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日本・アジアラグビー史上、前人未踏の戦いが始まる。
第9回ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で、史上初の決勝トーナメント進出を果たした日本代表“ブレイブ・ブロッサムズ”が、準々決勝で南アフリカ代表“スプリングボクス”と激突する。
舞台は10月20日(日)の東京スタジアム。19時15分にキックオフの鉄笛が鳴る。
日本にとって南アフリカは、2015年大会の初戦で34-32の大金星を挙げた相手。しかし9月6日のW杯壮行試合では7-41で敗れ、通算対戦成績は1勝1敗の五分。
因縁めく相手と、W杯の準々決勝で顔を合わせることになった。
南アフリカは「ラグビーは宗教」といわれるほど楕円球文化が根付く。1889年に始まった国内大会「カリーカップ」は、世界最古の地域代表選手権だ。少年は誰もがスプリングボクスに憧れるという。
ラグビー熱狂国のプライドに懸けて、20日は比類のない覚悟で日本に向かってくるはずだ。
2018年3月に就任し、前指揮官時代の勝率44%(11勝12敗2分)からスプリングボクスを立て直したヨハン・エラスマスHC(ヘッドコーチ)は、日本戦の出場メンバー発表のさいに「イタリア戦と同じメンバーです」とだけ答えた。
一般的にメンバー発表は試合2日前だが、エラスマスHCは「選手が落ち着ける」という理由で3日前発表を採用。独自の采配センスの一端を見せた。
スプリングボクス史上初の黒人主将、シヤ・コリシは6番を背負い、ハーフ団は好判断とキックスキルが光るSH(スクラムハーフ)のファフ・デクラークと、ドロップゴールも得意な大型SO(スタンドオフ)のハンドレ・ポラードが担う。
開幕戦でニュージーランドの防御網を単独で切り裂いたWTB(ウイング)チェスリン・コルビは、足の怪我から先発復帰する。
世界最強HO(フッカー)の呼び声高いマルコム・マークスは、リザーブスタート。隠された意図を感じる配置だが、先発するボンギ・ンボナンビも運動性能の高いアスリートだ。
8人いるリザーブは、フォワード(FW)6人とバックス(BK)2人という構成に。
FWのリザーブ人数が多くなった理由として、エラスマスHCは、FWのフィジカルで圧倒したい意図を認めつつ、「日本の戦い方を見ると、彼らは前半終盤、後半終盤に疲れが見える相手の守備的なフォワードに付け込んでくる」として、日本の戦い方を封じたい考えを示した。
今大会の南アフリカはプール戦で最多185得点、最多27トライを記録。世界最高レベルの攻撃力を誇っている。日本はゲインラインで徹底的に戦いたい。
南アフリカは前戦のカナダ戦を控え中心で戦っており、SHデクラークなど一部の主力は約2週間の準備期間で臨む。
一方で、プール戦4試合で主力をフル回転させてきた日本は、中6日で決戦を迎えることに。日程面では南アフリカが有利だろう。
しかも明日の東京・調布市の予報は気温22度程度で、夕方以降の湿度も低い。高温多湿だったアイルランド戦ほどには、気象条件は日本の味方にならないはずだ。この条件で南アフリカが負ければ、もはや一切の言い訳は許されない。
日本・アジアラグビーの新時代を拓いた歴代最強の日本は、満員御礼となるであろうホームで南アフリカを迎え撃つ。
日本のジェイミー・ジョセフHCは、指揮官として初めてのW杯でいまだ無敗。ニュージーランド代表の元バックロー(FW第3列)は、母国のライバルである南アフリカをよく知っている。
「ひとつ明らかなのは南アが何をしてくるか。それはセレクションを見れば分かる。控えに6人のフォワードを入れている。珍しいことではないが、フィジカルでダイレクトなアプローチで押しかけてくる。相手にボールを渡してフォワードのディフェンスで相手をつぶして勝機を見てくる」
「我々はそれに対してしっかり準備をしてきた。明確でないのは、我々が相手に何をするのか。それが楽しみ」
日本は先週のスコットランド戦から先発1人を変更。脳しんとうによりセレクションから外れたウィリアム・トゥポウに替わり、山中亮平がFB(フルバック)に入った。
