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ジャパンラグビー トップリーグ2020が、1月12日、全国各地で開幕する。2019年はラグビーワールドカップ(RWC)イヤーということもあって、トップリーグはカップ戦を1月に行って以降は休止。日本代表選手たちをRWCに集中させた。その甲斐もあっての快進撃。日本列島にラグビーブームが巻き起こった。「ニワカ」と呼ばれるファンの皆さんも含め、「あの感動を再び」と、スタジアムに向かう人の受け皿になるのは、日本最高峰の実力を誇るトップリーグだ。RWCの日本代表メンバー31名のうち、29名が各チームに散らばって戦う上に、ニュージーランド、南アフリカなど強豪国の代表選手も参戦して、さらにレベルを押し上げている。楽しみは尽きない。
シーズン前からトップリーグ各チームの練習試合には、日本代表選手を一目見ようとファンの皆さんが押し寄せ、練習グラウンドに3,000人を超える観客が詰めかけることもあった。開幕節もチケットの売れ行きが良く、各会場は大勢の観客で埋まりそう。RWCでファンになった人たちを楽しませることができるかどうか。運営側の工夫も見どころだ。今季のトップリーグは、参加16チームが総当たり戦(全120試合)を行い、勝ち点制で優勝を争うシンプルなスタイル。最終節は5月9日だ。
優勝候補の筆頭は、連覇を狙う神戸製鋼コベルコスティーラーズ。昨季加入した世界最高のSOダン・カーターも開幕戦から先発予定。同じく世界最高のLOと言われるオールブラックスのブロディ・レタリックが加入。昨季までのメンバーであるFB山中亮平、PR中島イリレリも日本代表でさらに自信をつけた。日本代表CTBラファエレ・ティモシーもコカ・コーラから移籍し、選手層をさらに分厚くしている。FWが細やかなパスをつないで、スピードあるBKを走らせるスタイルに磨きがかかりそうだ。
昨季2位のサントリーサンゴリアスも優勝候補。日本代表のSH流大、CTB中村亮土、FB松島幸太朗らに加え、オーストラリア代表随一の突破力を誇るCTBサム・ケレビが加わった。従来以上のスピーディーなアタッキングラグビーを見せるだろう。昨季は6位と振るわなかったパナソニック ワイルドナイツも、PR稲垣啓太、HO堀江翔太、坂手淳史ら6名の日本代表を含み、オールブラックスの主軸だったLOサム・ホワイトロック、南アフリカ代表CTBダミアン・デアリエンディもやって来た。アンストラクチャー(組織化されていない局面)からのアタックは脅威。姫野和樹がキャプテンを務めるトヨタ自動車ヴェルブリッツはフィジカル・ラグビーが伝統。屈強な選手がガツガツと突進する。オールブラックスのキャプテンを務めたNO8キアラン・リードがどんなプレーを見せてくれるのか。
リーチ マイケル日本代表キャプテンが所属する東芝ブレイブルーパス、昨季3位のヤマハ発動機ジュビロも実力がある。この他にも注目チームは数多いが、強いて挙げるなら、日本代表SH田中史朗、SO田村優のハーフ団がいるキヤノンイーグルス、オールブラックスのCTBライアン・クロッティが加入したクボタスピアーズ、日本代表NO8アマナキ・レレイ・マフィのいるNTTコミュニケーションズシャイニングアークスあたり。クボタには日本代表FLピーター・ラブスカニもおり、南アフリカ代表の世界一メンバーNO8ドウェイン・フェルミューレンもいる。優勝争いに割って入る実力はある。
開幕節では、東芝対サントリー、パナソニック対クボタ、神戸製鋼対キヤノン、ヤマハ発動機対トヨタ自動車など、日本代表対決が楽しみな好カードが並ぶ。観客の皆さん必見の注目選手を3人だけあげるなら、神戸製鋼のLOブロディ・レタリック(204㎝、121㎏、28歳、NZ代表81キャップ)、パナソニックのCTBダミアン・デアリエンディ(190㎝、105㎏、28歳、南アフリカ代表キャップ47)、トヨタ自動車のNO8キアラン・リード(193㎝、110㎏、34歳、NZ代表127キャップ)。わかりやすくボールをもって前に出て、ディフェンスでも機能し、観客席を沸かせるだろう。
新戦力も魅力的なルーキーが多いが、2名あげるなら、神戸製鋼WTBアタアタ・モエアキオラ(185㎝、108㎏、東海大卒)、パナソニックWTB竹山晃暉(175㎝、84㎏、帝京大卒)、いずれもトライを奪う決定力がある。竹山は開幕戦から先発。トップリーグデビュー戦でいきなりトライを奪えるか。
下位グループも、日本代表のPR具智元、WTBレメキ ロマノ ラヴァのいるHondaHEAT、FLヴィンピー・ファンデルヴァルトが所属するNTTドコモレッドハリケーンズ、LOジェームズ・ムーアのいる宗像サニックスブルースも攻撃的なラグビースタイルだ。どのチームも長い準備期間を経て開幕を迎えている。選手だけではなく、世界のトップコーチが各チームで指導にあたっており、完成度の高いプレーを見せてくれるだろう。
開幕戦のメンバー表を眺めるだけで、夢見心地のファンは多いだろう。神戸製鋼とキヤノンの試合では、ダン・カーターと田村優のSO対決が実現する。この他、日本代表と世界のスーパースターの競演がほとんどのカードで見ることができる。見逃す手はない。約5か月間、史上最高レベルのトップリーグを堪能しようではないか。
キヤノン イーグルス 田村優
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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