、ワールドカップでプレーすることだ。

開幕前も「スーパーラグビーに毎回試合に出たら、日本代表に近づく。僕も日本代表を狙っているし、参加してみたい。しっかりとサンウルブズにチャレンジしたい」と意気込んでいた。

今年のサンウルブズでのフィフィタの活躍は十二分に、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)以下、日本代表コーチ陣に大きなアピールになったはずだ。

フィフィタの能力がれば十分にトップリーグでもトライを量産できるはずだ。ただ、その前にやることがある。今シーズン、天理大学で副キャプテンに就任したフィフィタは「大学生活ラストなので、天理大で日本一が目標です」と意気込んでいる。

日本代表に選ばれ、2023年のワールドカップにモエアキオラ先輩とともに出場するという大きな夢の前に、まずは天理大学を大学選手権優勝に導き、小松監督を胴上げするために、この1年間は邁進するつもりだ。

「アタックもディフェンスも好きなので、誰にも負けたくない」と話す、日本育ちのトンガンボーイの夢は大きく膨らむばかりだ。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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