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ラグビー コラム 2019年12月13日

帝京大は巻き返しの第一歩となるか? ベスト8を狙う注目の4試合

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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押川敦治

帝京大学 SO押川敦治

第56回全国大学ラグビー選手権大会は、12月15日(日)、東大阪市花園ラグビー場と、県営熊谷ラグビー場にて3回戦の4試合が行われる。勝てばベスト8に進出。待ち受ける明治大、東海大、早稲田大、天理大への挑戦権を得る。

どの試合も見どころがあり、僅差勝負になる可能性がある。花園ラグビー場で行われる第一試合(12:00キックオフ)は、関西大学Aリーグ3位の関西学大と1回戦から勝ち上がってきた朝日大学の対戦だ。朝日大は東海学生リーグで7戦全勝優勝。東海・北陸・中国・四国代表決定戦では環太平洋大学に55-5で破って8大会連続8回目の選手権出場を決めると、1回戦(11月24日)で八戸学院大学を86-21、2回戦(12月8日)で九州共立大を49-19で破り、快進撃を続けている。

2回戦で先制トライをあげたFB永野拓也、WTBフィティスア・ティモら決定力あるBKにパワフルなFWを持ち、関西リーグ3位にどこまで戦えるのか注目だ。対する関西学大も5年ぶりの大学選手権だ。今季はPR原口浩明キャプテンが先頭に立ってスクラムを組み込み、フィジカル面も強化。その強みを起点にスピーディーな攻撃を仕掛けることもできる。SO房本泰治は正確な戦略的キックを操る。テンポの速さでは関西学大、決定力では朝日大か。勝ったチームは王者・明治大との準々決勝に臨む。

花園での第二試合(14:00キックオフ)は、関西2位の同志社大が関東大学対抗戦4位の筑波大を迎え撃つ。同大は関西リーグで5勝2敗。スクラム、モールを磨き、SO古城隼人を中心にしたBKはスピーディー。キャプテンのWTB山本雄貴、FB原田健司らのバックスリーは決定力がある。対する筑波大は、対抗戦の第2節(9月8日)で粘り強いディフェンスを見せ慶大に勝利。帝京大にも22-24と接戦を繰り広げるなど、どんなチームとも好勝負ができるようになっている。FB松永寛汰はチャンスメーカー。勝敗が読めない戦い。勝てば東海大との準々決勝だ。

ヴィリアメ・タカヤワ

流通経済大学 CTBヴィリアメ・タカヤワ

熊谷ラグビー場の第一試合(12:00キックオフ)は、対抗戦3位の帝京大と関東大学リーグ戦1部3位の流通経済大が戦う。帝京大は昨シーズンの選手権準決勝で天理大に敗れ、連覇は「9」で途絶えた。巻き返しを期すシーズンだが主力に負傷者が多く、CTB本郷泰司キャプテンをシーズン途中にFLにポジションチェンジするなど苦労のチーム作りが続いている。対抗戦では早慶明に敗れ、4勝3敗。それでもPR細木康太郎、SO押川敦治、WTB木村朋也ら逸材が揃い、選手権に入って巻き返す力はある。流通経済大は関東リーグを制した東海大、日本大に敗れて3位。NO8穂積佑が体を張って先頭に立ち、183cm、100kgのCTBヴィリアメ・タカヤワら留学生のパワーもある。流経大柏高校の花園ベスト4に貢献したルーキーのCTB土居大吾にも注目したい。この勝者は、天理大と対戦する。

熊谷での第二試合は、リーグ戦1部2位の日本大と、関西4位の京都産業大の対戦だ。古豪の日大は、一時は2部落ちも、2016年に1部に復帰し、部員の意識改革からはじめて力をつけてきた。4年生には高校日本代表などの実績を持つ選手は不在だが、PR坂本駿介キャプテンを中心に結束力で勝負する。強力FWを前面に押し出し、同じくFWを軸にチームを作る京産大に挑む。京産大は大西健監督のラストシーズン。関西リーグでは優位に立つモール、スクラムを得点に結びつけられずに4位に甘んじた。しかし、選手たちは1973年からチームを率いてきた大西監督を胴上げしたいという強い気持ちを持つ。LO伊藤鐘平キャプテンが軸のモールは強力だ。日大陣で長く戦い、セットプレーを多くしたい。両チームは、日大が1部に復帰した頃、京産大の大西健監督が練習試合の快く引き受け、胸を貸してくれたという縁がある。日大としては成長した姿を見せたいところ。FW真っ向勝負の清々しい戦いが繰り広げられそうだ。勝てば、早大との準々決勝となる。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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