山中は特別な想いで決戦に臨む。10月20日は3年前に53歳で亡くなった「ミスターラグビー」こと平尾誠二さんの命日。山中は育毛剤が原因のドーピング違反で2年間の出場停止処分を受けた時、所属する神戸製鋼のGM兼総監督だった平尾さんに支えられたという。
「平尾さんの命日ということで、僕にとってもすごい日に試合がある。平尾さんがいなければ今の僕もいないと思っているので、感謝の気持ちでいっぱい」(FB山中)
ゲーム主将は、チームリーダーであるFLリーチ マイケルが務める。
3番を付けるのは、スコットランド戦の前半に負傷交代したPR(プロップ)具智元だ。
FL(フランカー)ピーター・ラブスカフニ、WTB松島幸太朗、そしてリザーブのヴィンピー・ファンデルヴァルトは出生国との記念すべき対戦になる。
リザーブには、4年前の南アフリカ戦で決勝トライのラストパスを放ったアマナキ・レレイ・マフィが入り、20番をつけて今大会のアイルランド戦以来の出場を目指す。
「プロになった2014年に初めての背番号が20番。代表になって初めてのマオリオールブラックスも20番。(前回W杯の)南アフリカ戦も20番。もともとその番号が好き」
「あさって(20日)は久しぶりの試合だが、絶対勝つように日本のために今までやったことがないようなパフォーマンスをみんなの前で見せたい」(アマナキ)
ここで負ければ代表引退の覚悟で臨む者たちもいる。まずは常識をはるかに超えたハード-ワークを続けている、日本ラグビーのレジェントだ。
「もし負けたら多分最後の試合。だから勝ちたい。それだけ考えている」(LOトンプソンルーク)
スコットランド戦で2トライを挙げるなど獅子奮迅だったWTB福岡堅樹も、15人制代表は最後と公言している。「きつい合宿を何度も何度も乗り越えて、ワンチームをつくり上げることができた。お互いに信頼し合って戦えるチームになれた。2015年に結果を出しながらも(8強へ)上がれなかった経験も、躍進の要因として間違いない。地元の日本の声援も確実に力になっている」(WTB福岡)
FLリーチ主将は勝利への断固たる意志を示している。
日本開催のW杯で、南アフリカ戦の勝利をライブで届ける。
「4年前の試合で世界が日本に注目して、みんな驚いて、日本のファンの印象にも残っている。今回は生で見せられるチャンス」
奇跡に見える必然を何度も起こしてきた史上最強のブレイブ・ブロッサムズ。いざ、南アフリカ撃破へ。20日は日本を応援する全ての人がワンチームとなり、声を枯らすだろう。
【日本代表】試合登録メンバー23人
■先発15人
1. 稲垣啓太
2. 堀江翔太
3. 具智元
4. トンプソンルーク
5. ジェームス・ムーア
6. リーチマイケル(主将)
7. ピーター・ラブスカフニ
8. 姫野和樹
9. 流大
10. 田村優
11. 福岡堅樹
12. 中村亮土
13. ラフェエレティモシー
14. 松島幸太朗
15. 山中亮平
■リザーブ8人
16. 坂手淳史
17. 中島イシレリ
18. ヴァルアサエリ愛
19. ヴィンピー・ファンデルヴァルト
20. アマナキ・レレイ・マフィ
21. 田中史朗
22. 松田力也
23. レメキロマノラヴァ
【南アフリカ】試合登録メンバー23人
■先発15人
1. テンダイ・ムタワリラ
2. ムボンゲニ・ムボナンビ
3. フランス・マルヘルベ
4. エベン・エツベス
5. ルード・デヤハー
6. シヤ・コリシ(主将)
7. ピーターステフ・デュトイ
8. ドゥエイン・フェルミューレン
9. ファフ・デクラーク
10. ハンドレ・ポラード
11. マカゾレ・マピンピ
12. ダミアン・デアレンデ
13. ルカニョ・アム
14. チェスリン・コルビ
15. ウィリー・ルルー
■リザーブ8人
16. マルコム・マークス
17. スティーブン・キツホフ
18. ビンセント・コッホ
19. RG・スナイマン
20. フランコ・モスタート
21. フランソワ・ロー
22. ハーシェル・ヤンチース
23. フランス・ステイン
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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