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トップリーグ第3節も各地で熱戦が相次いだ。もっとも観客を集めたのは、1月26日のノエビアスタジアム神戸だ。ほぼ満員の26,312人。王者・神戸製鋼コベルコスティーラーズに対し、SH流大、CTB中村亮土、FB松島幸太朗の日本代表勢が先発するサントリーサンゴリアスが挑む好カードは、両チームのスピーディーで激しい攻防にスタジアムが揺れた。神戸製鋼がFB山中亮平のカウンターアタック、SOダン・カーターのキレキレのステップに正確なキックパス、CTBラファエレ ティモシーの変幻自在のパスで魅了すれば、サントリーも松島幸太郎の快走、WTB中鶴隆彰の爆発的なスピードなど卓越した個人技で客席を沸かせた。
20-16と神戸製鋼リードで迎えた後半5分、神戸製鋼はCTBリチャード・バックマンがタックルをかわしながらインゴールへキックし、これを追ったWTBアンダーソン フレイザーが押さえて、25-16。その後、バックマンがトライを追加し、30-16まで引き離した。しかし、サントリーもNO8テビタ・タタフ、中鶴のトライで追い上げる。緊張感あるプレーの連続を大観衆も固唾を飲んで見守った。サントリーの反撃は続いたが、終了間際、神戸製鋼の反則でPKを得た時点で試合終了を告げるホーンが鳴っており、交代出場のSOマット・ギタウがPGを狙う選択をした。これを成功させて35-29とし、7点差以内の負けに与えられるボーナス点を獲得するにとどまった。序盤からサントリーが得意の連続攻撃で神戸製鋼のディフェンスに圧力をかけたのだが、トライを取り切る力でやや神戸製鋼が上回っていた気がする。
神戸に次ぐ10,617人の観客を集めたのは、26日、ニッパツ三ツ沢球技場で行われたキヤノンイーグルス対NECグリーンロケッツだ。SH田中史朗、SO田村優の日本代表HB団がゲームをリードするキヤノンは、前半12分、今季より加入したFBのSP・マレーが防御背後にキックし、これをチーム加入6年目のWTBマイケル・ボンドがキャッチして先制のトライ。16分にはラックサイドを抜け出したPR岡部崇人がトライ。田村が2本のゴールを決めて14-0として流れをつかんだ。キヤノンは、前半を28-0で折り返すと、そのリードを守って38-12で今季2勝目。NECは後半2トライを返したが届かなかった。
好調のパナソニック ワイルドナイツは、25日、相模原ギオンスタジアムで三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦。前節と大幅に先発メンバーを変えたが、HO堀江翔太、FLデービッド・ポーコック、SO松田力也ら実力者が軸になって次々にトライを重ねた。7人制日本代表に参加するために離脱した福岡堅樹に代わって出場したWTB梶伊織は、福岡よりも小さな170㎝、75㎏のサイズだが、俊足を生かして3トライ。マン・オブ・ザ・マッチを受賞する活躍だった。CTBダミアン・デアリエンディが序盤で負傷退場したことで、SO山沢拓也が交代出場。松田力也と、SO、インサイドCTBとしてゲームを操ることになり、2人のパスが導いたトライもあった。日本代表でもこのコンビを見てみたいと思ったファンは多いだろう。
僅差勝負が予想されたHondaHEATと東芝ブレイブルーパスの一戦は、25日、パロマ瑞穂ラグビー場にて行われ、前半は東芝、後半はHondaペースで進んだが、32-23で東芝が競り勝った。東芝のCTBリチャード・カフイは、34歳のベテランながら好サポートからのトライを決め、後半32分には、点差に突き放すドロップゴールを成功させるなどチームをけん引した。同会場の2試合目は、トヨタ自動車ヴェルブリッツが、日野レッドドルフィンズから9トライを奪い、今季初勝利をあげている。
今季、明らかに地力をつけているのが宗像サニックスブルース。25日、地元・宗像市のグローバルアリーナで行われたNTTドコモレッドハリケーンズ戦では、セットプレーも安定し、49-19と快勝した。白熱の好勝負となったのが、25日、大阪の万博記念競技場で開催されたクボタスピアーズとNTTコミュニケーションズシャイニングアークスで、後半38分、クボタに今季加入したオーストラリア代表SOバーナード・フォーリーのトライ、ゴールで28-27とスコアがひっくり返る激闘だった。同日、京都の西京極で行われたリコーブラックラムズ対ヤマハ発動機ジュビロは、前半18分、LOヘル ウヴェのトライで先制したヤマハがSOサム・グリーンを軸に攻め、守ってもリコーをノートライに抑えて、38-0と快勝した。
第3節の8試合(2試合開催の試合は2試合目を加算)の観客数は、66,926人。1、2節よりも減少したが、日本代表の人気選手が所属するチームの試合は注目度が高く、多くの観客を集めている。この傾向は、今後も続きそうだ。3節を終え、首位に立つのはパナソニックで、3試合連続で3トライ以上の差をつけての勝利で満点の勝ち点「15」を獲得。2位神戸製鋼(3勝、勝ち点13)3位東芝(3勝、勝ち点13)が続いている(2位と3位は得失点差)。このトップ3を、2勝1敗で勝ち点10の宗像サニックスが追う展開だ。優勝候補の一角であるサントリー、トヨタ自動車は序盤に強豪との戦いが続いており、今後勝ち点を伸ばす力は間違いなくある。
第3節は、個人記録もいくつか達成された。三菱重工相模原ダイナボアーズの安江祥光が、25日のパナソニック ワイルドナイツ戦でトップリーグ76人目となるリーグ戦100試合出場を達成。2007年に日本IBMビッグブルーの一員としてトップリーグデビュー。神戸製鋼、三菱重工相模原と3つのチームでの記録だ。日野レッドドルフィンズの浅原拓真も77人目のリーグ戦100試合出場を達成。2010年に東芝でデビューし、今季より日野に移籍しての達成だ。また、宗像サニックスのSH藤井達哉が、NTTドコモ戦でトップリーグ最年少トライ記録を作った。藤井は日本代表の藤井雄一郎強化委員長の次男で、19歳10カ月10日でのトライ。これまでの記録は、ベン・ガンター(パナソニック)の19歳11カ月20日だった。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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