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スーパーラグビーに参戦する日本唯一のプロチーム、サンウルブズの4年目のシーズンが始まる。スーパーラグビー2019は昨年と同じくニュージーランド(NZ)カンファレンス、オーストラリア(AUS)カンファレンス、南アフリカ(SA)カンファレンスに5チームずつが分かれて、15チームで行われる。ただし、9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(RWC)2019日本大会の準備のため、決勝戦は例年より1カ月早い7月6日を予定。これまで6月は国代表活動期間として休止になっていたが、休まず一気にプレーオフを行う。サンウルブズの開幕戦は2019年2月16日、シンガポールにてSAカンファレンスのシャークスと対戦する。
サンウルブズはAUSカンファレンスに所属し、他4チームとホーム&アウェイで8試合、NZ、SAの各4チームと1試合ずつの計16試合を行う。目標はもちろん初のプレーオフ進出だ。新ヘッドコーチに就任したのは日本代表のアシスタントコーチでもあるトニー・ブラウン。深いゲーム理解をもとに日本代表の攻撃戦術を創造する敏腕コーチは「オーストラリアのチームに勝つ実力はあると思っています」と自信を見せる。
新シーズンのサンウルブズは、昨季の主力として大活躍だったLOグラント・ハッティング、SOヘイデン・パーカー、CTBマイケル・リトルらに加え、NZのハイランダーズの主力だったFLダン・プライアー、元オールブラックスのWTBレネ・レンジャーら期待の新戦力が加入した。戦力アップは確実だが、ブラウンヘッドコーチは「日本代表との連携が大切」と話し、「プレースタイルは100%ジャパニーズスタイル。スキルとスピードを生かすアンストラクチャーのラグビーです。すべては2019年のRWCにつながっています」と言い切った。
新シーズンのサンウルブズは、昨季の3勝をはるかに超える成績を目指す一方で、日本代表強化の場としての性格も昨季以上に色濃くなる。本稿執筆時点で契約が済み、発表された選手は30名程度だが、日本代表候補選手はすべてスコッドに入り、50から60名のスコッドで日本代表の底上げを図っていくことになりそうだ。昨季は日本代表とサンウルブズのヘッドコーチを兼務したジェイミー・ジョセフは、スーパーラグビーに出場しない日本代表候補選手たちを指導する。「来季はサンウルブズの中で、2つのプログラムを同時に行っていきます。セカンドプログラムは、スーパーラグビーの若手チームなどと適切な試合を組んでいきたいと思います」。
ブラウンヘッドコーチを補佐するアシスタントコーチ3名は、昨季もディフェンスコーチとしてチームを支えたスコット・ハンセンに加え、アタックコーチにコーリー・ブラウン、スクラムコーチにマーティ・ヴィールが就任した。コーリー・ブラウンは、ブラウンヘッドコーチの実弟でU20NZ代表のアシスタントコーチなどを歴任してきた。「意思疎通はできており、完全にサンウルブズを理解しています」と、ブラウンヘッドコーチも全幅の信頼を寄せる。ヴィールコーチはFWコーチとして実績を積んだほか、2017-18年はNZのブルーズのコンサルタントとしてチームスタッフのフィールド内外でのメンタル面でのサポートを行っていた。
サンウルブズの日本での初戦は、2月23日、秩父宮ラグビー場で行われるワラターズ(オーストラリア)戦だ。メンバーは未知数だが、ワールドカップイヤーは選手のコンディショニングが何よりも大切であり、日本代表選手をローテーションで休ませ、外国人選手の力を借りながら、その都度のベストメンバーを組むことになるだろう。「勝つためにはしっかりと準備しなくてはいけません」とブラウンヘッドコーチ。今季より練習拠点となる千葉県市原市の市原スポレクパークで、1月14日からトレーニングを開始。大分県別府市でハードに鍛えたあと、初戦のシンガポールの暑さに対応するため、オーストラリアでキャンプ。練習試合を入れながらシャークス戦に備える。1月はトップリーグのカップ戦があるが、こちらにはサンウルブズの選手は出場せず、開幕準備に専念する予定だ。4シーズン目にしてもっとも長い準備期間を経たサンウルブズがどんな試合を見せてくれるのか、トニー・ブラウンがどんなアタッキング・ラグビーを見せるのか、開幕が待ち遠しい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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