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ラグビーワールドカップ 最強の戦士たち -プールD- 世界ランキングTOP10以内が3カ国 各チームの軸となるのは? ラグビーワールドカップ2019
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一ラグビーワールドカップ(RWC)日本大会の開幕まで、あと一週間となった。参加各国が次々に来日し、キャンプ地での調整に入っている。ファンとの交流の様子も報道され、選手たちのフレンドリーな対応が地元の皆さんを喜ばせている。各プールの注目選手を紹介してきたが、最後にプールDの注目選手を見ていきたい。こちらは優勝2回を誇るオーストラリア、初優勝を狙うウェールズ、近年めきめきと実力をつけるジョージア、フィジー、そして、南米の強豪ウルグアイがいる。
オーストラリア代表は「ワラビーズ」の愛称で親しまれる。世界的なスター選手も多いが、キャプテンのFLマイケル・フーパー(182cm、101kg、27歳)は、2012年の代表デビュー以来、トップレベルのオープンサイドFLとして世界中のプレーヤーから憧れられる存在だ。小柄だが体幹が強く、少々のタックルでは倒れずに前進。攻守に動き回り、体を張ってチームの先頭に立つ。SHウィル・ゲニア(174cm、82kg、31歳)はパプアニューギニア出身で12歳のときにオーストラリアに渡り、高校代表から着実に実績を積み上げ、2009年に代表デビュー。俊敏な動きでディフェンスを翻弄し、スピーディーなパスワークで味方を走らせる。今大会終了後は、日本の近鉄ライナーズ入りが決まっており、大阪でも人気者になりそうだ。そして、オーストラリアの攻撃の軸となるのが、CTBサム・ケレヴィ(186cm、105kg、25歳)。今年のスーパーラグビーではレッズの一員として15試合に出場し、リーグ1位の220キャリー(ボールを持っての突進)を記録。ワラビーズでもボールを持てば確実に前進するケレヴィの走りは観客を驚かせるだろう。
ウェールズはキャプテンのアラン=ウィン・ジョーンズ(196cm、118kg、34歳)がチームの絶大な信頼を得ている。2006年からウェールズ代表で活躍しているが、闘志あふれるプレーは少しも衰えず、むしろ円熟味を増した。初優勝を目指しピッチ上でチームを操るのは、SOダン・ビガー(188cm、94kg、29歳)。昨年から先発で出場することが多かったガレス・アンスコムが怪我で今大会に出場できなくなり、経験豊富なビガーに大きな期待がかかっている。キックでゲームをコントロールすることに長け、決定力のあるWTBジョージ・ノース(192cm、110kg、27歳)らを走らせる。ビガーのプレースキック時のルーティンは有名で、体中をせわしなくさわるのだが、最近はしなくなった。独特のルーティンが出るかどうかも注目したい。
強力なスクラムで上位チームを苦しめるジョージアは前大会でトンガを破り、初めてプール3位に入ってヨーロッパ予選を免除された。4大会目となるLOマムカ・ゴルゴゼ(195cm、118kg、35歳)は、前大会のキャプテンで、いったん代表を引退していたが今大会の属全に復帰を果たした。精神的支柱の復帰はジョージアにとって心強い。フィジーは7月のパシフィック・ネーションズカップで日本代表に敗れたが、その時来日していなかったWTBセミ・ランドランドラ(188cm、100kg、27歳)が最も優れたランナーだ。オーストラリアの13人制ラグビーのプロでプレーした後、2017年からフランスのクラブで15人制に復帰し、RWCは今回がデビュー。フィジーが波乱を起こすとき、ランドランドラの華麗で力強いランが見られることだろう。
ウルグアイがプールDで勝利を上げるのは至難の業だ。しかし、最後まであきらめずに戦う姿は観客の胸を打つだろう。1999年大会に40歳で出場したディエゴ・オルマエチェアの息子2人が今回のメンバーに入っている。NO8ファン・ディエゴ・オルマエチェア(182cm、104kg、30歳)、SHアグスティン・オルマエチェア(173cm、84kg、28歳)。両選手ともチームの軸で覚えておきたい選手である。プールDは、ジャイアントキラーのフィジーがいるので波乱が起こる可能性がある。オーストラリア、ウェールズの首位争いも注目だが、この両国に対するフィジーの挑戦は面白い。見逃せない戦いだ。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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