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ラグビー ニュース 2019年9月28日

ラグビー日本代表、海を渡ってきたサムライたちが挑むワールドカップ2019

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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日本、いやアジアで初めてのラグビーワールドカップを戦っているラグビー日本代表。

自身もニュージューランド出身で、15歳で来日し2013年に日本国籍を取得したキャプテンFLリーチ マイケルは大会前「日本の強さを証明したい」。

また、「このチームにはいろんな国の人がいるので、ダイバーシティ(多様性)があるところも見せたい」と意気込んでいたように日本代表に選ばれた31名中、約半数の15名が外国出身選手だ。

基本的にラグビーでは代表チームを編成する歳、パスポート主義(=国籍主義)であるオリンピックと違い、所属協会主義を採用している。

簡単に言えば「日本代表は日本協会所属のチームで、日本でラグビーをしている選手たちの代表」ということになるわけだ。

そのためラグビーでは 1 その国(地域)に継続して3年居住する
2 当該国で生まれる
3 祖父母または両親のいずれかが当該国出身者
4 累積で10年間、その国(地域)に居住する
という条件のいずれかを満たせば、その国(地域)代表選手になることができる。

ただ、一度でも日本代表としてプレーすれば、基本的には他の国の代表としてプレーできない(※1度だけ変更可能だが、細かい基準を満たすのは難しい)。

また、近年では(1)の「3年居住は短いのでは?」という議論も交わされ、2020年12月末から(1)の条件は「5年居住」となる。

※1度だけ代表の所属チームを変えることが可能。その国(地域)の国籍があり、セブンズの五輪予選などに出で、条件をクリアする必要がある。

その条件をクリアして、代表チームを変えて今大会に出場しているのはサモア代表のFBティム・ナナイ ウィリアムズ、トンガ代表WTBクーパ・ブーナなど少数。

写真:さざれ石の前に立つリーチ

国籍を変えずとも日本代表になれるにも関わらず、キャプテンのリーチを筆頭に、PR(プロップ)ヴァル アサエリ愛(パナソニック)、中島 イシレリ(神戸製鋼)、LO(ロック)ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)などは高校・大学から日本に住んでおり、海外生まれの日本代表15人中、8人が日本国籍を取得している。

リーチ マイケルのように名字と名前の間に半角スペースが空いている選手は日本国籍を取得しているというわけだ。

また、韓国出身のPR具 智元(Honda)やトンガ出身のWTB(ウィング)アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼)も、日本国籍こそ取得していないものの、中学から日本に住んでラグビーをしている「日本育ち」、「ホームグロウン」の選手だ。

また、日本代表に選ばれた選手の多くが、学生時代から来日しており、15人のなかで日本の教育機関を卒業している選手は9人いる。

リーチは、ワールドカップ期間中の10月7日に31歳になる。15歳で札幌山の手高に留学したときは体重が70キロ代と細く、たまたま赤白のシャツを着ていて「〇〇を探せ」の主人公に似ていたため、「ウォーリー」と呼ばれたほどだった。

だが、今では東海大学、東芝、さらにチーフス、日本代表で努力を重ねて110kgの強靱な身体を持つようになった。

東海大の同級生の知美さんと結婚し、2013年には日本国籍を取得したリーチは、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)に「日本人のようなところがある」と言われるほどで、今年がちょうどニュージーランドで15年、日本で15年とその分岐点にあたる。

現在、外国出身者が15人と増えたチームに対して、日本の文化もよく知るリーチは、外国人選手たちに「君が代」を教えたり、宮崎合宿ではその歌詞に出てくる「さざれ石」を見学に行ったり日本文化を深く知る行動をしている。

また、7月末のパシフィックネーションズ・カップのフィジー代表戦の前には、シナリ・ラトゥ(現・ラトゥ ウィリアム志南利)ら外国出身で日本代表としてプレーした選手たちを知ってもらうスピーチも行った。

「ラトゥさんがいなかったら、今の僕はいない。また現在の日本代表はダイバーシティーがあり、いろいろな国の人がいますが、もっと日本を知ってもらわないといけない」

「日本は1000年以上の歴史を持っている。たくさん、いい感じの文化も持っている。知ることでより日本が好きになるし、もっと頑張らないといけないと思うようになる」(リーチ)。

写真:会見に出席するピーター・ラブスカフニ<

ワールドカップの第2戦では、リーチはベンチで6月に日本代表資格を取得した「ラピース」こと、FLピーター・ラブスカフニがゲームキャプテンを務める。

ラピースは、LOジェームス・ムーアとともに、合宿中にアルファベットで「君が代」を覚えたという。

「国歌の背景を知れて非常によかった。今まで感じてきたことが、つながった。日本で築いた友情、気持ち、すべてを感情移入して国歌を歌っています」(ラピース)。

リーチにしろ、ラピースにしろ、母国から遠く離れて日本でラグビーに打ち込み、日本や日本文化を愛し、日本代表のジャージーや桜のエンブレムに誇りを持っている。

そして日本ラグビーを代表する気持ちを人一倍、強く持ち、ワールドカップを戦っている。そんな彼らを心から応援してほしい。

文/写真:斉藤健仁

【ハイライト】日本vs.ロシア

(c) Rugby World Cup Limited 2019

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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