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スーパーラグビー2019が2月15日、ニュージーランドカンファレンスのチーフス対ハイランダーズの試合で幕を開ける。参戦4年目のヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは、2月16日、シンガポールのナショナルスタジアムで南アフリカのシャークスとの開幕戦を迎える。今季のサンウルブズについて展望したい。
まずは、日本代表との連動について整理しておきたい。9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)2019に向かって強化を進める日本代表は、選手たちに強度の高い試合を経験するため、スーパーラグビーの舞台を活用する。現在、日本代表メンバーは、サンウルブズ、ラグビーワールドカップトレーニングスコッド(RWCTS)、ナショナル・デヴェロップメントスコッド(NDS)の3つのグループに分かれている。RWCTSは、RWCの軸になるメンバー。NDSは、将来日本代表に選出される可能性のある選手を育成する。
サンウルブズは、プロチームとしてスーパーラグビーに参戦するため、チームとの契約をした選手が出場する。日本代表の中心は、RWCTSとNDSであり、現在、サンウルブズと契約しながらRWCTSに参加しているのは、コンディションの調整が必要な選手で、準備が整いしだいサンウルブズに合流してスーパーラグビーで戦うことになる。
2月16日のシャークス戦に向け、現在、サンウルブズは、オーストラリア合宿を行っている。共同キャプテンを務めることになったPRクレイグ・ミラー(パナソニック ワイルドナイツ)、CTBマイケル・リトル(三菱重工相模原ダイナボアーズ)は2018シーズンの中心になった2人だ。運動量豊富に動き回るミラー、体格は小さいが小気味の良いステップワークでタックラーをかわすリトルが先頭に立ってチームを引っ張る。
2016年から活躍するFLエドワード・カーク(キヤノンイーグルス)、昨秋の日本代表メンバーである山下裕史(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)、坂手淳史(パナソニック ワイルドナイツ)、中村亮土(サントリーサンゴリアス)、松田力也(パナソニック ワイルドナイツ)らが彼らを支える。サンウルブズは初参戦となるが、チーフスでプレー経験のある山下裕史、レッズで活躍したツイ ヘンドリック(サントリーサンゴリアス)がどんなプレーを見せてくれるか楽しみだ。
開幕戦のメンバーは本稿執筆時点で不明だが、3月5日、追加メンバーとして、元日本代表のトンプソン ルークの加入が発表され、松橋周平(リコーブラックラムズ)が練習生として参加することが明らかになった。トンプソンは、2015年RWCで世界を驚かせた日本代表快挙の立役者であり、スーパーラグビーの舞台であの献身的なプレーを披露してくれることになった。シャークス戦、翌週の2月23日、秩父宮ラグビー場で行われるワラターズ戦の楽しみが倍増したわけだ。
元ニュージーランド代表で、ブルーズで活躍してきたレネ・レンジャーの加入は、サンウルブズの攻撃力を高めるだろう。マオリ・オールブラックス経験者のFLダン・プライアー(宗像サニックスブルース)、FLカラ・プライアーは、アグレッシブにボールにからむ。昨シーズン、96%という驚異のプレースキック成功率をたたき出したSOヘイデン・パーカー(神戸製鋼コベルコスティーラーズ、昨季序盤にトライを量産したWTBホセア・サウマキ(キヤノンイーグルス)、万能バックスのジェイソン・エメリー(宗像サニックスブルース)、ニュージーランド出身でスコットランド代表経験もあるCTBフィル・バーリーのプレーも楽しみだ。
トニー・ブラウンヘッドコーチは、「プレースタイルは100%ジャパニーズスタイル。スキルとスピードを生かすアンストラクチャーのラグビーです」とコメントしている。新しいメンバーが加入したとはいえ、パス、キックを駆使しながら素早くボールを動かすスタイルは昨季と変わらない。SH茂野海人(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)は、「僕のポジションのSHでいえば、ハードワークできて、早いテンポで動ける選手が求められます。追加招集されたジェイミー・ブース(前ハリケーンズ)も、そういうタイプだと思います」。約1カ月間の準備、最後の仕上げのオーストラリア合宿を経て、どんな攻撃的なプレーを披露してくれるのか。目標は初のプレーオフ進出。そのためには15チーム中8位までに入ることが必要だ。開幕ダッシュに成功すれば十分に達成可能な目標である。サンウルブズは、2月13日、オーストラリアのメルボルンからシンガポールに入り、シャークス戦に備える。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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