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イングランド代表 キャプテン オーウェン・ファレル
ラグビーワールドカップ(RWC)日本大会の開幕まで、あと10日となった。いよいよカウントダウンである。参加各国の最終登録メンバーも出揃った。前回の本コラムではBプール注目選手に触れた。そこから少し時間が空いてしまったが、今回は、イングランド、フランス、アルゼンチン、アメリカ、トンガという実力者が揃い「死の組」とも呼ばれるプールCの注目選手を見ていきたい。
2003年大会以来の優勝を狙うイングランドで真っ先にあげたいのは、キャプテンのオーウェン・ファレル(188cm、92kg、27歳)だ。ゲーム運びを司るSOでありながら、闘争心あふれるプレーでチームを引っ張る。昨年11月の日本代表戦ではリードを奪われるチームに業を煮やしたかのように、後半登場して激しいタックルで雄叫びを上げ、チームを鼓舞した。ファレルと言えば、ラグビーユニオン(15人制)、ラグビーリーグ(13人制)の両コードでイングランド代表としてプレーした父・アンディー・ファレルのことがよく語られる。オーウェン・ファレルも14歳まではリーグでプレーした。力強いタックルはリーグの選手ならではのものだ。まだ27歳だが代表キャップは70を数える。正確なプレースキッカーでもあり、イングランドが快進撃を続けるとき、その中心にはファレルがいるだろう。
イングランドは世界屈指のタレント軍団だが、新時代のLOマロ・イトジェ(195cm、115kg、24歳)、抜群のスピードを誇るWTBジョニー・メイ(188cm、90kg、29歳)、新鋭FLサム・アンダーヒル(186cm、103kg、23歳)は要チェックだ。
フランスは今回、評価が低い。しかし、きらめく才能はいる。ベテランでは79キャップを誇るNO8ルイ・ピカモール(193cm、118kg、33歳)、2011年以来のRWCとなるFBマクシム・メダール(180cm、85kg、32歳)。若い選手では、ゲームを操るSHアントワーヌ・デュポン(175cm、82kg、22歳)、今年の8月のデビューしたWTBアリヴェレティ・ラカ(188cm、97kg、24歳)がいる。ラカの時速35キロとも言われるスピードは見逃せない。
前大会ベスト4のアルゼンチンは、このプールで1位通過の可能性もある実力者だ。スーパーラグビーに参戦するジャガーズは、メンバーをほぼアルゼンチン代表選手で固めて今年のスーパーラグビーで初の決勝進出を成し遂げた。チームを率いるキャプテンのFLパブロ・マテーラ(192cm、107kg、26歳)は今が旬のFLだ。スーパーラグビーの決勝戦ではクルセイダーズに敗れたにもかかわらず、最優秀選手に選ばれている。激しく的確なタックル、好サポートからの大幅ゲイン、そしてトライ。スーパーラグビーでは今季6トライをあげ、タックル成功率は91%。攻守にきらめく才能を発揮する。
アルゼンチンには、スピードのあるWTB、FBも多い。WTBラミロ・モヤノ(180cm、85kg、29歳)、ランニングスキルの高いFBエミリアノ・ボフェリ(192cm、92kg、24歳)らタッチライン際を駆け抜ける選手たちは観客を楽しませてくれるだろう。
この3カ国に挑戦するアメリカ、トンガにもインターナショナルクラスの好選手がいる。アメリカのAJ・マギンティ(185cm、91kg、29歳)は、イングランドのセール・シャークスでプレーするSO。アイルランド生まれでアメリカの大学に学び、2015年に代表デビューした。正確なゴールキックが武器だ。トンガには、かつてヤマハ発動機ジュビロでプレーしたCTBシアレ・ピウタウ(183cm、96kg、33歳)がいる。現在はイングランドのブリストルでプレーしており、経験豊富なリーダーだ。アメリカ、トンガはフィジカルで上位国に負けていない。強豪国に対する果敢なチャレンジにぜひ声援を送ってもらいたい。
文:村上 晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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