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早稲田大学 SH齋藤直人
11月23日はラグビーの早慶戦の日である。1922年から続く伝統の定期戦だ。11月20日、関東ラグビーフットボール協会から早慶戦のチケットが「残りわずか、当日券なし」のアナウンスがあった。12月1日の早明戦はすでにチケット完売。ラグビー界の不動の人気カード「早慶戦」、「早明戦」は今年も健在だ。
しかし、今季は戦績に差がある。早大はここまで5戦全勝。11月10日には、関東大学対抗戦で9年ぶりに帝京大を破った。キャプテンのSH齋藤直人の終了間際の逆転トライという劇的勝利だった。チームスローガン「For One」は、何事にも勝つこと、一番になる、そのために一人一人が考えるという意味が込められている。相手に走り勝てるフィットネスを身に着け、ディフェンスを強化し、才能あるBKを生かすFWが逞しくなっている。SO岸岡智樹という大学屈指のプレーメイカーもおり、11シーズンぶりの大学日本一に向けて着実に歩みを進めていると言えるだろう。
一方、慶大は9月8日、筑波大に14-17と敗れ、11月4日、日体大に27-30、11月10日には3-40で明大に完敗。ここまで2勝3敗。早大と帝京大戦を残して、大学選手権出場に黄信号がともっている。創部120周年となる今年、慶應義塾は「ユニティー」というスローガンを掲げ、結束力や主体性を重視してチーム強化にあたってきた。今季就任した栗原徹ヘッドコーチは選手自身が考えながらゲームを運ぶスタイルを落とし込む。まだ結果は出ないが、好敵手との定期戦で覚醒できるのか。
慶応義塾大学 NO8アイザイア・マプスア
スクラム、ラインアウトなどセットプレーの優劣はどうか。ここで互角に戦うことができなければ慶大には苦しい戦いになる。早大自慢のBKラインは、昨季、1年生から活躍した長田智希、河瀬諒介らスピードある選手が揃う。昨年の定期戦では早大が勝ったが、21-14という接戦を繰り広げた。SO岸岡智樹のロングドロップゴール成功を覚えていらっしゃるか方も多いだろう。今季の慶大にも接戦に持ち込む力はあるはずだ。齋藤、岸岡のHB団をはじめ、早大BKにプレッシャーをかけ続けるためにはボール争奪戦でのアグレッシブな仕掛けが不可欠だ。ニュージーランドからの留学、NO8アイザイア・マプスア、CTBイサコ・エノサがどんなプレーを見せるのかも楽しみだ。
今年の5月26日に長野Uスタジアムで戦ったときは、36-12で早大が勝っている。NO8丸尾崇真の60mを独走する先制トライで早大が波に乗った。この試合では齋藤直人が体調不良で欠場。今回は齋藤もおり、早大が有利に見えるが、事前の下馬評とは関係なく、互いに闘志をむき出しに戦うのが早慶戦だ。2013年に早大が69-7で大勝したことがあるが、以降の5年間は、7点差以上の試合は一度もない。満員の観客が一瞬たりとも気の抜けない戦いを期待したい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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