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ラグビー コラム 2019年10月10日

フィジーの先制トライに大観衆熱狂 苦境乗り越え、ウェールズ3連勝で8強へ ラグビーワールドカップ2019 ウェールズ vs. フィジー

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ウェールズ vs. フィジー

10月9日、午後6時40分、33,379人の観衆で埋まった大分スポーツ公園総合競技場にウェールズ国歌の大合唱が響き渡った。キャプテンのアラン=ウィン・ジョーンズの目が潤む。続くフィジー国歌では選手たちの決意がみなぎっていた。そして、フィジーのウォークライ「シンビ」の雄叫び。両者の表情がこの試合への重要性を物語っていた。


ジンビ|フィジー代表、大分でのウォークライ|ラグビーワールドカップ2019

午後6時47分、試合はフィジーのキックオフで始まった。序盤はフィジーの攻撃力が観客を魅了する。ウェールズのキックをキャッチして逆襲すると、タックルされながらオフロードパスでディフェンスを破り、前半3分、ウェールズゴールライン手前5mの右中間スクラムを得る。ここからの攻撃はシンプルだった。右ショートサイドにいたWTBチョスア・トゥイソヴァにパスをし、個人技で勝負。トゥイソヴァは、ウェールズWTBジョシュ・アダムスを弾き飛ばし、SOダン・ビガーのタックルをすり抜け、FLジョシュ・ナヴィディのタックルを受けながら右コーナーにボールを押さえる。観客の度肝を抜くパワフルなトライで、5-0とした。

7分、ウェールズのHOケン・オーウェンスが危険なタックルでシンビン(10分間の一時退場)となり、さらにフィジーが勢いづく。8分、ラインアウトからの連続攻撃でFBキニ・ムリムリヴァルが右コーナーにトライし、10-0。2トライともSOベン・ヴォラヴォラのゴールが不成功だったのはフィジーにとって痛かった。さらに攻めたいフィジーだったが、ラインアウトのボールをミスで確保できず、16分には、LOテヴィタ・ザヴンバティがラックへのショルダーチャージでシンビンとなる。規律の問題が、フィジーの勢いを止めてしまった。

対するウェールズは、9月29日、オーストラリアとの死闘を29-25で制し、プールD1位での準々決勝進出に大きく前進した。優勝候補の実力を証明したわけだが、フィジーは少しでもスキを見せればトライを獲ってくる怖い相手だ。スクラムなどFW戦で圧力をかけ、フィジーを窮屈な状況に追い込みたい。オーストラリア戦で25タックルを決めたLOアラン・ウィン・ジョーンズ(198cm、121kg、34歳)がキャプテンとして攻守にチームを引っ張り、ボール争奪戦でも活躍するだろう。


17分、ウェールズは、フィジー陣22mライン付近のラインアウトから連続攻撃。SOダン・ビガーのキックパスをWTBジョシュ・アダムズがキャッチしてトライ。ビガーがゴールを決めて、10-7とする。20分過ぎからはウェールズがフィジーゴールに迫り、一人少ないフィジーに対してスクラムでもプレッシャーをかける。フィジーの強烈なタックルに時間はかかったが、30分、アダムズが左コーナーにトライし、ビガーが難しいゴールも決めて、10-14と逆転した。一連の攻防の中でフィジーFLセミ・クナタニがチームとしての反則の連続でシンビンとなり、再びフィジーは14人となる。加えて、経験豊富なCTBレヴァニ・ボティアが負傷退場となり、さらに苦しい戦いとなった。

後半に入ると、再びフィジーが攻勢に出て、WTBセミ・ランドランドラが爆発的な突進力を披露したが、ウェールズの強固なディフェンスの前にスコア出来ず。しかし、11分、ウェールズのFLジェームズ・デーヴィスがシンビンになると、フィジーがラインアウトのモールを押し込み、ペナルティートライを勝ち取って、17-14と逆転する。世界ランキング2位のウェールズに対するフィジーの奮闘にスタジアムは大いに沸き返ったが、フィジーの得点はここまでだった。


ウェールズは、SOビガーが味方との接触による脳震とうで退場するアクシデントがあったものの、後半17分、交代出場のSOリース・パッチェルが同点PGを決め、20分にはWTBアダムズが勝ち越しのトライをあげる。ベテランのCTBジョナサン・デーヴィスの突破からオフロードパスが決まってのトライだった。その後のフィジーには疲れが見え、ウェールズが1トライを追加して、29-17と勝利した。


ウェールズのウォーレン・ガットランドヘッドコーチは安どの表情を浮かべた。「0-10で追う展開になり、ひっくり返して、さらにボーナスポイントを取らなければならなかった。非常に厳しい状況だった。フィジーは個々の力が素晴らしい。タフでフィジカルな試合だった」。


これで大会を去ることになったフィジーのジョン・マッキーヘッドコーチは、「今夜の健闘は素晴らしかった。6カ国対抗の王者で、世界ランキング1位にもなったことがあるチームを追い詰めた。勝利には至らなかったが、実に勇敢な戦いだった」と選手を称えた。キャプテンのドミニコ・ワンガニンブロトゥはこう続けた。「このチームとともに、ここにいられることに感謝する。心を込めて80分間プレーをした」。多くのラグビーファンから愛されるフィジー。本来の力を出し切ったとは言えないが、最後に観客を魅了するトライを披露してRWC2019を終えた。


文:村上 晃一

【ハイライト】ウェールズ vs. フィジー ラグビーワールドカップ2019 プールD

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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